(1) 二項分布の確率質量関数 $P(X=k) = {}_nC_k p^k (1-p)^{n-k}$ の総和が1であることを、二項定理 $(x+y)^n = \sum_{k=0}^n {}_nC_k x^k y^{n-k}$ を用いて示す。 (2) ベルヌーイ分布の確率質量関数 $P(X=k) = p^k (1-p)^{1-k}$ ($k \in \{0,1\}$) に従う確率変数 $X$ の期待値を求める。

確率論・統計学二項分布ベルヌーイ分布確率質量関数期待値二項定理
2025/7/26
以下に問題の解答を示します。

1. 問題の内容

(1) 二項分布の確率質量関数 P(X=k)=nCkpk(1p)nkP(X=k) = {}_nC_k p^k (1-p)^{n-k} の総和が1であることを、二項定理 (x+y)n=k=0nnCkxkynk(x+y)^n = \sum_{k=0}^n {}_nC_k x^k y^{n-k} を用いて示す。
(2) ベルヌーイ分布の確率質量関数 P(X=k)=pk(1p)1kP(X=k) = p^k (1-p)^{1-k} (k{0,1}k \in \{0,1\}) に従う確率変数 XX の期待値を求める。

2. 解き方の手順

(1) 二項分布の確率の総和を計算する。
確率の総和は、
k=0nP(X=k)=k=0nnCkpk(1p)nk\sum_{k=0}^n P(X=k) = \sum_{k=0}^n {}_nC_k p^k (1-p)^{n-k}
二項定理 (x+y)n=k=0nnCkxkynk(x+y)^n = \sum_{k=0}^n {}_nC_k x^k y^{n-k} を利用する。
ここで x=px = p , y=1py = 1-p とすると、
k=0nnCkpk(1p)nk=(p+(1p))n=1n=1\sum_{k=0}^n {}_nC_k p^k (1-p)^{n-k} = (p + (1-p))^n = 1^n = 1
したがって、二項分布の確率の総和は1であることが示された。
(2) ベルヌーイ分布に従う確率変数 XX の期待値を計算する。
期待値 E[X]E[X] は、
E[X]=kkP(X=k)E[X] = \sum_{k} k P(X=k)
ベルヌーイ分布では k{0,1}k \in \{0, 1\} なので、
E[X]=0P(X=0)+1P(X=1)E[X] = 0 \cdot P(X=0) + 1 \cdot P(X=1)
P(X=0)=p0(1p)10=(1p)P(X=0) = p^0 (1-p)^{1-0} = (1-p)
P(X=1)=p1(1p)11=pP(X=1) = p^1 (1-p)^{1-1} = p
したがって、
E[X]=0(1p)+1p=0+p=pE[X] = 0 \cdot (1-p) + 1 \cdot p = 0 + p = p

3. 最終的な答え

(1) 二項分布の確率の総和は1である。
(2) ベルヌーイ分布に従う確率変数 XX の期待値は pp である。

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