$n$ 次の実対称行列 $A$ が与えられている。ベクトル $\mathbf{u}, \mathbf{v} \in \mathbb{R}^n$ はそれぞれ $A$ の固有値 $\lambda, \mu$ に対応する固有ベクトルである。$\lambda \neq \mu$ ならば、$\mathbf{u}$ と $\mathbf{v}$ が直交することを示す。

1. 問題の内容

$n$ 次の実対称行列 $A$ が与えられている。ベクトル $\mathbf{u}, \mathbf{v} \in \mathbb{R}^n$ はそれぞれ $A$ の固有値 $\lambda, \mu$ に対応する固有ベクトルである。$\lambda \neq \mu$ ならば、$\mathbf{u}$ と $\mathbf{v}$ が直交することを示す。

2. 解き方の手順

$\mathbf{u}$ と $\mathbf{v}$ がそれぞれ固有値 $\lambda$ と $\mu$ に対応する固有ベクトルであることから、以下が成り立つ。

$A\mathbf{u} = \lambda \mathbf{u}$

$A\mathbf{v} = \mu \mathbf{v}$

ここで、$\mathbf{u}$ と $\mathbf{v}$ の内積を $\langle \mathbf{u}, \mathbf{v} \rangle$ と表す。

$\mathbf{u}$ と $\mathbf{v}$ が直交することを示すには、$\langle \mathbf{u}, \mathbf{v} \rangle = 0$ を示せば良い。

$A$ が実対称行列であることから、$A = A^T$ が成り立つ。

まず、$\langle A\mathbf{u}, \mathbf{v} \rangle$ を考える。

$\langle A\mathbf{u}, \mathbf{v} \rangle = \langle \lambda \mathbf{u}, \mathbf{v} \rangle = \lambda \langle \mathbf{u}, \mathbf{v} \rangle$

次に、$\langle \mathbf{u}, A\mathbf{v} \rangle$ を考える。

$\langle \mathbf{u}, A\mathbf{v} \rangle = \langle \mathbf{u}, \mu \mathbf{v} \rangle = \mu \langle \mathbf{u}, \mathbf{v} \rangle$

内積の性質より、$\langle A\mathbf{u}, \mathbf{v} \rangle = \langle \mathbf{u}, A^T\mathbf{v} \rangle$ であり、$A = A^T$ であるから、

$\langle A\mathbf{u}, \mathbf{v} \rangle = \langle \mathbf{u}, A\mathbf{v} \rangle$

したがって、

$\lambda \langle \mathbf{u}, \mathbf{v} \rangle = \mu \langle \mathbf{u}, \mathbf{v} \rangle$

$(\lambda - \mu) \langle \mathbf{u}, \mathbf{v} \rangle = 0$

$\lambda \neq \mu$ であるから、$\lambda - \mu \neq 0$ である。

したがって、$\langle \mathbf{u}, \mathbf{v} \rangle = 0$ となる。

3. 最終的な答え

$\lambda \neq \mu$ ならば、$\mathbf{u}$ と $\mathbf{v}$ は直交する。