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1. 問題の内容
確率変数 が二項分布 に従うとき、そのモーメント母関数 が与えられています。
標準化された確率変数 について、以下の問いに答えます。
1. $Y$ のモーメント母関数 $M_Y(t)$ を $M_X(t)$ を用いて表す。
2. 二項分布において、$n$ が大きく $p$ が小さいとき、$np = \lambda$ を保ったまま極限をとると、二項分布がポアソン分布に近似できることを利用し、$M_X(t)$ の極限を求める。
3. 標準正規分布 $N(0, 1)$ のモーメント母関数が $e^{t^2/2}$ であることを利用し、$Y$ のモーメント母関数 $M_Y(t)$ の対数 $\log M_Y(t)$ を $t=0$ 周りでマクローリン展開し、$t^2$ の項まで求める。
4. 上記
3. の結果の極限 $n \to \infty$ をとると、$\log M_Y(t)$ が何に収束するかを求める。
5. 中心極限定理が何を示すかを、モーメント母関数の収束という観点から考察する。
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2. 解き方の手順
1. 確率変数の線形変換の性質を利用して、$M_Y(t)$ を $M_X(t)$ で表します。
したがって、
2. $n$ が大きく $p$ が小さいとき、$np = \lambda$ を保ったまま極限をとると、二項分布はポアソン分布に近似できます。このとき、$M_X(t)$ の極限を求めます。
なので、
のとき、
3. $\log M_Y(t)$ を $t=0$ 周りでマクローリン展開し、$t^2$ の項まで求めます。
を利用すると、
を利用すると、
4. $n \to \infty$ のとき、$\log M_Y(t)$ が何に収束するかを求めます。
上記の結果から、 では、 なので、
5. 中心極限定理が何を示すかを、モーメント母関数の収束という観点から考察します。
中心極限定理は、 が大きいとき、独立な確率変数の和を適切に標準化すると、その分布が標準正規分布に近づくことを示しています。モーメント母関数の収束という観点から見ると、 のモーメント母関数が標準正規分布のモーメント母関数 に収束することは、中心極限定理を示唆していると言えます。
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3. 最終的な答え
ア:
イ:
ウ:
エ:
オ: 成立する