与えられた行列 $A = \begin{pmatrix} 1 & 7 & -3 \\ 5 & 0 & 1 \\ -4 & 1 & 8 \end{pmatrix}$ について、 (1) 行列 $B$ が対称行列であることの定義を述べ、 (2) 行列 $C$ が交代行列であることの定義を述べ、 (3) 行列 $A$ を対称行列 $B$ と交代行列 $C$ の和として表せ。

代数学行列対称行列交代行列行列の和転置行列
2025/7/26

1. 問題の内容

与えられた行列 A=(173501418)A = \begin{pmatrix} 1 & 7 & -3 \\ 5 & 0 & 1 \\ -4 & 1 & 8 \end{pmatrix} について、
(1) 行列 BB が対称行列であることの定義を述べ、
(2) 行列 CC が交代行列であることの定義を述べ、
(3) 行列 AA を対称行列 BB と交代行列 CC の和として表せ。

2. 解き方の手順

(1) 対称行列の定義:
正方行列 BB が対称行列であるとは、BT=BB^T = B が成り立つことである。
すなわち、行列 BB の転置行列が BB 自身と等しいとき、BB は対称行列である。
これは、BB(i,j)(i, j) 成分を bijb_{ij} と書くと、bij=bjib_{ij} = b_{ji} がすべての i,ji, j に対して成り立つことと同値である。
(2) 交代行列の定義:
正方行列 CC が交代行列であるとは、CT=CC^T = -C が成り立つことである。
すなわち、行列 CC の転置行列が C-C と等しいとき、CC は交代行列である。
これは、CC(i,j)(i, j) 成分を cijc_{ij} と書くと、cij=cjic_{ij} = -c_{ji} がすべての i,ji, j に対して成り立つことと同値である。特に、対角成分はすべて 0 である必要がある。
(3) 行列 AA を対称行列 BB と交代行列 CC の和で表す:
行列 AA を対称行列 BB と交代行列 CC の和で表す場合、A=B+CA = B + C となるように BBCC を求める。
任意の正方行列 AA は、対称行列と交代行列の和として一意に表すことができる。
具体的には、
B=12(A+AT)B = \frac{1}{2}(A + A^T)C=12(AAT)C = \frac{1}{2}(A - A^T) とすることで、A=B+CA = B + C を満たす対称行列 BB と交代行列 CC が得られる。
まず、ATA^T を計算する。
AT=(154701318)A^T = \begin{pmatrix} 1 & 5 & -4 \\ 7 & 0 & 1 \\ -3 & 1 & 8 \end{pmatrix}
次に、BB を計算する。
B=12(A+AT)=12((173501418)+(154701318))=12(212712027216)=(167/26017/218)B = \frac{1}{2}(A + A^T) = \frac{1}{2} \left( \begin{pmatrix} 1 & 7 & -3 \\ 5 & 0 & 1 \\ -4 & 1 & 8 \end{pmatrix} + \begin{pmatrix} 1 & 5 & -4 \\ 7 & 0 & 1 \\ -3 & 1 & 8 \end{pmatrix} \right) = \frac{1}{2} \begin{pmatrix} 2 & 12 & -7 \\ 12 & 0 & 2 \\ -7 & 2 & 16 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1 & 6 & -7/2 \\ 6 & 0 & 1 \\ -7/2 & 1 & 8 \end{pmatrix}
次に、CC を計算する。
C=12(AAT)=12((173501418)(154701318))=12(021200100)=(011/21001/200)C = \frac{1}{2}(A - A^T) = \frac{1}{2} \left( \begin{pmatrix} 1 & 7 & -3 \\ 5 & 0 & 1 \\ -4 & 1 & 8 \end{pmatrix} - \begin{pmatrix} 1 & 5 & -4 \\ 7 & 0 & 1 \\ -3 & 1 & 8 \end{pmatrix} \right) = \frac{1}{2} \begin{pmatrix} 0 & 2 & 1 \\ -2 & 0 & 0 \\ -1 & 0 & 0 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 & 1 & 1/2 \\ -1 & 0 & 0 \\ -1/2 & 0 & 0 \end{pmatrix}

3. 最終的な答え

(1) 行列 BB が対称行列であるとは、BT=BB^T = B が成り立つことである。
(2) 行列 CC が交代行列であるとは、CT=CC^T = -C が成り立つことである。
(3) A=B+CA = B + C となる対称行列 BB と交代行列 CC は以下の通りである。
B=(167/26017/218)B = \begin{pmatrix} 1 & 6 & -7/2 \\ 6 & 0 & 1 \\ -7/2 & 1 & 8 \end{pmatrix}
C=(011/21001/200)C = \begin{pmatrix} 0 & 1 & 1/2 \\ -1 & 0 & 0 \\ -1/2 & 0 & 0 \end{pmatrix}

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