独立な確率変数 $U \sim \chi^2(m)$ と $V \sim \chi^2(n)$ が与えられている。 (1) カイ二乗分布 $\chi^2(\nu)$ がガンマ分布 $Gamma(k, \theta)$ の特殊な場合であるとき、パラメータ $k$ と $\theta$ を $\nu$ を用いて表す。 (2) 確率変数 $X = \frac{U/m}{V/n}$ が従うF分布 $F(m, n)$ の期待値 $E[X]$ を求める。$E[X] = E[U/m]E[\frac{1}{V/n}]$ と変形できることを利用する。$E[U/m]$ の値を求める。 (3) $E[\frac{1}{V}]$ の値を計算するために、ガンマ分布の確率密度関数の積分値が1になる性質を利用する。$E[\frac{1}{V}] = \int_0^\infty \frac{1}{v} f_V(v) dv$ を計算する。 (4) 以上の結果から、F(m, n) 分布の期待値 $E[X]$ を求める。

確率論・統計学確率分布カイ二乗分布F分布期待値ガンマ分布
2025/7/22

1. 問題の内容

独立な確率変数 Uχ2(m)U \sim \chi^2(m)Vχ2(n)V \sim \chi^2(n) が与えられている。
(1) カイ二乗分布 χ2(ν)\chi^2(\nu) がガンマ分布 Gamma(k,θ)Gamma(k, \theta) の特殊な場合であるとき、パラメータ kkθ\thetaν\nu を用いて表す。
(2) 確率変数 X=U/mV/nX = \frac{U/m}{V/n} が従うF分布 F(m,n)F(m, n) の期待値 E[X]E[X] を求める。E[X]=E[U/m]E[1V/n]E[X] = E[U/m]E[\frac{1}{V/n}] と変形できることを利用する。E[U/m]E[U/m] の値を求める。
(3) E[1V]E[\frac{1}{V}] の値を計算するために、ガンマ分布の確率密度関数の積分値が1になる性質を利用する。E[1V]=01vfV(v)dvE[\frac{1}{V}] = \int_0^\infty \frac{1}{v} f_V(v) dv を計算する。
(4) 以上の結果から、F(m, n) 分布の期待値 E[X]E[X] を求める。

2. 解き方の手順

(1) カイ二乗分布χ2(ν)\chi^2(\nu)は、自由度ν\nuのガンマ分布Gamma(ν2,2)Gamma(\frac{\nu}{2}, 2)とみなせる。したがって、k=ν2k = \frac{\nu}{2}, θ=2\theta = 2となる。
(2) Uχ2(m)U \sim \chi^2(m) より、E[U]=mE[U] = m である。したがって、E[Um]=E[U]m=mm=1E[\frac{U}{m}] = \frac{E[U]}{m} = \frac{m}{m} = 1 となる。
(3) Vχ2(n)V \sim \chi^2(n) より、VVGamma(n2,2)Gamma(\frac{n}{2}, 2) に従う。確率密度関数は、
fV(v)=1Γ(n2)2n2vn21ev2f_V(v) = \frac{1}{\Gamma(\frac{n}{2}) 2^{\frac{n}{2}}} v^{\frac{n}{2} - 1} e^{-\frac{v}{2}}
E[1V]E[\frac{1}{V}]を計算するために、E[1V]=01vfV(v)dvE[\frac{1}{V}] = \int_0^\infty \frac{1}{v} f_V(v) dv を計算する。
E[1V]=01v1Γ(n2)2n2vn21ev2dv=1Γ(n2)2n20vn22ev2dvE[\frac{1}{V}] = \int_0^\infty \frac{1}{v} \frac{1}{\Gamma(\frac{n}{2}) 2^{\frac{n}{2}}} v^{\frac{n}{2} - 1} e^{-\frac{v}{2}} dv = \frac{1}{\Gamma(\frac{n}{2}) 2^{\frac{n}{2}}} \int_0^\infty v^{\frac{n}{2} - 2} e^{-\frac{v}{2}} dv
ここで、x=v2x = \frac{v}{2}とおくと、v=2xv = 2x, dv=2dxdv = 2dxとなるから、
E[1V]=1Γ(n2)2n20(2x)n22ex2dx=2n21Γ(n2)0xn22exdx=2n21Γ(n21)Γ(n2)E[\frac{1}{V}] = \frac{1}{\Gamma(\frac{n}{2}) 2^{\frac{n}{2}}} \int_0^\infty (2x)^{\frac{n}{2} - 2} e^{-x} 2dx = \frac{2^{\frac{n}{2} - 1}}{\Gamma(\frac{n}{2})} \int_0^\infty x^{\frac{n}{2} - 2} e^{-x} dx = \frac{2^{\frac{n}{2} - 1} \Gamma(\frac{n}{2} - 1)}{\Gamma(\frac{n}{2})}
ガンマ関数の性質 Γ(x+1)=xΓ(x)\Gamma(x+1) = x\Gamma(x) より、Γ(n2)=(n21)Γ(n21)\Gamma(\frac{n}{2}) = (\frac{n}{2} - 1)\Gamma(\frac{n}{2} - 1)であるから、
E[1V]=2n21Γ(n21)(n21)Γ(n21)=2n21n21=2n2n2E[\frac{1}{V}] = \frac{2^{\frac{n}{2} - 1} \Gamma(\frac{n}{2} - 1)}{(\frac{n}{2} - 1)\Gamma(\frac{n}{2} - 1)} = \frac{2^{\frac{n}{2} - 1}}{\frac{n}{2} - 1} = \frac{2^{\frac{n}{2}}}{n-2}
したがって、E[1V/n]=nE[1V]=nn2E[\frac{1}{V/n}] = n E[\frac{1}{V}] = \frac{n}{n-2}
(4) E[X]=E[Um]E[1V/n]=1nn2=nn2E[X] = E[\frac{U}{m}] E[\frac{1}{V/n}] = 1 \cdot \frac{n}{n-2} = \frac{n}{n-2}

