与えられた $W$ がベクトル空間 $R[x]_3$ の部分空間であるかどうかを調べる問題です。ここで $R[x]_3$ は実数係数の3次以下の多項式全体からなるベクトル空間を表します。 各$W$はそれぞれ条件が異なり、(a)から(f)まで6つの場合について部分空間であるかを判定する必要があります。

代数学線形代数ベクトル空間部分空間多項式
2025/7/26

1. 問題の内容

与えられた WW がベクトル空間 R[x]3R[x]_3 の部分空間であるかどうかを調べる問題です。ここで R[x]3R[x]_3 は実数係数の3次以下の多項式全体からなるベクトル空間を表します。 各WWはそれぞれ条件が異なり、(a)から(f)まで6つの場合について部分空間であるかを判定する必要があります。

2. 解き方の手順

部分空間であるかどうかを判定するには、以下の3つの条件を確認する必要があります。
(1) ゼロベクトルが含まれること。つまり、f(x)=0f(x) = 0WW の条件を満たすこと。
(2) スカラー倍で閉じていること。つまり、f(x)Wf(x) \in W ならば、cf(x)Wcf(x) \in W ( cc は任意のスカラー)
(3) 和で閉じていること。つまり、f(x),g(x)Wf(x), g(x) \in W ならば、f(x)+g(x)Wf(x) + g(x) \in W
(a) W={f(x)R[x]3f(0)=0,f(1)=0}W = \{f(x) \in R[x]_3 | f(0) = 0, f(1) = 0\}
(1) f(x)=0f(x) = 0 のとき、f(0)=0f(0) = 0 かつ f(1)=0f(1) = 0 なので、ゼロベクトルを含む。
(2) f(x)Wf(x) \in W のとき、f(0)=0f(0) = 0 かつ f(1)=0f(1) = 0cf(x)cf(x) を考えると、cf(0)=c0=0cf(0) = c \cdot 0 = 0 かつ cf(1)=c0=0cf(1) = c \cdot 0 = 0 なので、スカラー倍で閉じている。
(3) f(x),g(x)Wf(x), g(x) \in W のとき、f(0)=0,f(1)=0f(0) = 0, f(1) = 0 かつ g(0)=0,g(1)=0g(0) = 0, g(1) = 0f(x)+g(x)f(x) + g(x) を考えると、f(0)+g(0)=0+0=0f(0) + g(0) = 0 + 0 = 0 かつ f(1)+g(1)=0+0=0f(1) + g(1) = 0 + 0 = 0 なので、和で閉じている。
したがって、WW は部分空間である。
(b) W={f(x)R[x]3f(0)=1,f(1)=0}W = \{f(x) \in R[x]_3 | f(0) = 1, f(1) = 0\}
(1) f(x)=0f(x) = 0 のとき、f(0)=01f(0) = 0 \neq 1 なので、ゼロベクトルを含まない。
したがって、WW は部分空間ではない。
(c) W={f(x)R[x]3f(3)=0,f(2)=0}W = \{f(x) \in R[x]_3 | f(3) = 0, f(2) = 0\}
(1) f(x)=0f(x) = 0 のとき、f(3)=0f(3) = 0 かつ f(2)=0f(2) = 0 なので、ゼロベクトルを含む。
(2) f(x)Wf(x) \in W のとき、f(3)=0f(3) = 0 かつ f(2)=0f(2) = 0cf(x)cf(x) を考えると、cf(3)=c0=0cf(3) = c \cdot 0 = 0 かつ cf(2)=c0=0cf(2) = c \cdot 0 = 0 なので、スカラー倍で閉じている。
(3) f(x),g(x)Wf(x), g(x) \in W のとき、f(3)=0,f(2)=0f(3) = 0, f(2) = 0 かつ g(3)=0,g(2)=0g(3) = 0, g(2) = 0f(x)+g(x)f(x) + g(x) を考えると、f(3)+g(3)=0+0=0f(3) + g(3) = 0 + 0 = 0 かつ f(2)+g(2)=0+0=0f(2) + g(2) = 0 + 0 = 0 なので、和で閉じている。
したがって、WW は部分空間である。
(d) W={f(x)R[x]3f(1)0,f(2)=0}W = \{f(x) \in R[x]_3 | f(1) \le 0, f(2) = 0\}
(1) f(x)=0f(x) = 0 のとき、f(1)=00f(1) = 0 \le 0 かつ f(2)=0f(2) = 0 なので、ゼロベクトルを含む。
(2) f(x)Wf(x) \in W のとき、f(1)0f(1) \le 0 かつ f(2)=0f(2) = 0cf(x)cf(x) を考える。c<0c < 0 のとき、cf(1)>0cf(1) > 0 となる可能性があるので、スカラー倍で閉じていない。
したがって、WW は部分空間ではない。
(e) W={f(x)R[x]3f(3)=0,f(1)=0}W = \{f(x) \in R[x]_3 | f(3) = 0, f(1) = 0\}
(1) f(x)=0f(x) = 0 のとき、f(3)=0f(3) = 0 かつ f(1)=0f(1) = 0 なので、ゼロベクトルを含む。
(2) f(x)Wf(x) \in W のとき、f(3)=0f(3) = 0 かつ f(1)=0f(1) = 0cf(x)cf(x) を考えると、cf(3)=c0=0cf(3) = c \cdot 0 = 0 かつ cf(1)=c0=0cf(1) = c \cdot 0 = 0 なので、スカラー倍で閉じている。
(3) f(x),g(x)Wf(x), g(x) \in W のとき、f(3)=0,f(1)=0f(3) = 0, f(1) = 0 かつ g(3)=0,g(1)=0g(3) = 0, g(1) = 0f(x)+g(x)f(x) + g(x) を考えると、f(3)+g(3)=0+0=0f(3) + g(3) = 0 + 0 = 0 かつ f(1)+g(1)=0+0=0f(1) + g(1) = 0 + 0 = 0 なので、和で閉じている。
したがって、WW は部分空間である。
(f) W={f(x)R[x]3f(x)2xf(x)=0}W = \{f(x) \in R[x]_3 | f''(x) - 2xf'(x) = 0\}
(1) f(x)=0f(x) = 0 のとき、f(x)=0f'(x) = 0, f(x)=0f''(x) = 0 なので、f(x)2xf(x)=02x0=0f''(x) - 2xf'(x) = 0 - 2x \cdot 0 = 0となり、ゼロベクトルを含む。
(2) f(x)Wf(x) \in W のとき、f(x)2xf(x)=0f''(x) - 2xf'(x) = 0cf(x)cf(x) を考えると、(cf(x))2x(cf(x))=cf(x)2xcf(x)=c(f(x)2xf(x))=c0=0(cf(x))'' - 2x(cf(x))' = c f''(x) - 2x c f'(x) = c(f''(x) - 2xf'(x)) = c \cdot 0 = 0なので、スカラー倍で閉じている。
(3) f(x),g(x)Wf(x), g(x) \in W のとき、f(x)2xf(x)=0f''(x) - 2xf'(x) = 0 かつ g(x)2xg(x)=0g''(x) - 2xg'(x) = 0f(x)+g(x)f(x) + g(x) を考えると、(f(x)+g(x))2x(f(x)+g(x))=f(x)+g(x)2x(f(x)+g(x))=(f(x)2xf(x))+(g(x)2xg(x))=0+0=0(f(x) + g(x))'' - 2x(f(x) + g(x))' = f''(x) + g''(x) - 2x(f'(x) + g'(x)) = (f''(x) - 2xf'(x)) + (g''(x) - 2xg'(x)) = 0 + 0 = 0なので、和で閉じている。
したがって、WW は部分空間である。

