楕円曲線 $E: y^2 = x^3 + 3x + 4$ 上の2点 $P$ と $Q$ に対する加法演算 $P + Q = R$ について、$R$ がどのように定義されるかを幾何学的に説明する。また、$P = Q$ の場合の $R$ の定義も説明する。
2025/7/20
1. 問題の内容
楕円曲線 上の2点 と に対する加法演算 について、 がどのように定義されるかを幾何学的に説明する。また、 の場合の の定義も説明する。
2. 解き方の手順
(1) の場合:
* 楕円曲線 上の2点 と を通る直線 を引く。
* この直線 は一般に楕円曲線 と3点で交わる( と 以外の点を とする)。
* 点 の 軸に関する対称点を とする。つまり、 は の 座標の符号を反転させた点である。このとき、 と定義する。
(2) の場合:
* 点 における楕円曲線 の接線 を引く。
* この接線 は一般に楕円曲線 と 以外にもう一点 で交わる。
* 点 の 軸に関する対称点を とする。つまり、 は の 座標の符号を反転させた点である。このとき、 と定義する。
(3) 無限遠点 の場合:
* 楕円曲線における加法演算の単位元は無限遠点 と呼ばれる点である。これは、楕円曲線上の任意の点 に対して となる点である。
* 幾何学的には、点 を通る鉛直線と楕円曲線のもう一つの交点の、軸に関して対称な点が となることを意味する。
(4) 注意点:
* 上記の手順で が楕円曲線と3点で交わらない場合(例えば、 または が無限遠点 の場合や、 と を通る直線が 軸に平行な場合)、加法の定義を適切に拡張する必要がある。
* もし と が互いに 軸に関して対称な点である場合 (つまり、 で の場合)、直線 は鉛直線となり、 と の3つ目の交点は無限遠点 となる。この場合、 と定義する。
3. 最終的な答え
楕円曲線 上の2点 と に対する加法 は、以下の幾何学的な方法で定義される。
* の場合: と を通る直線と楕円曲線の3つ目の交点 の 軸に関する対称点が である。
* の場合: における楕円曲線の接線と楕円曲線のもう一つの交点 の 軸に関する対称点が である。
* 無限遠点 が存在し、 を満たす。軸に関して対称な点同士を足し合わせると無限遠点となる。