以下の2つの関数の $(x, y) \to (0, 0)$ における極限を求める問題です。極限が存在する場合はその値を、存在しない場合はその理由を答えます。 (i) $f(x, y) = \frac{x^2 y^2}{e^{x^2 + y^2}}$ (ii) $f(x, y) = \frac{\sin(x^2 + y^2)}{x^2 + y^2}$

1. 問題の内容

以下の2つの関数の $(x, y) \to (0, 0)$ における極限を求める問題です。極限が存在する場合はその値を、存在しない場合はその理由を答えます。

(i) $f(x, y) = \frac{x^2 y^2}{e^{x^2 + y^2}}$

(ii) $f(x, y) = \frac{\sin(x^2 + y^2)}{x^2 + y^2}$

2. 解き方の手順

(i) $f(x, y) = \frac{x^2 y^2}{e^{x^2 + y^2}}$ の場合

極座標変換 $x = r\cos\theta$, $y = r\sin\theta$ を行います。すると、 $x^2 + y^2 = r^2$ となり、 $f(x, y)$ は以下のように書き換えられます。

$f(r\cos\theta, r\sin\theta) = \frac{r^4 \cos^2\theta \sin^2\theta}{e^{r^2}}$

ここで、$r \to 0$ の極限を考えます。$\cos^2\theta$ と $\sin^2\theta$ は有界なので、

$0 \le \left| \frac{r^4 \cos^2\theta \sin^2\theta}{e^{r^2}} \right| \le \frac{r^4}{e^{r^2}}$

$\lim_{r \to 0} \frac{r^4}{e^{r^2}} = 0$ であることを示すには、ロピタルの定理を使うことができます。

$\lim_{r \to 0} \frac{r^4}{e^{r^2}} = \lim_{r \to 0} \frac{4r^3}{2re^{r^2}} = \lim_{r \to 0} \frac{2r^2}{e^{r^2}} = \lim_{r \to 0} \frac{4r}{2re^{r^2}} = \lim_{r \to 0} \frac{2}{e^{r^2}} = 0$.

もしくは、$e^{r^2} = 1 + r^2 + \frac{r^4}{2!} + \frac{r^6}{3!} + ...$　とテイラー展開できますから、$e^{r^2} \ge 1 + r^2 + \frac{r^4}{2}$となり、$r^4/e^{r^2} \le r^4/(1 + r^2 + \frac{r^4}{2})$となります。したがって、$r$がゼロに近づくとこの式はゼロに近づきます。

したがって、挟み撃ちの原理より、

$\lim_{(x, y) \to (0, 0)} \frac{x^2 y^2}{e^{x^2 + y^2}} = 0$

(ii) $f(x, y) = \frac{\sin(x^2 + y^2)}{x^2 + y^2}$ の場合

$t = x^2 + y^2$ とおくと、$(x, y) \to (0, 0)$ のとき $t \to 0$ となります。したがって、

$\lim_{(x, y) \to (0, 0)} \frac{\sin(x^2 + y^2)}{x^2 + y^2} = \lim_{t \to 0} \frac{\sin t}{t}$

$\lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x} = 1$ は既知であるため、

$\lim_{t \to 0} \frac{\sin t}{t} = 1$

3. 最終的な答え

(i) $\lim_{(x, y) \to (0, 0)} \frac{x^2 y^2}{e^{x^2 + y^2}} = 0$

(ii) $\lim_{(x, y) \to (0, 0)} \frac{\sin(x^2 + y^2)}{x^2 + y^2} = 1$