与えられた2つの $n$ 次正方行列 $A$ と $B$ の行列式をそれぞれ求めよ。ここで、$x$ は実数である。行列 $A$ は対角成分が1、それ以外の成分が $x$ である行列。行列 $B$ は対角成分が2、対角成分の上下に1、それ以外の成分は0である行列。

代数学行列式正方行列固有値漸化式
2025/7/24

1. 問題の内容

与えられた2つの nn 次正方行列 AABB の行列式をそれぞれ求めよ。ここで、xx は実数である。行列 AA は対角成分が1、それ以外の成分が xx である行列。行列 BB は対角成分が2、対角成分の上下に1、それ以外の成分は0である行列。

2. 解き方の手順

**行列Aの行列式**
行列 AA の行列式を計算するために、A=(1x)I+xJA = (1-x)I + xJと表す。ここで、IInn 次の単位行列、JJ はすべての要素が1である nn 次の行列である。
A=(1x)I+xJ=(1x)nI+x1xJ|A| = |(1-x)I + xJ| = (1-x)^n |I + \frac{x}{1-x} J|
ここで、JJ の固有値は nn (重複度1) と 0 (重複度 n1n-1) であるから、I+x1xJI + \frac{x}{1-x} J の固有値は 1+x1xn1 + \frac{x}{1-x}n (重複度1) と 1 (重複度 n1n-1) である。したがって、
I+x1xJ=(1+nx1x)1n1=1+nx1x=1+(n1)x1x|I + \frac{x}{1-x} J| = (1 + \frac{nx}{1-x}) \cdot 1^{n-1} = 1 + \frac{nx}{1-x} = \frac{1 + (n-1)x}{1-x}
よって、
A=(1x)n1+(n1)x1x=(1x)n1(1+(n1)x)|A| = (1-x)^n \frac{1+(n-1)x}{1-x} = (1-x)^{n-1}(1+(n-1)x)
**行列Bの行列式**
行列 BB の行列式を DnD_n とする。
D1=2,D2=2112=41=3D_1 = 2, D_2 = \begin{vmatrix} 2 & 1 \\ 1 & 2 \end{vmatrix} = 4 - 1 = 3
D3=210121012=2211211102=2(3)1(2)=4D_3 = \begin{vmatrix} 2 & 1 & 0 \\ 1 & 2 & 1 \\ 0 & 1 & 2 \end{vmatrix} = 2 \begin{vmatrix} 2 & 1 \\ 1 & 2 \end{vmatrix} - 1 \begin{vmatrix} 1 & 1 \\ 0 & 2 \end{vmatrix} = 2(3) - 1(2) = 4
BB の行列式は漸化式を用いて計算できる。nn次の行列式 DnD_n は、第一行で展開することで以下のように書ける。
Dn=2Dn111100021001200002=2Dn1Dn2D_n = 2 D_{n-1} - 1 \cdot \begin{vmatrix} 1 & 1 & 0 & \dots & 0 \\ 0 & 2 & 1 & \dots & 0 \\ 0 & 1 & 2 & \dots & 0 \\ \vdots & \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\ 0 & 0 & 0 & \dots & 2 \end{vmatrix} = 2D_{n-1} - D_{n-2}
したがって、Dn=2Dn1Dn2D_n = 2D_{n-1} - D_{n-2}
この漸化式は、DnDn1=Dn1Dn2D_n - D_{n-1} = D_{n-1} - D_{n-2} であることを意味する。つまり、DnD_n は等差数列である。
D1=2,D2=3D_1 = 2, D_2 = 3 なので、公差は1である。したがって、Dn=n+1D_n = n+1

3. 最終的な答え

行列 AA の行列式は (1x)n1(1+(n1)x)(1-x)^{n-1}(1+(n-1)x)
行列 BB の行列式は n+1n+1

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