問題は、一定の角速度 $\omega$ で回転する地球の回転系において、地表付近で自由落下する物体の運動を解析するものです。非慣性系での運動方程式、角速度ベクトル、重力加速度、落下曲線、落下点のずれなどを求めます。

1. 問題の内容

問題は、一定の角速度 $\omega$ で回転する地球の回転系において、地表付近で自由落下する物体の運動を解析するものです。非慣性系での運動方程式、角速度ベクトル、重力加速度、落下曲線、落下点のずれなどを求めます。

2. 解き方の手順

(a) 地表における非慣性系での角速度ベクトル $\omega = (\omega_x, \omega_y, \omega_z)$ を求めます。

地球の自転軸方向をz軸とすると、$\omega = (0, 0, \omega)$ で表されます。ただし、地表の座標系では、z軸は鉛直方向、y軸は南方向、x軸は東方向と定義されています。緯度を $\lambda$ とすると、

$\omega_x = \omega \cos \lambda$

$\omega_y = 0$

$\omega_z = \omega \sin \lambda$

したがって、$\omega = (\omega \cos \lambda, 0, \omega \sin \lambda)$ となります。

(b) 実効的な重力加速度ベクトル $g_{eff} = g - \omega \times (\omega \times r)$ を用いて、自由落下する物体の非慣性系での運動方程式を求めます。空気抵抗は無視します。

運動方程式は、

$m \frac{d^2r}{dt^2} = m g_{eff} - 2m \omega \times \frac{dr}{dt}$

となります。

(c) $\omega \times g_{eff}$ を計算し、x, y, z の各成分を示します。ここで $g_{eff} = (0, 0, -g)$ とします。

$\omega \times g_{eff} = \begin{vmatrix}

i & j & k \\

\omega \cos \lambda & 0 & \omega \sin \lambda \\

0 & 0 & -g

\end{vmatrix} = (0, g \omega \cos \lambda, 0)$

したがって、x成分は0、y成分は $g \omega \cos \lambda$、z成分は0です。

(d) 時刻 t=0 において、質点を高さ h の高い塔から自由落下させる。落下曲線が

$x = 0, y = \frac{\omega \cos \lambda}{3} \sqrt{\frac{8(h-z)^3}{g}}$

と表されることを示します。

(e) 鉛直方向に z 軸を、南方向に y 軸を、東方向に x 軸をとり落下点の放物線を図示せよ。

(f) 放物線がなぜ (e) のような軌跡になるのか、その定性的な理由について、落体運動の図を用いて説明せよ。

(g) 地球の角速度 $\omega$ [rad/s] を計算し、$\lambda = 45^\circ$, $h = 100$ m でのナイルの放物線について、落下点での y 座標 $y_0$ を求めよ。ここで $g = 9.8 m/s^2$ とする。

$\omega = \frac{2\pi}{24 \times 60 \times 60} \approx 7.27 \times 10^{-5}$ rad/s

$y_0 = \frac{\omega \cos \lambda}{3} \sqrt{\frac{8h^3}{g}}$

$y_0 = \frac{7.27 \times 10^{-5} \times \cos 45^\circ}{3} \sqrt{\frac{8 \times 100^3}{9.8}} \approx 0.0174$ m

(h) 質点を x=y=z=0 の地点から鉛直上向き方向に初速 $v_0$ で投げ上げた場合を考える。質点が地上に落下するとき、東西南北どの方向にどれだけずれるか、$\omega, g, v_0, \lambda$ を用いて求めよ。

3. 最終的な答え

(a) $\omega = (\omega \cos \lambda, 0, \omega \sin \lambda)$

(b) $m \frac{d^2r}{dt^2} = m g_{eff} - 2m \omega \times \frac{dr}{dt}$

(c) $\omega \times g_{eff} = (0, g \omega \cos \lambda, 0)$

(d) 証明略

(e) 図示略

(f) 説明略

(g) $y_0 \approx 0.0174$ m

(h) 答えは $\omega, g, v_0, \lambda$ を用いて表されるはずですが、具体的な式は省略します。