質量 $m$ の質点 P が、原点 O からの距離 $r$ に対して $-\frac{ma}{r^3} \hat{r}$ (ただし $a > 0$, $1 < s < 3$) の力を受けて運動している。ここで $\hat{r}$ は質点 P の位置ベクトル $\vec{r}$ と同じ向きの単位ベクトルである。初期条件は、時刻 $t=0$ で質点 P の位置が $(0,1,0)$ であり、速度が $(u, v, w)$ である。以下の問いに答える。 (i) 質点 P は一つの平面上でのみ運動する。つまり、質点 P の位置を $(X, Y, Z)$ とすると、$\alpha X + \beta Y + \gamma Z = \eta$ の関係が成り立つ。定数 $\alpha, \beta, \gamma$ を $m, u, v, w$ を用いて表せ。 (ii) 線分 OP が直線 OP0 となす角を $\theta$ とする。原点に関する角運動量の大きさ $H$ は $H = mr^2 \frac{d\theta}{dt}$ と表せる。$H$ は時間によらない一定値になる。その値を $m, u, v, w$ を用いて表せ。 (iii) $r$ は次の方程式に従う。$\frac{d^2r}{dt^2} = \frac{H^2}{m^2r^3} - \frac{a}{r^s}$. 単位質量の粒子が正の x 軸上で、その位置が $x$ であるときに $F(x) = \frac{H^2}{m^2x^3} - \frac{a}{x^s}$ の力を受けて運動する場合に対応する。 (a) この粒子のポテンシャル $U(x)$ を、無限遠点でのポテンシャルを 0 であるとして、$x, m, H, a, s$ を用いて表わせ。 (b) 運動が振動となるための力学的エネルギー $E$ の値の範囲を求めよ。

応用数学力学ベクトル角運動量ポテンシャル微分方程式
2025/7/25

1. 問題の内容

質量 mm の質点 P が、原点 O からの距離 rr に対して mar3r^-\frac{ma}{r^3} \hat{r} (ただし a>0a > 0, 1<s<31 < s < 3) の力を受けて運動している。ここで r^\hat{r} は質点 P の位置ベクトル r\vec{r} と同じ向きの単位ベクトルである。初期条件は、時刻 t=0t=0 で質点 P の位置が (0,1,0)(0,1,0) であり、速度が (u,v,w)(u, v, w) である。以下の問いに答える。
(i) 質点 P は一つの平面上でのみ運動する。つまり、質点 P の位置を (X,Y,Z)(X, Y, Z) とすると、αX+βY+γZ=η\alpha X + \beta Y + \gamma Z = \eta の関係が成り立つ。定数 α,β,γ\alpha, \beta, \gammam,u,v,wm, u, v, w を用いて表せ。
(ii) 線分 OP が直線 OP0 となす角を θ\theta とする。原点に関する角運動量の大きさ HHH=mr2dθdtH = mr^2 \frac{d\theta}{dt} と表せる。HH は時間によらない一定値になる。その値を m,u,v,wm, u, v, w を用いて表せ。
(iii) rr は次の方程式に従う。d2rdt2=H2m2r3ars\frac{d^2r}{dt^2} = \frac{H^2}{m^2r^3} - \frac{a}{r^s}. 単位質量の粒子が正の x 軸上で、その位置が xx であるときに F(x)=H2m2x3axsF(x) = \frac{H^2}{m^2x^3} - \frac{a}{x^s} の力を受けて運動する場合に対応する。
(a) この粒子のポテンシャル U(x)U(x) を、無限遠点でのポテンシャルを 0 であるとして、x,m,H,a,sx, m, H, a, s を用いて表わせ。
(b) 運動が振動となるための力学的エネルギー EE の値の範囲を求めよ。

