与えられた連立一次方程式について、以下の問いに答える問題です。 (1) 係数行列 $A$ の階数 $rank(A)$ を求めよ。 (2) $A$ は正則行列か。 (3) この連立方程式が解を持つように定数 $a$ の値を求めよ。 (4) 上の(3)で求めた定数 $a$ のとき、連立方程式の解を全て求めよ。 連立一次方程式は以下の通りです。 $ \begin{cases} x + 3z = 1 \\ 2x + 3y + 4z = 3 \\ x + 3y + z = a \end{cases} $

1. 問題の内容

与えられた連立一次方程式について、以下の問いに答える問題です。

(1) 係数行列 $A$ の階数 $rank(A)$ を求めよ。

(2) $A$ は正則行列か。

(3) この連立方程式が解を持つように定数 $a$ の値を求めよ。

(4) 上の(3)で求めた定数 $a$ のとき、連立方程式の解を全て求めよ。

連立一次方程式は以下の通りです。

$$

\begin{cases}

x + 3z = 1 \\

2x + 3y + 4z = 3 \\

x + 3y + z = a

\end{cases}

$$

2. 解き方の手順

(1) 係数行列 $A$ を求める。

$$

A = \begin{pmatrix}

1 & 0 & 3 \\

2 & 3 & 4 \\

1 & 3 & 1

\end{pmatrix}

$$

$A$ の階数 $rank(A)$ を求めるために、行列 $A$ を行基本変形によって簡約化する。

まず、2行目から1行目の2倍を引く。

$$

\begin{pmatrix}

1 & 0 & 3 \\

0 & 3 & -2 \\

1 & 3 & 1

\end{pmatrix}

$$

次に、3行目から1行目を引く。

$$

\begin{pmatrix}

1 & 0 & 3 \\

0 & 3 & -2 \\

0 & 3 & -2

\end{pmatrix}

$$

最後に、3行目から2行目を引く。

$$

\begin{pmatrix}

1 & 0 & 3 \\

0 & 3 & -2 \\

0 & 0 & 0

\end{pmatrix}

$$

簡約化された行列は、2つの線形独立な行ベクトルを持つため、$rank(A) = 2$。

(2) $A$ が正則行列かどうかを判定する。

正方行列が正則であるためには、行列式が0でない必要がある。

$A$ は 3x3 行列である。正則であるためには、$rank(A) = 3$ である必要がある。

しかし、$rank(A) = 2$ であるため、$A$ は正則行列ではない。

(3) 連立方程式が解を持つように $a$ の値を求める。

拡大係数行列 $(A|b)$ を考える。

$$

(A|b) = \begin{pmatrix}

1 & 0 & 3 & | & 1 \\

2 & 3 & 4 & | & 3 \\

1 & 3 & 1 & | & a

\end{pmatrix}

$$

この拡大係数行列を行基本変形によって簡約化する。

まず、2行目から1行目の2倍を引く。

$$

\begin{pmatrix}

1 & 0 & 3 & | & 1 \\

0 & 3 & -2 & | & 1 \\

1 & 3 & 1 & | & a

\end{pmatrix}

$$

次に、3行目から1行目を引く。

$$

\begin{pmatrix}

1 & 0 & 3 & | & 1 \\

0 & 3 & -2 & | & 1 \\

0 & 3 & -2 & | & a-1

\end{pmatrix}

$$

最後に、3行目から2行目を引く。

$$

\begin{pmatrix}

1 & 0 & 3 & | & 1 \\

0 & 3 & -2 & | & 1 \\

0 & 0 & 0 & | & a-2

\end{pmatrix}

$$

連立方程式が解を持つためには、$a-2 = 0$ である必要がある。

したがって、$a = 2$。

(4) $a = 2$ のときの連立方程式の解を求める。

簡約化された拡大係数行列は次の通り。

$$

\begin{pmatrix}

1 & 0 & 3 & | & 1 \\

0 & 3 & -2 & | & 1 \\

0 & 0 & 0 & | & 0

\end{pmatrix}

$$

この行列から、以下の連立方程式が得られる。

$$

\begin{cases}

x + 3z = 1 \\

3y - 2z = 1

\end{cases}

$$

$z = t$ (任意の実数) とおくと、

$x = 1 - 3t$

$3y = 1 + 2t$ より $y = \frac{1}{3} + \frac{2}{3}t$

したがって、解は

$$

\begin{pmatrix}

x \\ y \\ z

\end{pmatrix}

=

\begin{pmatrix}

1 \\ \frac{1}{3} \\ 0

\end{pmatrix}

+

t

\begin{pmatrix}

-3 \\ \frac{2}{3} \\ 1

\end{pmatrix}

$$

3. 最終的な答え

(1) $rank(A) = 2$

(2) $A$ は正則行列ではない。

(3) $a = 2$

(4)

$$

\begin{pmatrix}

x \\ y \\ z

\end{pmatrix}

=

\begin{pmatrix}

1 \\ \frac{1}{3} \\ 0

\end{pmatrix}

+

t

\begin{pmatrix}

-3 \\ \frac{2}{3} \\ 1

\end{pmatrix}

$(ただし、$t$ は任意の実数)