傾斜角60°のなめらかな斜面上の点Aに質量 $m$ [kg]の物体を置き、静かに放します。斜面に沿ってAから $L$ [m]だけ下方の点をBとします。重力加速度を $g$ [m/s$^2$]とします。 (a) 点Aでの加速度はいくらですか(斜面下方を正とする)。 (b) 点Aでの垂直抗力はいくらですか。 (c) 点Bでの速さはいくらですか((a)の結果を踏まえた答案)。 (d) 点Bでの速さはいくらですか((a)の結果を利用しない答案)。 (e) 物体がAB間を通過するのに要する時間はいくらですか。 (f) 以上を踏まえて、力積と運動量の変化量が確かに等しいことを示しましょう。

応用数学力学運動方程式エネルギー保存則力積運動量
2025/7/25

1. 問題の内容

傾斜角60°のなめらかな斜面上の点Aに質量 mm [kg]の物体を置き、静かに放します。斜面に沿ってAから LL [m]だけ下方の点をBとします。重力加速度を gg [m/s2^2]とします。
(a) 点Aでの加速度はいくらですか(斜面下方を正とする)。
(b) 点Aでの垂直抗力はいくらですか。
(c) 点Bでの速さはいくらですか((a)の結果を踏まえた答案)。
(d) 点Bでの速さはいくらですか((a)の結果を利用しない答案)。
(e) 物体がAB間を通過するのに要する時間はいくらですか。
(f) 以上を踏まえて、力積と運動量の変化量が確かに等しいことを示しましょう。

2. 解き方の手順

(a) 斜面下向きを正とする。物体に働く力は重力 mgmg であり、斜面下向きの成分は mgsin60mg\sin{60^\circ} です。したがって、運動方程式は ma=mgsin60ma = mg\sin{60^\circ} となります。
a=gsin60=g32a = g\sin{60^\circ} = g\frac{\sqrt{3}}{2}
(b) 斜面に垂直な方向の力のつり合いを考えます。垂直抗力を NN とすると、N=mgcos60=mg12N = mg\cos{60^\circ} = mg\frac{1}{2}
(c) 点Aから点Bまでの距離が LL であり、加速度が a=g32a = g\frac{\sqrt{3}}{2} であるので、等加速度運動の公式 v2v02=2axv^2 - v_0^2 = 2ax を使います。初速度 v0=0v_0 = 0 より、 v2=2aL=2g32L=3gLv^2 = 2aL = 2g\frac{\sqrt{3}}{2}L = \sqrt{3}gL。したがって、v=3gLv = \sqrt{\sqrt{3}gL}
(d) 位置エネルギーの減少が運動エネルギーに変換されることを利用します。点Aを基準とした点Bの高さは Lsin60=L32-L\sin{60^\circ} = -L\frac{\sqrt{3}}{2}。したがって、位置エネルギーの減少は mgL32mgL\frac{\sqrt{3}}{2} であり、これが運動エネルギー 12mv2\frac{1}{2}mv^2 に等しくなります。
12mv2=mgL32\frac{1}{2}mv^2 = mgL\frac{\sqrt{3}}{2}
v2=3gLv^2 = \sqrt{3}gL
v=3gLv = \sqrt{\sqrt{3}gL}
(e) 等加速度運動の公式 x=v0t+12at2x = v_0t + \frac{1}{2}at^2 を使います。L=12at2=12g32t2L = \frac{1}{2}at^2 = \frac{1}{2}g\frac{\sqrt{3}}{2}t^2。したがって、t2=4L3gt^2 = \frac{4L}{\sqrt{3}g}
t=4L3g=2L3gt = \sqrt{\frac{4L}{\sqrt{3}g}} = 2\sqrt{\frac{L}{\sqrt{3}g}}
(f) 力積は Ft=(mgsin60)t=mg32tFt = (mg\sin{60^\circ})t = mg\frac{\sqrt{3}}{2}t であり、運動量の変化は mvmv0=mv=m3gLmv - mv_0 = mv = m\sqrt{\sqrt{3}gL} です。
Ft=mg322L3g=mg3Lg=m3gLFt = mg\frac{\sqrt{3}}{2}2\sqrt{\frac{L}{\sqrt{3}g}} = mg\sqrt{\sqrt{3}\frac{L}{g}} = m\sqrt{\sqrt{3}gL}
したがって、力積と運動量の変化は等しいです。

3. 最終的な答え

(a) a=32ga = \frac{\sqrt{3}}{2}g
(b) N=12mgN = \frac{1}{2}mg
(c) v=3gLv = \sqrt{\sqrt{3}gL}
(d) v=3gLv = \sqrt{\sqrt{3}gL}
(e) t=2L3gt = 2\sqrt{\frac{L}{\sqrt{3}g}}
(f) 力積と運動量の変化は等しい。

「応用数学」の関連問題

質量がそれぞれ0.2kgと0.3kgの物体AとBが、滑らかな水平面上に軽い糸で繋がれている。物体Aには左向きに1.0Nの力が、物体Bには右向きに1.5Nの力が加わっている。 (1) A, Bはどちら向...

力学運動方程式物理加速度張力
2025/7/26

質量2kgの物体Aと4kgの物体Bが軽い糸で繋がれて水平面上に置かれている。物体Bを12Nの力で右向きに引くとき、 (1) AとBの加速度を求める。 (2) AB間の糸の張力を求める。

力学運動方程式物理
2025/7/26

質量がそれぞれ2kg、3kgの物体A, Bが接して、なめらかな水平面上に置かれている。Aを右向きに20Nの力で押したとき、(1)物体の加速度、(2)A, Bが押し合う力をそれぞれ求める。

力学ニュートンの運動方程式加速度質量
2025/7/26

つるまきバネの下端に50gのおもりをつるすと全長が22cmになり、80gのおもりをつるすと全長が28cmになった。何もつるさないときのバネの長さと、このバネの弾性定数を求める問題です。

フックの法則弾性連立方程式物理
2025/7/26

与えられた2つの消費関数について、グラフを描き、限界消費性向を求める問題です。 消費関数は以下の通りです。 (1) $C = 100 + 0.8Y$ (2) $C = 150 + 0.7Y$ ここで、...

消費関数経済学グラフ一次関数限界消費性向
2025/7/26

## 問題の内容

ギブスの相律相図ギブズエネルギー熱力学自由度
2025/7/26

画像には、国際貿易に関する2つの問題(5.6と7)の一部が含まれています。5.6では相対価格と需要曲線(RD)に関する図が示され、7では貿易後の両国の所得と予算制約式に関する記述があります。特に7では...

経済学予算制約式相対価格貿易
2025/7/26

$4.32^n$ の整数部分が4桁であるような整数 $n$ の個数を求める問題です。ただし、$\log_{10} 2 = 0.3010$ および $\log_{10} 3 = 0.4771$ を使用し...

対数常用対数不等式桁数
2025/7/26

$\mu(x) = e^{\int 1 dx} = e^x$

微分方程式1階線形微分方程式積分因子
2025/7/26

$x$軸に沿って伝わる正弦波について、時刻$t=0$[s]における波の変位$y$の空間的な変化(図1)と、位置$x=0$[m]にある媒質の変位$y$の時間的な変化(図2)が与えられている。 (1) こ...

波動正弦波物理
2025/7/26