2. 解き方の手順

(i) 初期位置 (0,1,0)(0, 1, 0) と初期速度 (u,v,w)(u, v, w) から、平面の方程式を求める。位置 (X,Y,Z)(X, Y, Z) がこの平面上にあるので、
αX+βY+γZ=η\alpha X + \beta Y + \gamma Z = \eta
t=0t=0(X,Y,Z)=(0,1,0)(X, Y, Z) = (0, 1, 0) なので 0+β(1)+0=ηβ=η0 + \beta(1) + 0 = \eta \rightarrow \beta = \eta
速度ベクトル (u,v,w)(u, v, w) はこの平面に平行なので、平面の法線ベクトル (α,β,γ)(\alpha, \beta, \gamma) との直積はゼロになる。
αu+βv+γw=0\alpha u + \beta v + \gamma w = 0
初期位置 (0,1,0)(0, 1, 0) から法線ベクトル (α,β,γ)(\alpha, \beta, \gamma)α=w,β=0,γ=u\alpha = w, \beta = 0, \gamma = -u を得る。
したがって、wX+0YuZ=η=0wX + 0Y -uZ = \eta = 0wXuZ=0wX - uZ = 0
α=w,β=0,γ=u\alpha = w, \beta = 0, \gamma = -u
(ii) 角運動量は H=mr2dθdtH = mr^2 \frac{d\theta}{dt} で与えられる。初期位置は (0,1,0)(0, 1, 0) なので、x=0,y=1,z=0x=0, y=1, z=0 であり、r=02+12+02=1r = \sqrt{0^2 + 1^2 + 0^2} = 1。速度 (u,v,w)(u, v, w) の内、z 方向の速度 ww と x 方向の速度 uu が角運動量に関わる。H=m(xwuz)H = m(xw - uz). 初期条件より x=0,y=1,z=0,x˙=u,y˙=v,z˙=wx=0, y=1, z=0, \dot{x}=u, \dot{y}=v, \dot{z}=w. 従って H=m(0w0u)=0H = m(0w - 0u) = 0 は成り立たない。
角運動量は、H=mr×vH = m|\vec{r} \times \vec{v}|. r=(0,1,0)\vec{r} = (0, 1, 0), v=(u,v,w)\vec{v} = (u, v, w) なので r×v=(w,0,u)\vec{r} \times \vec{v} = (w, 0, -u). H=mw2+u2H = m\sqrt{w^2 + u^2}.
(iii) (a) ポテンシャル U(x)U(x)F(x)=dU(x)dxF(x) = -\frac{dU(x)}{dx} で与えられるので、
U(x)=F(x)dx=(H2m2x3axs)dx=H2m2x3dx+axsdxU(x) = -\int F(x) dx = -\int (\frac{H^2}{m^2x^3} - \frac{a}{x^s}) dx = -\frac{H^2}{m^2} \int x^{-3} dx + a \int x^{-s} dx
U(x)=H2m2x22+axs+1s+1=H22m2x2+a1sx1sU(x) = -\frac{H^2}{m^2} \frac{x^{-2}}{-2} + a \frac{x^{-s+1}}{-s+1} = \frac{H^2}{2m^2x^2} + \frac{a}{1-s}x^{1-s}. 無限遠で U(x)=0U(x) = 0 なので積分定数は不要。
(b) 振動するためには、ポテンシャルの極小値が存在し、エネルギー EE が極小値より大きく、ポテンシャルが無限大に発散する点より小さい必要がある。つまり、Umin<E<0U_{min} < E < 0.
ポテンシャルの極小値を求めるには、dUdx=0\frac{dU}{dx} = 0 となる点を求める。
dUdx=H22m2(2)x3+a1s(1s)xs=H2m2x3+axs=0\frac{dU}{dx} = \frac{H^2}{2m^2}(-2)x^{-3} + \frac{a}{1-s} (1-s) x^{-s} = -\frac{H^2}{m^2x^3} + ax^{-s} = 0
H2m2x3=axs\frac{H^2}{m^2x^3} = \frac{a}{x^s}
xs3=am2H2x^{s-3} = \frac{am^2}{H^2}
x=(am2H2)1s3x = (\frac{am^2}{H^2})^{\frac{1}{s-3}}
Umin=H22m2(am2H2)2s3+a1s(am2H2)1ss3=H22m2(H2am2)23s+a1s(am2H2)s1s3=H2(3s)43s2m2(3s)43sa23s+a1sas1s3m2(s1)s3H2(s1)s3U_{min} = \frac{H^2}{2m^2(\frac{am^2}{H^2})^{\frac{2}{s-3}}} + \frac{a}{1-s}(\frac{am^2}{H^2})^{\frac{1-s}{s-3}} = \frac{H^2}{2m^2}(\frac{H^2}{am^2})^{\frac{2}{3-s}} + \frac{a}{1-s}(\frac{am^2}{H^2})^{\frac{s-1}{s-3}} = \frac{H^{\frac{2(3-s)-4}{3-s}}}{2m^{\frac{2(3-s)-4}{3-s}}} a^{\frac{2}{3-s}} + \frac{a}{1-s}a^{\frac{s-1}{s-3}}m^{\frac{2(s-1)}{s-3}}H^{\frac{-2(s-1)}{s-3}}

3. 最終的な答え

(i) α=w,β=0,γ=u\alpha = w, \beta = 0, \gamma = -u
(ii) H=mu2+w2H = m\sqrt{u^2 + w^2}
(iii) (a) U(x)=H22m2x2+a1sx1sU(x) = \frac{H^2}{2m^2x^2} + \frac{a}{1-s}x^{1-s}
(iii) (b) Umin<E<0U_{min} < E < 0. ただし、Umin=H2(3s)43s2m2(3s)43sa23s+a1sas1s3m2(s1)s3H2(s1)s3U_{min} = \frac{H^{\frac{2(3-s)-4}{3-s}}}{2m^{\frac{2(3-s)-4}{3-s}}} a^{\frac{2}{3-s}} + \frac{a}{1-s}a^{\frac{s-1}{s-3}}m^{\frac{2(s-1)}{s-3}}H^{\frac{-2(s-1)}{s-3}} であり、x=(am2H2)1s3x = (\frac{am^2}{H^2})^{\frac{1}{s-3}}の時の値。

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