与えられたトラス構造物に対して、節点法または切断法を用いて各部材の軸力を計算し、圧縮力または引張力のどちらであるか判定する問題です。構造は左右対称であることを利用します。

1. 問題の内容

与えられたトラス構造物に対して、節点法または切断法を用いて各部材の軸力を計算し、圧縮力または引張力のどちらであるか判定する問題です。構造は左右対称であることを利用します。

2. 解き方の手順

対称性に着目し、構造の半分（例えば左半分）のみを計算します。

(1) 反力の計算:

まず、支点AとEにおける反力を計算します。構造全体に作用する鉛直方向の力の合計は $P/2 + P + P + P + P/2 = 4P$ です。対称性から、AとEの反力は等しく、それぞれ $2P$ です。

$R_A = R_E = 2P$（上向き）

(2) 節点Aの力の釣り合い:

節点Aに着目し、力の釣り合いを考えます。部材AB、AGの軸力をそれぞれ $N_{AB}$、$N_{AG}$ とします。鉛直方向の釣り合いより、

$R_A + N_{AG} \sin(\theta) = 0$

ここで、$\theta = 45^{\circ}$ であるため、$\sin(\theta) = \frac{1}{\sqrt{2}}$ です。

$2P + N_{AG} \frac{1}{\sqrt{2}} = 0$

$N_{AG} = -2\sqrt{2} P$（圧縮力）

水平方向の釣り合いより、

$N_{AB} + N_{AG} \cos(\theta) = 0$

$N_{AB} = -N_{AG} \cos(\theta) = -(-2\sqrt{2} P) \frac{1}{\sqrt{2}} = 2P$（引張力）

(3) 節点Gの力の釣り合い:

節点Gに着目し、力の釣り合いを考えます。部材GB、GH、GFの軸力をそれぞれ $N_{GB}$、$N_{GH}$、$N_{GF}$ とします。鉛直方向の釣り合いより、

$N_{GB} + N_{AG} \sin(45^{\circ}) - P = 0$

$N_{GB} - 2\sqrt{2}P \frac{1}{\sqrt{2}} - P = 0$

$N_{GB} - 2P - P = 0$

$N_{GB} = 3P$（引張力）

水平方向の釣り合いより、

$-N_{GF} - N_{GH} - N_{AG} \cos(45^{\circ}) = 0$

$-N_{GF} - N_{GH} - (-2\sqrt{2}P) \frac{1}{\sqrt{2}} = 0$

$N_{GF} + N_{GH} = 2P$

$N_{GF}$ は0, $N_{GH}$は2P(圧縮）である。

(4) 節点Bの力の釣り合い:

節点Bに着目し、力の釣り合いを考えます。部材BC、BHの軸力をそれぞれ $N_{BC}$、$N_{BH}$ とします。鉛直方向の釣り合いより、

$N_{GB} + N_{BH} \sin(45^{\circ}) = 0$

$3P + N_{BH} \frac{1}{\sqrt{2}} = 0$

$N_{BH} = -3\sqrt{2} P$（圧縮力）

水平方向の釣り合いより、

$-N_{AB} + N_{BC} + N_{BH} \cos(45^{\circ}) = 0$

$-2P + N_{BC} -3\sqrt{2}P \frac{1}{\sqrt{2}} = 0$

$N_{BC} - 2P - 3P = 0$

$N_{BC} = 5P$（引張力）

(5) 対象性より、以下の軸力も求まります。

$N_{GF} = 0, N_{GH} = 2P$

$N_{AB} = N_{DE}$

$N_{BC} = N_{CD}$

$N_{AG} = N_{EJ}$

$N_{GB} = N_{HI}$

$N_{BH} = N_{DI}$

3. 最終的な答え

各部材の軸力は以下のようになります。

$N_{AB} = 2P$ (引張力)

$N_{BC} = 5P$ (引張力)

$N_{CD} = 5P$ (引張力)

$N_{DE} = 2P$ (引張力)

$N_{AG} = -2\sqrt{2}P$ (圧縮力)

$N_{GB} = 3P$ (引張力)

$N_{BH} = -3\sqrt{2}P$ (圧縮力)

$N_{HI} = 3P$ (引張力)

$N_{DI} = -3\sqrt{2}P$ (圧縮力)

$N_{EJ} = -2\sqrt{2}P$ (圧縮力)

$N_{GF} = 0$

$N_{GH} = 2P$ (圧縮力)

$N_{IJ}= 0$

$N_{HI} = 2P$ (圧縮力)