正の数列 $\{a_n\}$ が、$a_1 = 3$ および漸化式 $a_{n+1} = \sqrt{a_n + 7} - 1$ ($n = 1, 2, 3, ...$) で定義されるとき、極限 $\lim_{n \to \infty} a_n$ を調べる。 また、なぜ極限を調べるときに、まず極限が存在すると仮定してその値を求め、その後数列が単調増加または単調減少であることを示す必要があるのか問われています。

解析学数列極限漸化式単調減少数学的帰納法単調収束定理
2025/4/3

1. 問題の内容

正の数列 {an}\{a_n\} が、a1=3a_1 = 3 および漸化式 an+1=an+71a_{n+1} = \sqrt{a_n + 7} - 1 (n=1,2,3,...n = 1, 2, 3, ...) で定義されるとき、極限 limnan\lim_{n \to \infty} a_n を調べる。
また、なぜ極限を調べるときに、まず極限が存在すると仮定してその値を求め、その後数列が単調増加または単調減少であることを示す必要があるのか問われています。

2. 解き方の手順

(1) 極限が存在すると仮定して、その値を求める。
limnan=α\lim_{n \to \infty} a_n = \alpha と仮定する。このとき、limnan+1=α\lim_{n \to \infty} a_{n+1} = \alpha も成り立つ。
漸化式 an+1=an+71a_{n+1} = \sqrt{a_n + 7} - 1 の両辺で nn \to \infty の極限を取ると、
α=α+71\alpha = \sqrt{\alpha + 7} - 1
α+1=α+7\alpha + 1 = \sqrt{\alpha + 7}
両辺を2乗して、
(α+1)2=α+7(\alpha + 1)^2 = \alpha + 7
α2+2α+1=α+7\alpha^2 + 2\alpha + 1 = \alpha + 7
α2+α6=0\alpha^2 + \alpha - 6 = 0
(α+3)(α2)=0(\alpha + 3)(\alpha - 2) = 0
α=3,2\alpha = -3, 2
ana_n は正の数列であるため、極限値は正である必要がある。よって、α=2\alpha = 2
(2) 数列 {an}\{a_n\} が単調減少であることを示す。
a1=3a_1 = 3, a2=3+71=1012.162a_2 = \sqrt{3 + 7} - 1 = \sqrt{10} - 1 \approx 2.162
a3=101+71=10+611.973a_3 = \sqrt{\sqrt{10} - 1 + 7} - 1 = \sqrt{\sqrt{10} + 6} - 1 \approx 1.973
a1>a2>a3a_1 > a_2 > a_3 となるので、数列は単調減少と予想できる。
an+1an=an+71ana_{n+1} - a_n = \sqrt{a_n + 7} - 1 - a_n
an+1an<0a_{n+1} - a_n < 0 を示すには、an+71an<0\sqrt{a_n + 7} - 1 - a_n < 0 を示せば良い。これは an+7<an+1\sqrt{a_n+7} < a_n+1 と同値である。さらにこれは an+7<(an+1)2=an2+2an+1a_n+7 < (a_n+1)^2 = a_n^2 + 2a_n + 1 と同値である。つまり、an2+an6>0a_n^2+a_n-6 > 0 を示せばよい。
an2+an6=(an+3)(an2)>0a_n^2+a_n-6 = (a_n+3)(a_n-2) > 0
数列 {an}\{a_n\} が 2 より大きいことが示せれば良い。
a1=3>2a_1=3>2 であり、 an>2a_n > 2 を仮定すると、an+1=an+71>2+71=31=2a_{n+1} = \sqrt{a_n+7} - 1 > \sqrt{2+7}-1 = 3-1=2 となるので、数学的帰納法より全ての nn に対して an>2a_n > 2 が成り立つ。
したがって、 an>2a_n > 2 より、an+3>0a_n + 3 > 0 であり、an2>0a_n - 2 > 0 であるから、an2+an6>0a_n^2 + a_n - 6 > 0 が成り立ち、an+1an<0a_{n+1} - a_n < 0 となる。
したがって、数列 {an}\{a_n\} は単調減少である。
(3) 数列 {an}\{a_n\} が下に有界であることを示す。
an>2a_n > 2 より、数列 {an}\{a_n\} は下に有界である。
(4) 極限の存在の証明
単調減少で下に有界な数列は収束するため、数列 {an}\{a_n\} は極限を持つ。
先に求めた極限の候補は 2 であり、これが実際に極限値となる。
(5) なぜまず極限が存在すると仮定してその値を求めるのか
まず極限が存在すると仮定してその値を求めるのは、もし極限が存在する場合、その候補となる値を特定するためです。
もし極限が存在しなければ、上記の手順で求めた値は意味を持ちません。
その後、数列が単調増加または単調減少であることを示すのは、単調な数列が有界であれば必ず収束するという定理(単調収束定理)を利用するためです。

3. 最終的な答え

limnan=2\lim_{n \to \infty} a_n = 2

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