$N$次正方行列 $A$ が対角化可能であると仮定する。すなわち、正則な$N$次正方行列 $V$ と $N$次対角行列 $D$ が存在して、$D = V^{-1}AV$ が成り立つとする。このとき、$A^t = VD^tV^{-1}$ が成り立つことを示す。ここで、$A^t$ は $A$ を $t$ 個掛け合わせたものである。

代数学線形代数行列対角化数学的帰納法
2025/7/23

1. 問題の内容

NN次正方行列 AA が対角化可能であると仮定する。すなわち、正則なNN次正方行列 VVNN次対角行列 DD が存在して、D=V1AVD = V^{-1}AV が成り立つとする。このとき、At=VDtV1A^t = VD^tV^{-1} が成り立つことを示す。ここで、AtA^tAAtt 個掛け合わせたものである。

2. 解き方の手順

まず、A=VDV1A = VDV^{-1} であることを確認する。これは、D=V1AVD = V^{-1}AV の両辺に左から VV、右から V1V^{-1} を掛けることで得られる。
AtA^t を計算するために、A2A^2 を計算してみる。
A2=AA=(VDV1)(VDV1)=VD(V1V)DV1=VDDV1=VD2V1A^2 = A \cdot A = (VDV^{-1})(VDV^{-1}) = VD(V^{-1}V)DV^{-1} = VDDV^{-1} = VD^2V^{-1}
次に、A3A^3 を計算してみる。
A3=A2A=(VD2V1)(VDV1)=VD2(V1V)DV1=VD2DDV1=VD3V1A^3 = A^2 \cdot A = (VD^2V^{-1})(VDV^{-1}) = VD^2(V^{-1}V)DV^{-1} = VD^2DDV^{-1} = VD^3V^{-1}
これらの結果から、At=VDtV1A^t = VD^tV^{-1} が成り立つと推測できる。これを数学的帰納法で証明する。
(1) t=1t=1 のとき:
A1=A=VDV1A^1 = A = VDV^{-1} であるから、t=1t=1 のとき成立する。
(2) t=kt=k のとき、Ak=VDkV1A^k = VD^kV^{-1} が成り立つと仮定する。
(3) t=k+1t=k+1 のとき:
Ak+1=AkA=(VDkV1)(VDV1)=VDk(V1V)DV1=VDkDDV1=VDk+1V1A^{k+1} = A^k \cdot A = (VD^kV^{-1})(VDV^{-1}) = VD^k(V^{-1}V)DV^{-1} = VD^kDDV^{-1} = VD^{k+1}V^{-1}
したがって、t=k+1t=k+1 のときも成立する。
よって、数学的帰納法により、At=VDtV1A^t = VD^tV^{-1} がすべての正の整数 tt に対して成り立つ。

3. 最終的な答え

At=VDtV1A^t = VD^tV^{-1}

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