質量 $m$、断面積 $S$ のうきが密度 $\rho$ の水に浮いている。つりあって静止している時のうきの位置を原点として上向きに $x$ 軸をとる。うきが運動すると、速度に比例する抵抗力 (比例係数 $\gamma > 0$) が働く。 (1) うきが上下に振動するときの運動方程式を求めよ。 (2) (1) の運動方程式の一般解を求めよ。ただし、比例係数 $\gamma$ は減衰振動となる条件を満たすものとする。 (3) うきは時刻 $t=0$ のとき原点にあり、速度は $v(0) = v_0$ であった。(2) の一般解を用いて、うきの $x$ 座標を $t$ の関数として求めよ。

応用数学運動方程式単振動減衰振動力学
2025/7/26
## 問題3

1. 問題の内容

質量 mm、断面積 SS のうきが密度 ρ\rho の水に浮いている。つりあって静止している時のうきの位置を原点として上向きに xx 軸をとる。うきが運動すると、速度に比例する抵抗力 (比例係数 γ>0\gamma > 0) が働く。
(1) うきが上下に振動するときの運動方程式を求めよ。
(2) (1) の運動方程式の一般解を求めよ。ただし、比例係数 γ\gamma は減衰振動となる条件を満たすものとする。
(3) うきは時刻 t=0t=0 のとき原点にあり、速度は v(0)=v0v(0) = v_0 であった。(2) の一般解を用いて、うきの xx 座標を tt の関数として求めよ。

2. 解き方の手順

(1) 運動方程式の導出
うきには、重力、浮力、抵抗力が働く。重力は mgmg で下向き、浮力はアルキメデスの原理より ρSxg\rho S x g (ただし、xx は水面からの変位で正のとき上向き)で上向き。抵抗力は γv=γdxdt\gamma v = \gamma \frac{dx}{dt} で下向き。ニュートンの運動方程式は以下の通り。
md2xdt2=mg+ρSxgγdxdtm\frac{d^2x}{dt^2} = -mg + \rho Sxg - \gamma \frac{dx}{dt}
つりあいの状態では、mg=ρSx0gmg = \rho S x_0 g なので、 x=xx0x' = x - x_0 とおくと、x=x+x0x = x'+x_0。これにより、 md2xdt2=mg+ρS(x+x0)gγdxdtm\frac{d^2x'}{dt^2} = -mg + \rho S (x'+x_0)g - \gamma \frac{dx'}{dt}。よって、md2xdt2=ρSxgγdxdtm\frac{d^2x'}{dt^2} = \rho S x'g - \gamma \frac{dx'}{dt}
従って、運動方程式は以下の通り。
md2xdt2+γdxdt+ρSgx=0m\frac{d^2x}{dt^2} + \gamma \frac{dx}{dt} + \rho S g x = 0
(2) 一般解の導出
(1) の運動方程式は、以下の形になる。
d2xdt2+γmdxdt+ρSgmx=0\frac{d^2x}{dt^2} + \frac{\gamma}{m} \frac{dx}{dt} + \frac{\rho S g}{m} x = 0
ω0=ρSgm\omega_0 = \sqrt{\frac{\rho S g}{m}}, Γ=γ2m\Gamma = \frac{\gamma}{2m} とおくと、運動方程式は
d2xdt2+2Γdxdt+ω02x=0\frac{d^2x}{dt^2} + 2\Gamma \frac{dx}{dt} + \omega_0^2 x = 0
特性方程式は λ2+2Γλ+ω02=0\lambda^2 + 2\Gamma \lambda + \omega_0^2 = 0
解は λ=Γ±Γ2ω02\lambda = -\Gamma \pm \sqrt{\Gamma^2 - \omega_0^2}
減衰振動の条件は Γ<ω0\Gamma < \omega_0 なので、ω=ω02Γ2\omega = \sqrt{\omega_0^2 - \Gamma^2} とおくと、λ=Γ±iω\lambda = -\Gamma \pm i\omega
よって、一般解は以下の通り。
x(t)=eΓt(Acos(ωt)+Bsin(ωt))x(t) = e^{-\Gamma t} (A\cos(\omega t) + B\sin(\omega t))
(3) 初期条件から特殊解を決定
初期条件は x(0)=0x(0) = 0, v(0)=v0v(0) = v_0
x(0)=A=0x(0) = A = 0
v(t)=dxdt=ΓeΓtBsin(ωt)+eΓtBωcos(ωt)v(t) = \frac{dx}{dt} = -\Gamma e^{-\Gamma t} B\sin(\omega t) + e^{-\Gamma t} B\omega\cos(\omega t)
v(0)=Bω=v0v(0) = B\omega = v_0
B=v0ωB = \frac{v_0}{\omega}
従って、x(t)=v0ωeΓtsin(ωt)x(t) = \frac{v_0}{\omega} e^{-\Gamma t} \sin(\omega t)

3. 最終的な答え

(1) 運動方程式:
md2xdt2+γdxdt+ρSgx=0m\frac{d^2x}{dt^2} + \gamma \frac{dx}{dt} + \rho S g x = 0
(2) 一般解:
x(t)=eΓt(Acos(ωt)+Bsin(ωt))x(t) = e^{-\Gamma t} (A\cos(\omega t) + B\sin(\omega t)), ただし、ω=ω02Γ2\omega = \sqrt{\omega_0^2 - \Gamma^2}, ω0=ρSgm\omega_0 = \sqrt{\frac{\rho S g}{m}}, Γ=γ2m\Gamma = \frac{\gamma}{2m}
(3) xx 座標の時間関数:
x(t)=v0ωeΓtsin(ωt)x(t) = \frac{v_0}{\omega} e^{-\Gamma t} \sin(\omega t), ただし、ω=ω02Γ2\omega = \sqrt{\omega_0^2 - \Gamma^2}, ω0=ρSgm\omega_0 = \sqrt{\frac{\rho S g}{m}}, Γ=γ2m\Gamma = \frac{\gamma}{2m}
## 問題4

1. 問題の内容

水平面上に固定された壁の間に、質量 mm の小球をバネ定数 kk の3つの同じバネで取り付けた。つりあって静止している時の小球の位置を原点として右向きに xx 軸をとる。xx 軸に沿って小球を振動させるときの、運動方程式の xx 成分、および単振動の角振動数を書け。ただし、摩擦や抵抗はないものとする。

2. 解き方の手順

小球にはたらく力は、左右のバネの力である。左側のバネは kx-kx、右側のバネは kx-kx。よって、合計の力は 2kx-2kx
ニュートンの運動方程式は ma=2kxma = -2kx。従って、運動方程式は
md2xdt2+2kx=0m\frac{d^2x}{dt^2} + 2kx = 0
ω=2km\omega = \sqrt{\frac{2k}{m}} とおくと、
d2xdt2+ω2x=0\frac{d^2x}{dt^2} + \omega^2 x = 0

3. 最終的な答え

運動方程式: md2xdt2+2kx=0m\frac{d^2x}{dt^2} + 2kx = 0
単振動の角振動数: ω=2km\omega = \sqrt{\frac{2k}{m}}

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