数直線上に異なる2点A, Bがあり、点MはAからスタートする。以下の規則に従って試行を行う。 * MがAにいるとき、サイコロを振って出た目が偶数ならAにとどまり、そうでなければBに移る。 * MがBにいるとき、サイコロを振って出た目の数が1または2であるならばBにとどまり、そうでなければAに移る。 nは1以上の整数とし、n回目の試行の後でMがAにいる確率を$P_A(n)$、MがBにいる確率を$P_B(n)$とする。$P_A(n)$と$P_B(n)$を求めよ。

確率論・統計学確率漸化式確率過程
2025/7/25

1. 問題の内容

数直線上に異なる2点A, Bがあり、点MはAからスタートする。以下の規則に従って試行を行う。
* MがAにいるとき、サイコロを振って出た目が偶数ならAにとどまり、そうでなければBに移る。
* MがBにいるとき、サイコロを振って出た目の数が1または2であるならばBにとどまり、そうでなければAに移る。
nは1以上の整数とし、n回目の試行の後でMがAにいる確率をPA(n)P_A(n)、MがBにいる確率をPB(n)P_B(n)とする。PA(n)P_A(n)PB(n)P_B(n)を求めよ。

2. 解き方の手順

まず、サイコロの目の確率を考える。
* Aにいるとき、偶数が出る確率は36=12\frac{3}{6} = \frac{1}{2}、奇数が出る確率は36=12\frac{3}{6} = \frac{1}{2}
* Bにいるとき、1または2が出る確率は26=13\frac{2}{6} = \frac{1}{3}、それ以外が出る確率は46=23\frac{4}{6} = \frac{2}{3}
次に、PA(n)P_A(n)PB(n)P_B(n)の漸化式を立てる。
n+1n+1回目の試行でAにいる確率は、nn回目の試行でAにいてサイコロの目が偶数であるか、nn回目の試行でBにいてサイコロの目が3,4,5,6であるかのいずれかである。よって、
PA(n+1)=12PA(n)+23PB(n)P_A(n+1) = \frac{1}{2}P_A(n) + \frac{2}{3}P_B(n)
同様に、n+1n+1回目の試行でBにいる確率は、nn回目の試行でAにいてサイコロの目が奇数であるか、nn回目の試行でBにいてサイコロの目が1,2であるかのいずれかである。よって、
PB(n+1)=12PA(n)+13PB(n)P_B(n+1) = \frac{1}{2}P_A(n) + \frac{1}{3}P_B(n)
また、PA(n)+PB(n)=1P_A(n) + P_B(n) = 1なので、PB(n)=1PA(n)P_B(n) = 1 - P_A(n)を代入すると、
PA(n+1)=12PA(n)+23(1PA(n))=12PA(n)+2323PA(n)=16PA(n)+23P_A(n+1) = \frac{1}{2}P_A(n) + \frac{2}{3}(1 - P_A(n)) = \frac{1}{2}P_A(n) + \frac{2}{3} - \frac{2}{3}P_A(n) = -\frac{1}{6}P_A(n) + \frac{2}{3}
初期条件は、PA(1)=12,PB(1)=12P_A(1) = \frac{1}{2}, P_B(1) = \frac{1}{2}である。
PA(n+1)=16PA(n)+23P_A(n+1) = -\frac{1}{6}P_A(n) + \frac{2}{3}を解く。
PA(n+1)α=16(PA(n)α)P_A(n+1) - \alpha = -\frac{1}{6}(P_A(n) - \alpha)とおくと、
α=16α+23\alpha = -\frac{1}{6}\alpha + \frac{2}{3}より、76α=23\frac{7}{6}\alpha = \frac{2}{3}なので、α=47\alpha = \frac{4}{7}
PA(n+1)47=16(PA(n)47)P_A(n+1) - \frac{4}{7} = -\frac{1}{6}(P_A(n) - \frac{4}{7})
Q(n)=PA(n)47Q(n) = P_A(n) - \frac{4}{7}とすると、Q(n+1)=16Q(n)Q(n+1) = -\frac{1}{6}Q(n)なので、Q(n)=Q(1)(16)n1Q(n) = Q(1)(-\frac{1}{6})^{n-1}
Q(1)=PA(1)47=1247=7814=114Q(1) = P_A(1) - \frac{4}{7} = \frac{1}{2} - \frac{4}{7} = \frac{7-8}{14} = -\frac{1}{14}
よって、Q(n)=114(16)n1Q(n) = -\frac{1}{14}(-\frac{1}{6})^{n-1}
PA(n)=Q(n)+47=114(16)n1+47=47114(16)n1P_A(n) = Q(n) + \frac{4}{7} = -\frac{1}{14}(-\frac{1}{6})^{n-1} + \frac{4}{7} = \frac{4}{7} - \frac{1}{14}(-\frac{1}{6})^{n-1}
PB(n)=1PA(n)=1(47114(16)n1)=37+114(16)n1P_B(n) = 1 - P_A(n) = 1 - (\frac{4}{7} - \frac{1}{14}(-\frac{1}{6})^{n-1}) = \frac{3}{7} + \frac{1}{14}(-\frac{1}{6})^{n-1}

3. 最終的な答え

PA(n)=47114(16)n1P_A(n) = \frac{4}{7} - \frac{1}{14}(-\frac{1}{6})^{n-1}
PB(n)=37+114(16)n1P_B(n) = \frac{3}{7} + \frac{1}{14}(-\frac{1}{6})^{n-1}

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