ある高校の男子学生の身長を30人無作為に調べたところ、標本標準偏差が5cmであった。身長は正規分布に従うと仮定する。母標準偏差を信頼係数95%で区間推定し、(1)下限信頼限界と(2)上限信頼限界を求めよ。

確率論・統計学区間推定母標準偏差カイ二乗分布信頼区間
2025/7/25

1. 問題の内容

ある高校の男子学生の身長を30人無作為に調べたところ、標本標準偏差が5cmであった。身長は正規分布に従うと仮定する。母標準偏差を信頼係数95%で区間推定し、(1)下限信頼限界と(2)上限信頼限界を求めよ。

2. 解き方の手順

母分散の区間推定には、カイ二乗分布を利用する。
標本サイズを nn、標本標準偏差を ss、母標準偏差を σ\sigma とすると、統計量
χ2=(n1)s2σ2\chi^2 = \frac{(n-1)s^2}{\sigma^2}
は自由度 n1n-1 のカイ二乗分布に従う。信頼係数95%の場合、α=0.05\alpha = 0.05 となる。
χα/2,n12\chi^2_{\alpha/2, n-1}χ1α/2,n12\chi^2_{1-\alpha/2, n-1} をそれぞれ自由度 n1n-1 のカイ二乗分布における α/2\alpha/2 点と 1α/21-\alpha/2 点とすると、母分散 σ2\sigma^2 の信頼区間は
(n1)s2χα/2,n12σ2(n1)s2χ1α/2,n12\frac{(n-1)s^2}{\chi^2_{\alpha/2, n-1}} \le \sigma^2 \le \frac{(n-1)s^2}{\chi^2_{1-\alpha/2, n-1}}
と表される。
この不等式の各項の正の平方根をとると、母標準偏差 σ\sigma の信頼区間は
(n1)s2χα/2,n12σ(n1)s2χ1α/2,n12\sqrt{\frac{(n-1)s^2}{\chi^2_{\alpha/2, n-1}}} \le \sigma \le \sqrt{\frac{(n-1)s^2}{\chi^2_{1-\alpha/2, n-1}}}
となる。
今回の問題では、n=30n=30, s=5s=5 である。信頼係数は95%なので、α=0.05\alpha = 0.05 である。
したがって、自由度 n1=29n-1 = 29 のカイ二乗分布における 0.0250.025 点と 0.9750.975 点を求める。カイ二乗分布表より、
χ0.025,29245.722\chi^2_{0.025, 29} \approx 45.722
χ0.975,29216.047\chi^2_{0.975, 29} \approx 16.047
である。
(1) 下限信頼限界は
(301)5245.722=29×2545.722=72545.72215.8573.98\sqrt{\frac{(30-1)5^2}{45.722}} = \sqrt{\frac{29 \times 25}{45.722}} = \sqrt{\frac{725}{45.722}} \approx \sqrt{15.857} \approx 3.98
(2) 上限信頼限界は
(301)5216.047=29×2516.047=72516.04745.1826.72\sqrt{\frac{(30-1)5^2}{16.047}} = \sqrt{\frac{29 \times 25}{16.047}} = \sqrt{\frac{725}{16.047}} \approx \sqrt{45.182} \approx 6.72

3. 最終的な答え

(1) 下限信頼限界: 3.98 cm
(2) 上限信頼限界: 6.72 cm

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