試験の得点 $x$ に対する偏差値 $y$ が $y = \frac{x - \overline{x}}{s_x} \times 10 + 50$ で与えられている。ここで、$\overline{x}$ は $x$ のデータの平均値、$s_x$ は $x$ のデータの標準偏差である。 (1) $z = \frac{x - \overline{x}}{s_x}$ とするとき、変量 $z$ の平均値と標準偏差を求める。 (2) 偏差値 $y$ の平均値と標準偏差を求める。 (3) 偏差値の記述として正しいものを選択肢の中から選ぶ。

確率論・統計学統計偏差値平均標準偏差
2025/7/23

1. 問題の内容

試験の得点 xx に対する偏差値 yyy=xxsx×10+50y = \frac{x - \overline{x}}{s_x} \times 10 + 50 で与えられている。ここで、x\overline{x}xx のデータの平均値、sxs_xxx のデータの標準偏差である。
(1) z=xxsxz = \frac{x - \overline{x}}{s_x} とするとき、変量 zz の平均値と標準偏差を求める。
(2) 偏差値 yy の平均値と標準偏差を求める。
(3) 偏差値の記述として正しいものを選択肢の中から選ぶ。

2. 解き方の手順

(1) 変量 zz の平均値と標準偏差を求める。
平均値 z\overline{z} は、
z=1ni=1nzi=1ni=1nxixsx=1nsxi=1n(xix)=1nsx(i=1nxinx)=1nsx(nxnx)=0\overline{z} = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} z_i = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} \frac{x_i - \overline{x}}{s_x} = \frac{1}{n s_x} \sum_{i=1}^{n} (x_i - \overline{x}) = \frac{1}{n s_x} (\sum_{i=1}^{n} x_i - n\overline{x}) = \frac{1}{n s_x} (n\overline{x} - n\overline{x}) = 0
標準偏差 szs_z は、
sz=1ni=1n(ziz)2=1ni=1n(xixsx0)2=1nsx2i=1n(xix)2=1sx2sx2=1s_z = \sqrt{\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} (z_i - \overline{z})^2} = \sqrt{\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} (\frac{x_i - \overline{x}}{s_x} - 0)^2} = \sqrt{\frac{1}{n s_x^2} \sum_{i=1}^{n} (x_i - \overline{x})^2} = \sqrt{\frac{1}{s_x^2} \cdot s_x^2} = 1
(2) 偏差値 yy の平均値と標準偏差を求める。
平均値 y\overline{y} は、
y=1ni=1nyi=1ni=1n(xixsx×10+50)=1ni=1n(10zi+50)=10z+50=10×0+50=50\overline{y} = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} y_i = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} (\frac{x_i - \overline{x}}{s_x} \times 10 + 50) = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} (10z_i + 50) = 10\overline{z} + 50 = 10 \times 0 + 50 = 50
標準偏差 sys_y は、
sy=1ni=1n(yiy)2=1ni=1n(10zi+5050)2=1ni=1n(10zi)2=100ni=1nzi2=101ni=1nzi2=10sz=10×1=10s_y = \sqrt{\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} (y_i - \overline{y})^2} = \sqrt{\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} (10z_i + 50 - 50)^2} = \sqrt{\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} (10z_i)^2} = \sqrt{\frac{100}{n} \sum_{i=1}^{n} z_i^2} = 10 \sqrt{\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} z_i^2} = 10 s_z = 10 \times 1 = 10
(3) 偏差値の記述として正しいものを選択肢の中から選ぶ。
* 選択肢⓪:得点が平均値 x\overline{x} に等しいデータが1つ加わったとき、偏差値 yy は変わらない。
x\overline{x} に等しい得点が加わると、全体の平均 x\overline{x} と標準偏差 sxs_x が変わるため、偏差値 yy は変わる。したがって、この選択肢は誤り。
* 選択肢①:全員の得点が同じ点だけ上がったとき、各人の偏差値は変わらない。
全員の得点が同じ点だけ上がった場合、平均値 x\overline{x} も同じだけ上がり、xxx - \overline{x} の値は変わらない。また、標準偏差 sxs_x も変わらないため、偏差値 yy は変わらない。したがって、この選択肢は正しい。
* 選択肢②:偏差値が50以上の人数と、偏差値が50以下の人数は等しい。
必ずしも等しいとは限らない。たとえば、全員の得点が平均点よりも低い場合、偏差値は50未満となり、50以上の人数は0人になる。したがって、この選択肢は誤り。
* 選択肢③:偏差値が負になることはない。
偏差値が負になることはあり得る。例えば、得点 xx が平均点 x\overline{x} よりも十分に小さければ、偏差値は負になる。したがって、この選択肢は誤り。

3. 最終的な答え

(1) zz の平均値: 0, 標準偏差: 1
(2) yy の平均値: 50, 標準偏差: 10
(3) 正しい記述:①

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