行列 $A = \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 6 \end{pmatrix}$ で定まる1次変換を $f$ とします。 (1) 点(1, 1)の $f$ による像を求めます。 (2) 直線 $x - y = 0$ の $f$ による像を求めます。 (3) 零ベクトル $\vec{0}$ の $f$ による逆像を求めます。 (4) $f$ が1対1対応（全単射）であるかどうか判定します。

1. 問題の内容

行列 $A = \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 6 \end{pmatrix}$ で定まる1次変換を $f$ とします。

(1) 点(1, 1)の $f$ による像を求めます。

(2) 直線 $x - y = 0$ の $f$ による像を求めます。

(3) 零ベクトル $\vec{0}$ の $f$ による逆像を求めます。

(4) $f$ が1対1対応（全単射）であるかどうか判定します。

2. 解き方の手順

(1) 点 (1, 1) の像を求める：

点 (1, 1) を列ベクトル $\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}$ で表し、$A$ を左からかけます。

$A \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 6 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1 \cdot 1 + 2 \cdot 1 \\ 3 \cdot 1 + 6 \cdot 1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 3 \\ 9 \end{pmatrix}$

したがって、点 (1, 1) の $f$ による像は (3, 9) です。

(2) 直線 $x - y = 0$ の像を求める：

$x - y = 0$ より $y = x$ です。

$\begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} x \\ x \end{pmatrix} = x \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}$ です。

このベクトルを $A$ で変換すると、

$A \begin{pmatrix} x \\ x \end{pmatrix} = x A \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix} = x \begin{pmatrix} 3 \\ 9 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 3x \\ 9x \end{pmatrix}$

$x' = 3x$, $y' = 9x$ とすると、$y' = 3x'$ が成り立ちます。

したがって、直線 $x - y = 0$ の $f$ による像は直線 $y = 3x$ です。

(3) 零ベクトル $\vec{0}$ の逆像を求める：

$A \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \end{pmatrix}$ となる $\begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix}$ を求めます。

$\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 6 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} x + 2y \\ 3x + 6y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \end{pmatrix}$

$x + 2y = 0$ なので、$x = -2y$ です。

よって、$\begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} -2y \\ y \end{pmatrix} = y \begin{pmatrix} -2 \\ 1 \end{pmatrix}$ となり、

零ベクトルの逆像は直線 $x + 2y = 0$ です。

(4) $f$ が1対1対応（全単射）であるか判定する：

行列 $A$ の行列式を計算すると、

$det(A) = 1 \cdot 6 - 2 \cdot 3 = 6 - 6 = 0$

行列式が0なので、$A$ は正則行列ではありません。

したがって、$f$ は1対1対応（全単射）ではありません。

3. 最終的な答え

(1) (3, 9)

(2) $y = 3x$

(3) $x + 2y = 0$

(4) 1対1対応（全単射）ではない