ある保険会社が、人口100万人の都市で、1日に10円の保険料を受け取り、交通事故死した場合に1000万円を支払う保険を販売した。1日平均1人の死亡事故が発生すると仮定し、全市民が加入した場合、3日で会社が儲ける確率、損得なしの確率、損をする確率を求める問題。

確率論・統計学確率ポアソン分布期待値保険
2025/7/21

1. 問題の内容

ある保険会社が、人口100万人の都市で、1日に10円の保険料を受け取り、交通事故死した場合に1000万円を支払う保険を販売した。1日平均1人の死亡事故が発生すると仮定し、全市民が加入した場合、3日で会社が儲ける確率、損得なしの確率、損をする確率を求める問題。

2. 解き方の手順

まず、3日間で受け取る保険料の総額を計算します。
100万人の市民が1日に10円支払うので、1日あたりの収入は 100×104×10=107100 \times 10^4 \times 10 = 10^7 円です。
3日間では 3×1073 \times 10^7 円になります。
次に、3日間で発生する死亡事故の件数を確率変数 XX とします。1日平均1人の死亡事故なので、3日間では平均3人の死亡事故が発生します。ポアソン分布を用いて確率を計算します。ポアソン分布の確率質量関数は、平均をλ\lambdaとして以下のようになります。
P(X=k)=eλλkk!P(X=k) = \frac{e^{-\lambda} \lambda^k}{k!}
今回の問題では、λ=3\lambda = 3 です。
e2.72e \approx 2.72 とします。
(1) 会社が儲ける確率を求めます。これは、支払う保険金の総額が受け取る保険料の総額よりも少ない確率です。
1件の死亡事故につき1000万円を支払うので、支払う保険金が3000万円より少ない場合、会社は儲かります。つまり、死亡事故が0件、1件、2件の場合を計算します。
P(X=0)=e3300!=e312.723120.060.05P(X=0) = \frac{e^{-3} 3^0}{0!} = e^{-3} \approx \frac{1}{2.72^3} \approx \frac{1}{20.06} \approx 0.05
P(X=1)=e3311!=3e3320.060.15P(X=1) = \frac{e^{-3} 3^1}{1!} = 3e^{-3} \approx \frac{3}{20.06} \approx 0.15
P(X=2)=e3322!=92e392×20.069400.225P(X=2) = \frac{e^{-3} 3^2}{2!} = \frac{9}{2}e^{-3} \approx \frac{9}{2 \times 20.06} \approx \frac{9}{40} \approx 0.225
会社が儲ける確率は、これらの確率の合計です。
P(儲ける)=P(X=0)+P(X=1)+P(X=2)0.05+0.15+0.225=0.425P(\text{儲ける}) = P(X=0) + P(X=1) + P(X=2) \approx 0.05 + 0.15 + 0.225 = 0.425
(2) 会社が損得なしの確率を求めます。
これは、支払う保険金の総額が受け取る保険料の総額と等しい確率です。つまり、死亡事故が3件の場合です。
P(X=3)=e3333!=276e3=92e34.520.060.224P(X=3) = \frac{e^{-3} 3^3}{3!} = \frac{27}{6}e^{-3} = \frac{9}{2}e^{-3} \approx \frac{4.5}{20.06} \approx 0.224
(3) 会社が損をする確率を求めます。これは、支払う保険金の総額が受け取る保険料の総額よりも多い確率です。つまり、死亡事故が4件以上の場合です。これは、1から儲ける確率と損得なしの確率を引くことで求められます。
P(損をする)=1P(儲ける)P(損得なし)10.4250.224=0.351P(\text{損をする}) = 1 - P(\text{儲ける}) - P(\text{損得なし}) \approx 1 - 0.425 - 0.224 = 0.351

3. 最終的な答え

(1) 会社が儲けた確率は約42.5%です。
(2) 会社が損得なしだった確率は約22.4%です。
(3) 会社が損をした確率は約35.1%です。

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