R甲山を流れるS吉川の10箇所から採取した水に含まれる特定物質Xの濃度(%)のデータが与えられています。これらのデータを用いて、S吉川における物質Xの真の濃度$\mu$が12であるかどうかを有意水準5%で検定します。ただし、S吉川のポイント全体は正規母集団をなすと仮定します。

確率論・統計学統計的仮説検定t検定母平均の検定有意水準棄却域
2025/7/18

1. 問題の内容

R甲山を流れるS吉川の10箇所から採取した水に含まれる特定物質Xの濃度(%)のデータが与えられています。これらのデータを用いて、S吉川における物質Xの真の濃度μ\muが12であるかどうかを有意水準5%で検定します。ただし、S吉川のポイント全体は正規母集団をなすと仮定します。

2. 解き方の手順

(1) 帰無仮説と対立仮説を設定します。
* 帰無仮説 (H0H_0): μ=12\mu = 12
* 対立仮説 (H1H_1): μ12\mu \neq 12
(2) 標本平均(xˉ\bar{x})と標本標準偏差(ss)を計算します。
与えられたデータは以下の通りです。
13.1, 12.6, 13.4, 11.6, 14.1, 11.8, 12.4, 10.9, 11.2, 12.5
標本平均xˉ\bar{x}は、
xˉ=13.1+12.6+13.4+11.6+14.1+11.8+12.4+10.9+11.2+12.510=123.610=12.36\bar{x} = \frac{13.1 + 12.6 + 13.4 + 11.6 + 14.1 + 11.8 + 12.4 + 10.9 + 11.2 + 12.5}{10} = \frac{123.6}{10} = 12.36
標本標準偏差ssは、
s=i=1n(xixˉ)2n1s = \sqrt{\frac{\sum_{i=1}^{n}(x_i - \bar{x})^2}{n-1}}
データの各値から標本平均を引いた値の二乗和は、
(13.112.36)2+(12.612.36)2+(13.412.36)2+(11.612.36)2+(14.112.36)2+(11.812.36)2+(12.412.36)2+(10.912.36)2+(11.212.36)2+(12.512.36)2=0.5476+0.0576+1.0816+0.5776+3.0276+0.3136+0.0016+2.1316+1.3456+0.0196=9.104(13.1-12.36)^2 + (12.6-12.36)^2 + (13.4-12.36)^2 + (11.6-12.36)^2 + (14.1-12.36)^2 + (11.8-12.36)^2 + (12.4-12.36)^2 + (10.9-12.36)^2 + (11.2-12.36)^2 + (12.5-12.36)^2 = 0.5476 + 0.0576 + 1.0816 + 0.5776 + 3.0276 + 0.3136 + 0.0016 + 2.1316 + 1.3456 + 0.0196 = 9.104
したがって、標本標準偏差ssは、
s=9.104101=9.1049=1.0115551.00576s = \sqrt{\frac{9.104}{10-1}} = \sqrt{\frac{9.104}{9}} = \sqrt{1.011555} \approx 1.00576
(3) 検定統計量を計算します。
標本数が小さいため、t検定を行います。検定統計量ttは、
t=xˉμ0s/nt = \frac{\bar{x} - \mu_0}{s / \sqrt{n}}
ここで、xˉ=12.36\bar{x} = 12.36, μ0=12\mu_0 = 12, s=1.00576s = 1.00576, n=10n = 10なので、
t=12.36121.00576/10=0.361.00576/3.16228=0.360.318061.132t = \frac{12.36 - 12}{1.00576 / \sqrt{10}} = \frac{0.36}{1.00576 / 3.16228} = \frac{0.36}{0.31806} \approx 1.132
(4) 自由度と有意水準から棄却域を求めます。
自由度はn1=101=9n-1 = 10-1 = 9です。有意水準はα=0.05\alpha = 0.05で、両側検定なので、α/2=0.025\alpha/2 = 0.025のt値を求めます。
t分布表から、自由度9、有意水準0.025のt値は2.262です。
したがって、棄却域はt<2.262t < -2.262またはt>2.262t > 2.262です。
(5) 検定統計量と棄却域を比較し、帰無仮説を棄却するかどうかを決定します。
計算された検定統計量t=1.132t = 1.132は、棄却域(t<2.262t < -2.262またはt>2.262t > 2.262)に含まれません。
したがって、帰無仮説を棄却できません。

3. 最終的な答え

S吉川における物質Xの真の濃度は12であるという帰無仮説は棄却されません。したがって、有意水準5%で、S吉川における物質Xの真の濃度が12であると結論付けられます。

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