ある物質Aの分解反応について、反応速度式 $v = k[A]^a$ (aは反応次数) が与えられています。図1は87℃における物質Aの初濃度 $A_0$ と半減期 $t_{1/2}$ の関係を示し、図2は様々な温度における反応速度定数 $k$ の自然対数と絶対温度 $T$ の逆数の関係を示しています。これらの情報を用いて、以下の問いに答えます。 (1) Aの分解反応の反応次数を求めます。 (2) Aの87℃における半減期を求め、初濃度が100 mg/mLであるときの残存濃度と時間の関係を表すグラフを書きます。 (3) Aの分解反応の活性化エネルギーを求めます。 (4) 7℃で90%残存する時間を求めます。

1. 問題の内容

ある物質Aの分解反応について、反応速度式 $v = k[A]^a$ (aは反応次数) が与えられています。図1は87℃における物質Aの初濃度 $A_0$ と半減期 $t_{1/2}$ の関係を示し、図2は様々な温度における反応速度定数 $k$ の自然対数と絶対温度 $T$ の逆数の関係を示しています。これらの情報を用いて、以下の問いに答えます。

(1) Aの分解反応の反応次数を求めます。

(2) Aの87℃における半減期を求め、初濃度が100 mg/mLであるときの残存濃度と時間の関係を表すグラフを書きます。

(3) Aの分解反応の活性化エネルギーを求めます。

(4) 7℃で90%残存する時間を求めます。

2. 解き方の手順

(1) 反応次数の決定

図1より、$ln \ t_{1/2}$ が $ln \ A_0$ に対して水平な直線になっていることから、半減期が初濃度に依存しないことがわかります。これは、一次反応の特徴です。したがって、反応次数 $a = 1$ となります。

(2) 87℃における半減期の計算とグラフの作成

図1のグラフから、$ln \ t_{1/2} \approx 1.4$ であることが読み取れます。したがって、$t_{1/2} = e^{1.4} \approx 4.055 \ hr$となります。

一次反応の場合、残存濃度 $A(t)$ は以下の式で表されます。

$A(t) = A_0 e^{-kt}$

ここで、$k$ は反応速度定数です。$t_{1/2} = \frac{ln \ 2}{k}$ なので、$k = \frac{ln \ 2}{t_{1/2}} = \frac{0.7}{4.055} \approx 0.1726 \ hr^{-1}$ となります。

初濃度 $A_0 = 100 \ mg/mL$ の場合、$A(t) = 100 e^{-0.1726t}$ となります。

この関数をグラフに描きます。（グラフは省略）

(3) 活性化エネルギーの計算

図2の直線は、$ln \ k = 26 - 10000 \times (\frac{1}{T})$ で表されています。

アレニウスの式は、$k = A e^{-\frac{E_a}{RT}}$ または $ln \ k = ln \ A - \frac{E_a}{R} \times (\frac{1}{T})$ と表されます。

したがって、$\frac{E_a}{R} = 10000$ より、$E_a = 10000 \times R = 10000 \times 8.3 = 83000 \ J/mol = 83 \ kJ/mol$ となります。

(4) 7℃での90%残存時間の計算

まず、7℃における反応速度定数 $k$ を求めます。7℃ = 280 K なので、$\frac{1}{T} = \frac{1}{280} \approx 0.00357$ です。

$ln \ k = 26 - 10000 \times 0.00357 = 26 - 35.7 = -9.7$

$k = e^{-9.7} \approx 6.06 \times 10^{-5} \ hr^{-1}$

90%残存する時間 $t$ は、$0.9A_0 = A_0 e^{-kt}$ より、

$0.9 = e^{-kt}$

$ln \ 0.9 = -kt$

$t = \frac{-ln \ 0.9}{k} = \frac{-ln \ 0.9}{6.06 \times 10^{-5}} \approx \frac{0.1054}{6.06 \times 10^{-5}} \approx 17400 \ hr$

3. 最終的な答え

(1) 1

(2) 4.055 時間 (グラフは省略)

(3) 83 kJ/mol

(4) 17400 時間