$A$ を $n \times n$ の正方行列とし、$\tilde{a}_{ij}$ を $A$ の $(i,j)$ 余因子とする。$0 \le r < n$ とする。行列の積をとることで、以下の等式が成り立つことを示す。ただし、0次の行列式は1とみなす。証明は $|A| \ne 0$ の仮定のもとで行ってよい。 $\begin{vmatrix} \tilde{a}_{r+1,r+1} & \cdots & \tilde{a}_{n,r+1} \\ \vdots & \ddots & \vdots \\ \tilde{a}_{r+1,n} & \cdots & \tilde{a}_{n,n} \end{vmatrix} = \begin{vmatrix} a_{11} & \cdots & a_{1r} \\ \vdots & \ddots & \vdots \\ a_{r1} & \cdots & a_{rr} \end{vmatrix} |A|^{n-r-1}$
2025/7/27
1. 問題の内容
を の正方行列とし、 を の 余因子とする。 とする。行列の積をとることで、以下の等式が成り立つことを示す。ただし、0次の行列式は1とみなす。証明は の仮定のもとで行ってよい。
2. 解き方の手順
まず、以下の行列の積を考える。
この積の左側の行列を、右側の行列をとする。行列は、 の単位行列と、行列の余因子から構成されていることがわかる。この積 を計算する。 の 成分を とすると、
かつ のとき、 となる。
かつ のとき、 (なぜなら、ある行の要素とその行以外の余因子をかけると0になるから)。
かつ のとき、となる。
かつ のとき、 となる。これは、 のとき になり、 のとき0になる。したがって、
ここで、 はクロネッカーのデルタ。したがって、 は以下のようになる。
両辺の行列式を取ると、
よって、
を仮定しているので、両辺を で割ると、