$n$ 次の行列 $A$ がべき零行列(ある自然数 $m$ に対して $A^m = 0$)であるとき、以下の問いに答える。 (1) $A$ が正則でないことを示す。 (2) $E+A$ が正則であることを示す。 (3) $E+A$ の逆行列を求める。

代数学線形代数行列べき零行列逆行列正則行列
2025/7/27

1. 問題の内容

nn 次の行列 AA がべき零行列(ある自然数 mm に対して Am=0A^m = 0)であるとき、以下の問いに答える。
(1) AA が正則でないことを示す。
(2) E+AE+A が正則であることを示す。
(3) E+AE+A の逆行列を求める。

2. 解き方の手順

(1) AA が正則であると仮定すると、逆行列 A1A^{-1} が存在する。
Am=0A^m = 0 の両辺に (A1)m(A^{-1})^m をかけると、
Am(A1)m=0(A1)mA^m(A^{-1})^m = 0(A^{-1})^m
(AA1)m=0(AA^{-1})^m = 0
Em=0E^m = 0
E=0E = 0
これは矛盾であるので、AA は正則ではない。
(2) Am=0A^m = 0 であるとき、
(E+A)(EA+A2+(1)m1Am1)=EA+A2+(1)m1Am1+AA2++(1)m2Am1+(1)m1Am(E+A)(E - A + A^2 - \dots + (-1)^{m-1} A^{m-1}) = E - A + A^2 - \dots + (-1)^{m-1} A^{m-1} + A - A^2 + \dots + (-1)^{m-2} A^{m-1} + (-1)^{m-1} A^m
=E+(1)m1Am=E= E + (-1)^{m-1} A^m = E (∵ Am=0A^m = 0)
したがって、E+AE+A の逆行列は EA+A2+(1)m1Am1E - A + A^2 - \dots + (-1)^{m-1} A^{m-1} であり、E+AE+A は正則である。
(3) (2)より、E+AE+A の逆行列は EA+A2+(1)m1Am1E - A + A^2 - \dots + (-1)^{m-1} A^{m-1} である。
すなわち、
(E+A)1=EA+A2+(1)m1Am1(E+A)^{-1} = E - A + A^2 - \dots + (-1)^{m-1} A^{m-1}

3. 最終的な答え

(1) AA は正則ではない。
(2) E+AE+A は正則である。
(3) (E+A)1=EA+A2+(1)m1Am1(E+A)^{-1} = E - A + A^2 - \dots + (-1)^{m-1} A^{m-1}

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