x-y平面上のベクトル場 $\vec{A} = A_x \hat{i} + A_y \hat{j}$ における、図に示された経路Cに沿った周回積分を計算し、ベクトル場 $\vec{A}$ に対するストークスの定理を説明する。

応用数学ベクトル解析ストークスの定理線積分周回積分テイラー展開
2025/7/22

1. 問題の内容

x-y平面上のベクトル場 A=Axi^+Ayj^\vec{A} = A_x \hat{i} + A_y \hat{j} における、図に示された経路Cに沿った周回積分を計算し、ベクトル場 A\vec{A} に対するストークスの定理を説明する。

2. 解き方の手順

まず、経路Cを構成する4つの線分(P→Q, Q→R, R→S, S→P)それぞれに沿った線積分を計算する。
* **経路P→Q**: この線分では yy が一定なので、dy=0dy = 0。また、xxxx から x+Δxx + \Delta x まで変化する。したがって、積分は以下のようになる。
PQAdl=xx+ΔxAx(x,y)dx\int_{P \to Q} \vec{A} \cdot d\vec{l} = \int_x^{x+\Delta x} A_x(x', y) dx'
* **経路Q→R**: この線分では xx が一定なので、dx=0dx = 0。また、yyyy から y+Δyy + \Delta y まで変化する。したがって、積分は以下のようになる。
QRAdl=yy+ΔyAy(x+Δx,y)dy\int_{Q \to R} \vec{A} \cdot d\vec{l} = \int_y^{y+\Delta y} A_y(x+\Delta x, y') dy'
* **経路R→S**: この線分では yy が一定なので、dy=0dy = 0。また、xxx+Δxx + \Delta x から xx まで変化する。したがって、積分は以下のようになる。
RSAdl=x+ΔxxAx(x,y+Δy)dx\int_{R \to S} \vec{A} \cdot d\vec{l} = \int_{x+\Delta x}^{x} A_x(x', y+\Delta y) dx'
* **経路S→P**: この線分では xx が一定なので、dx=0dx = 0。また、yyy+Δyy + \Delta y から yy まで変化する。したがって、積分は以下のようになる。
SPAdl=y+ΔyyAy(x,y)dy\int_{S \to P} \vec{A} \cdot d\vec{l} = \int_{y+\Delta y}^{y} A_y(x, y') dy'
これらの積分を全て足し合わせることで、周回積分 CAdl\oint_C \vec{A} \cdot d\vec{l} が得られる。
CAdl=xx+ΔxAx(x,y)dx+yy+ΔyAy(x+Δx,y)dy+x+ΔxxAx(x,y+Δy)dx+y+ΔyyAy(x,y)dy\oint_C \vec{A} \cdot d\vec{l} = \int_x^{x+\Delta x} A_x(x', y) dx' + \int_y^{y+\Delta y} A_y(x+\Delta x, y') dy' + \int_{x+\Delta x}^{x} A_x(x', y+\Delta y) dx' + \int_{y+\Delta y}^{y} A_y(x, y') dy'
次に、積分記号の中身をテイラー展開で近似する。例えば、Ax(x,y+Δy)Ax(x,y)+AxyΔyA_x(x, y+\Delta y) \approx A_x(x, y) + \frac{\partial A_x}{\partial y} \Delta y などとなる。これらの展開を用いて周回積分を計算すると、面積 ΔxΔy\Delta x \Delta y に比例する項が残る。具体的には、以下のようになる。
CAdl(AyxAxy)ΔxΔy\oint_C \vec{A} \cdot d\vec{l} \approx (\frac{\partial A_y}{\partial x} - \frac{\partial A_x}{\partial y}) \Delta x \Delta y
ストークスの定理は、周回積分が、その経路で囲まれた面の面積分に等しいことを述べている。具体的には、以下のようになる。
CAdl=S(×A)dS\oint_C \vec{A} \cdot d\vec{l} = \iint_S (\nabla \times \vec{A}) \cdot d\vec{S}
ここで、×A\nabla \times \vec{A} はベクトル場 A\vec{A} の回転(ローテーション)であり、dSd\vec{S} は面積ベクトルである。今回の2次元の場合、回転は AyxAxy\frac{\partial A_y}{\partial x} - \frac{\partial A_x}{\partial y} となり、dSd\vec{S}ΔxΔyk^\Delta x \Delta y \hat{k} となる。したがって、ストークスの定理は以下のように表される。
CAdl=S(AyxAxy)dA=(AyxAxy)ΔxΔy\oint_C \vec{A} \cdot d\vec{l} = \iint_S (\frac{\partial A_y}{\partial x} - \frac{\partial A_x}{\partial y}) dA = (\frac{\partial A_y}{\partial x} - \frac{\partial A_x}{\partial y}) \Delta x \Delta y

3. 最終的な答え

経路Cに沿った周回積分は (AyxAxy)ΔxΔy(\frac{\partial A_y}{\partial x} - \frac{\partial A_x}{\partial y}) \Delta x \Delta y であり、これはストークスの定理と一致する。

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