3. 最終的な答え

ア: ν2\frac{\nu}{2}
イ: 22
ウ: 11
エ: 1n2\frac{1}{n-2}
オ: nn2\frac{n}{n-2}

「確率論・統計学」の関連問題

20個のデータがあり、そのうち8個のデータの平均値は3、分散は4。残りの12個のデータの平均値は8、分散は9である。このとき、全体のデータの平均値と分散を求める。

平均分散統計データの分析
2025/7/23

(1) ある高校の1年生50人に行った英語、国語、数学のテストの得点を箱ひげ図で表したものが与えられています。 * ① 80点以上の生徒が13人以上いるのはどの教科か? * ② 国語に...

箱ひげ図統計データの分析
2025/7/23

与えられたデータの個数 $N$ が $4n$, $4n+1$, $4n+2$, $4n+3$ (ただし、$n$ は自然数) のそれぞれの場合について、第一四分位数 $Q_1$, 第二四分位数 $Q_2...

四分位数中央値データの分析
2025/7/23

データ数が $N=4n$ ($n$は自然数)であるとき、第一四分位数 $Q_1$、第二四分位数 $Q_2$、第三四分位数 $Q_3$ を、データ $x_1, x_2, ..., x_{4n}$ を用い...

四分位数中央値データの分析
2025/7/23

与えられたデータ $\{37, 31, 38, 27, 41, 35, 30, a\}$ の中央値として何通りの値が考えられるかを求める問題です。

中央値データの分析場合分け
2025/7/23

2つのサイコロを同時に投げるとき、以下の確率を求めます。 (1) 少なくとも1つのサイコロが2の目が出る確率 (2) 2つのサイコロが異なる目が出る確率

確率サイコロ事象
2025/7/23

1から100までの番号が付けられた100枚のカードから1枚を取り出すとき、その番号が6の倍数または9の倍数である確率を求める。

確率倍数排反事象確率計算
2025/7/23

1から9までの番号が書かれた9枚のカードから同時に2枚を取り出すとき、それらの番号の和が5の倍数になる確率を求めます。

確率組み合わせ場合の数
2025/7/23

袋の中に白玉4個、赤玉3個、青玉6個が入っている。この袋から2個の玉を同時に取り出すとき、取り出した2個の玉が同じ色である確率を求めよ。

確率組み合わせ事象
2025/7/23

与えられたデータ $5, 3, 6, 8, 5, 8, 5, 4, 6, 5$ について、分散と標準偏差を求めます。

分散標準偏差データ分析
2025/7/23