$X$ を体とする。加法に関する逆元がただ一つに決まることを、背理法を用いて証明する。証明の各ステップで使用する体の定義における性質を答える。
2025/7/24
1. 問題の内容
を体とする。加法に関する逆元がただ一つに決まることを、背理法を用いて証明する。証明の各ステップで使用する体の定義における性質を答える。
2. 解き方の手順
背理法を用いるため、まず に対して逆元が複数存在すると仮定する。そのうちの二つを と () とする。
以下のように式変形を行い、矛盾を導く。
1. $x_1' = x_1' + e$ (ア)
加法単位元 の定義より、 が成り立つ。
2. $x_1' = x_1' + (x + x_2')$ (イ)
は の逆元であるから、 が成り立つ。したがって、。
3. $x_1' + (x + x_2') = (x_1' + x) + x_2'$ (ウ)
加法の結合法則より、。
4. $(x_1' + x) + x_2' = (x + x_1') + x_2'$ (エ)
加法の交換法則より、。したがって、。
5. $(x + x_1') + x_2' = e + x_2'$ (オ)
は の逆元であるから、 が成り立つ。
6. $e + x_2' = x_2' + e$ (カ)
加法単位元に関する交換法則が成り立つ。
7. $x_2' + e = x_2'$ (キ)
加法単位元 の定義より、 が成り立つ。
以上より、 となり、 という仮定に矛盾する。したがって、加法に関する逆元は一意に決まる。
3. 最終的な答え
ア:加法単位元の定義
イ:逆元の定義
ウ:加法の結合法則
エ:加法の交換法則
オ:逆元の定義
カ:加法単位元に関する交換法則
キ:加法単位元の定義