## 問題の内容
1. **相図に関する穴埋め問題:** 図1の相図を説明する文章中の空欄(①~⑩)を埋める。①と②は物質の元素記号、③と⑤は図中の記号で答える。
2. **ギブズエネルギーの比較:** 図1中の点に関するAのギブズエネルギーの大小を比較し、その理由を説明する。
3. **相数、成分数、自由度の計算:** 図1中の各点における相数(P)、成分数(C)、自由度(F)をそれぞれ計算する。
## 解き方の手順
**(1) 相図に関する穴埋め問題**
* **①と②:** 図はAとBの混合物に関する相図であることから、①はA、②はBである。
* **③:** 点a1から温度を下げていくと、点a2でBが析出し始める。したがって、③はa2である。
* **④:** Bが析出すると、残った液体中のBの濃度は小さくなる。
* **⑤:** 溶液が凝固し始めるのは点eである。
* **⑥:** 点eを通る垂線は共晶組成である。
* **⑦:** 共晶組成を持つ固体は共晶組成で固化しても組成に変化が見られない。
* **⑧:** 共晶点はどの組成の混合物よりも融点が低い。
* **⑨:** 共晶点に達すると、AとBどちらの析出も伴わない。
* **⑩:** このように、一定温度で固化することを共晶という。
**(2) ギブズエネルギーの比較**
* **(ア) (a1 ⑪ a4)**: 点a1は純粋なAの液体であり、点a4はAとBの混合物(共晶点における液相)である。一般に混合エントロピーにより、混合物のギブズエネルギーは純粋な物質のそれよりも低くなる。したがって、。
* **(イ) (e ⑫ a3)**: 点eと点a3はどちらも共晶点における温度である。点eは液体相であり、点a3は固体相(AとBの混合物)である。凝固が自発的に起こる(温度を下げることで液体が凝固する)ということは、固体相のギブズエネルギーの方が低いことを意味する。したがって、。
**(3) 相数、成分数、自由度の計算**
自由度を計算する際にギブスの相律 を用いる。ここでは成分数、は相数、は自由度を表す。
今回は圧力が一定という条件なので、となる。
* **(ア) c:** 点cは純粋なAの液相であり、相数は1、成分数は2(AとB)、自由度は 。
* P = 1, C = 2, F = 2
* **(イ) d:** 点dは純粋なBの液相であり、相数は1、成分数は2(AとB)、自由度は 。
* P = 1, C = 2, F = 2
* **(ウ) a2:** 点a2は液相とAの固体相が共存する点であり、相数は2、成分数は2(AとB)、自由度は 。
* P = 2, C = 2, F = 1
* **(エ) e:** 点eは液相とAの固体相、Bの固体相が共存する共晶点であり、相数は3、成分数は2(AとB)、自由度は 。
* P = 3, C = 2, F = 0
## 最終的な答え
**(1)**
① A
② B
③ a2
④ 小さ
⑤ e
⑥ 共晶
⑦ 共晶組成で固化
⑧ 融点が低
⑨ AとB
⑩ 共晶
**(2)**
(ア) a1 > a4。 理由は、混合エントロピーにより混合物の方がギブズエネルギーが低くなるため。
(イ) e > a3。 理由は、共晶点において固体相の方が液相よりもギブズエネルギーが低いため。
**(3)**
(ア) c: P = 1, C = 2, F = 2
(イ) d: P = 1, C = 2, F = 2
(ウ) a2: P = 2, C = 2, F = 1
(エ) e: P = 3, C = 2, F = 0