3. 最終的な答え

(a) 部分空間である
(b) 部分空間ではない
(c) 部分空間である
(d) 部分空間ではない
(e) 部分空間である
(f) 部分空間である

「代数学」の関連問題

4つのベクトル $a_1 = \begin{pmatrix} 1 \\ 2 \\ 3 \end{pmatrix}$, $a_2 = \begin{pmatrix} 2 \\ 5 \\ c \end{p...

線形代数ベクトル線形従属線形独立部分空間次元
2025/7/26

与えられた式 $2(8x^2 - 4) - 7(4x^2 + 3x - 6)$ を展開し、簡略化して最終的な答えを求めます。

式の展開多項式簡略化
2025/7/26

与えられた式 $\frac{2a-b}{4} - \frac{3a-2b}{3}$ を計算し、最も簡単な形で表します。

分数計算式の計算代数
2025/7/26

与えられた連立一次方程式について、以下の問いに答える問題です。 (1) 係数行列 $A$ の階数 $rank(A)$ を求めよ。 (2) $A$ は正則行列か。 (3) この連立方程式が解を持つように...

線形代数連立一次方程式行列階数正則行列行基本変形
2025/7/26

与えられた連立方程式を行列を用いて解く問題と、与えられた2つの条件を満たす行列が存在するかどうかを調べる問題の2つがあります。

線形代数行列連立方程式逆行列
2025/7/26

与えられた式 $y(x-3y) + 3x(3y-x)$ を展開し、整理して簡単にします。

式の展開因数分解多項式
2025/7/26

与えられた2次方程式 $x^2 + 2tx + 4 = 0$ について、以下の2つの問いに答えます。 (1) この方程式が異なる2つの実数解を持つための $t$ の条件を求めます。 (2) この方程式...

二次方程式判別式解と係数の関係不等式
2025/7/26

与えられた式 $(a-1)x - (a-1)$ を因数分解してください。

因数分解多項式
2025/7/26

$x$ についての2次方程式 $x^2 - 2mx + 2m^2 + m - 2 = 0$ の解がすべて整数となるような整数 $m$ をすべて求める。

二次方程式解の公式整数解平方根
2025/7/26

与えられた数列 $\{a_n\}$ が群に分けられている。 (1) 第 $N$ 群の末項 $\frac{N}{1}$ が数列 $\{a_n\}$ の第何項かを $N$ を用いて表す。 (2) $a_{...

数列群数列不等式数式処理
2025/7/26