与えられたストークスの定理 $\int_S \mathrm{rot} \, \mathbf{A} \cdot d\mathbf{S} = \oint_C \mathbf{A} \cdot d\mathbf{r}$ がなぜ成り立つのかを説明する。ここで、$S$ はある曲面、$C$ はその曲面の境界を表し、$\mathbf{A}$ はベクトル場、$\mathrm{rot} \, \mathbf{A}$ は $\mathbf{A}$ の回転である。
2025/7/22
1. 問題の内容
与えられたストークスの定理
がなぜ成り立つのかを説明する。ここで、 はある曲面、 はその曲面の境界を表し、 はベクトル場、 は の回転である。
2. 解き方の手順
ストークスの定理は、ベクトル場の回転を曲面全体で積分したものが、その曲面の境界である閉曲線に沿ってベクトル場を線積分したものに等しいことを主張する定理です。この定理の直観的な説明は以下の通りです。
(1) **曲面を分割する**: 曲面 を非常に小さな多数の小片(例えば、面積 を持つ平面)に分割することを考えます。各小片は近似的に平面とみなせるため、各小片に対してストークスの定理を適用できると考えます。
(2) **各小片に対するストークスの定理**: 各小片の境界となる閉曲線 に沿って を線積分すると、
となります。ここで は 番目の小片における の値であり、 は 番目の小片の面積ベクトル(大きさが で、方向が小片の法線ベクトル)。
(3) **総和を取る**: すべての小片について上記の式を足し合わせます。
(4) **境界の線積分**: 左辺の線積分の総和を考えると、隣り合う小片の境界線上で積分方向が互いに逆になる部分が存在します。これらの線積分は互いに打ち消し合い、最終的に曲面 全体の境界 に沿った線積分だけが残ります。すなわち、
(5) **積分の定義**: 右辺は、小片の分割を限りなく細かくしていくと、面積分 に近づきます。すなわち、
(6) **結論**: 以上の議論から、
が成り立ちます。
3. 最終的な答え
ストークスの定理は、曲面を細かく分割し、各小片に対する線積分を足し合わせることで、隣接する境界線での線積分が互いに打ち消し合い、最終的に曲面全体の境界での線積分のみが残るという性質に基づいています。そして、その結果が回転の面積分に等しくなることから導かれます。