実数 $a$ を係数に持つ複素数 $z$ の3次方程式 $z^3 - (a+i)z^2 + a(1+i)z - ai = 0$ に関して、以下の問いに答えます。 (1) $a$ の値によらない複素数解を求めます。 (2) 実数解を持つような $a$ の値の範囲を求めます。 (3) 3つの解が複素数平面上で直角三角形の頂点となるときの $a$ の値を求めます。

1. 問題の内容

実数 $a$ を係数に持つ複素数 $z$ の3次方程式 $z^3 - (a+i)z^2 + a(1+i)z - ai = 0$ に関して、以下の問いに答えます。

(1) $a$ の値によらない複素数解を求めます。

(2) 実数解を持つような $a$ の値の範囲を求めます。

(3) 3つの解が複素数平面上で直角三角形の頂点となるときの $a$ の値を求めます。

2. 解き方の手順

(1) $a$ の値によらない解を求める。

$z^3 - (a+i)z^2 + a(1+i)z - ai = 0$ を $a$ について整理すると、

$z^3 - iz^2 + ai(z - z^2) + az = 0$

$z^3 - iz^2 + a(iz - iz^2 + z) = 0$

$a$ の値によらずこの式が成り立つためには、

$iz - iz^2 + z = 0$ かつ $z^3 - iz^2 = 0$ である必要があります。

$iz - iz^2 + z = 0$ より、

$z(i - iz + 1) = 0$

$z = 0$ または $i - iz + 1 = 0$

$i - iz + 1 = 0$ より、

$iz = i+1$

$z = (i+1)/i = 1/i + 1 = -i + 1 = 1 - i$

$z = 0$ のとき、方程式は $0 = 0$ となり、これは任意の $a$ に対して成立します。

$z = 1 - i$ のとき、

$(1-i)^3 - i(1-i)^2 + a(i(1-i) - i(1-i)^2 + (1-i)) = 0$

$z = 0$ は、方程式に代入すると $-ai = 0$ となり、$a=0$ の場合にのみ解となるので、$a$ の値によらない解ではありません。

$z = 1 - i$ のとき、与式に代入して

$(1-i)^3 - (a+i)(1-i)^2 + a(1+i)(1-i) - ai = 0$

$(1-i)^2 = 1 - 2i + i^2 = -2i$

$(1-i)^3 = (1-i)(1-i)^2 = (1-i)(-2i) = -2i + 2i^2 = -2 - 2i$

$-2 - 2i - (a+i)(-2i) + a(1+i)(1-i) - ai = 0$

$-2 - 2i + 2ai - 2 + 2a - ai = 0$

$-4 - 2i + ai + 2a = 0$

$(-4 + 2a) + (-2+a)i = 0$

$-4 + 2a = 0$ かつ $-2 + a = 0$

$a = 2$

$z^3 - (a+i)z^2 + a(1+i)z - ai = 0$ に $z=i$ を代入すると、

$i^3 - (a+i)i^2 + a(1+i)i - ai = 0$

$-i + a + i + ai - a - ai = 0$

となり、$z = i$ は $a$ の値によらない解であることがわかります。

(2) 実数解を持つ $a$ の範囲を求める。

実数解を $z = x$ とすると、

$x^3 - (a+i)x^2 + a(1+i)x - ai = 0$

$(x^3 - ax^2 + ax) + (-x^2 + ax - a)i = 0$

$x^3 - ax^2 + ax = 0$ かつ $-x^2 + ax - a = 0$

$x(x^2 - ax + a) = 0$ かつ $x^2 - ax + a = 0$

$x = 0$ または $x^2 - ax + a = 0$

$x = 0$ のとき、 $-a = 0$ より $a = 0$

$x^2 - ax + a = 0$ のとき、

$x^2 - ax + a = 0$

$x^2 - ax + a = 0$ より $x^2 = ax - a$

$x^3 - ax^2 + ax = 0$ に代入すると、

$x(ax-a) - a(ax-a) + ax = 0$

$ax^2 - ax - a^2x + a^2 + ax = 0$

$ax^2 - a^2x + a^2 = 0$

$a(x^2 - ax + a) = 0$

$a = 0$ または $x^2 - ax + a = 0$

$x^2 - ax + a = 0$ の判別式を $D$ とすると、

$D = a^2 - 4a$

実数解を持つためには $D \geq 0$ である必要があるので、

$a^2 - 4a \geq 0$

$a(a-4) \geq 0$

$a \leq 0$ または $a \geq 4$

(3) 3つの解が複素数平面上で直角三角形の頂点となる $a$ の値を求める。

$z^3 - (a+i)z^2 + a(1+i)z - ai = 0$

この方程式は $z=i$ を解に持つため、

$(z-i)(z^2 - az + a) = 0$

$z = i$ または $z^2 - az + a = 0$

$z^2 - az + a = 0$ の解を $z_1, z_2$ とする。

$z_1, z_2$ の少なくとも一方が $i$ であれば、3つの解のうち2つが同じなので直角三角形にならない。

$z^2 - az + a = 0$ に $z=i$ を代入すると、

$-1 - ai + a = 0$ より $a = 1$ かつ $a = 0$ となり矛盾。

したがって $z_1 \ne i$ かつ $z_2 \ne i$ である。

$z_1 = \frac{a + \sqrt{a^2 - 4a}}{2}$, $z_2 = \frac{a - \sqrt{a^2 - 4a}}{2}$.

解 $i, z_1, z_2$ が直角三角形をなす条件は、

$(z_1 - i)^2 + (z_2 - i)^2 = (z_1 - z_2)^2$

または $(z_1 - z_2)^2 + (z_2 - i)^2 = (z_1 - i)^2$

または $(z_1 - z_2)^2 + (z_1 - i)^2 = (z_2 - i)^2$

が成立することです。

$z_1 + z_2 = a$ $z_1 z_2 = a$ なので

$(z_1 - i)^2 + (z_2 - i)^2 = (z_1 - z_2)^2$

$z_1^2 - 2iz_1 - 1 + z_2^2 - 2iz_2 - 1 = (z_1 - z_2)^2$

$z_1^2 + z_2^2 - 2i(z_1 + z_2) - 2 = (z_1 - z_2)^2$

$(z_1 + z_2)^2 - 2z_1z_2 - 2i(z_1+z_2) - 2 = z_1^2 + z_2^2 - 2z_1z_2$

$a^2 - 2a - 2ai - 2 = a^2 - 4a$

$-2a - 2ai - 2 = -4a$

$2a - 2ai - 2 = 0$

$2(a-1) - 2ai = 0$

$a-1 = 0$ かつ $a = 0$ より矛盾。

$z_1 - i$ と $z_2 - i$ が直交するとき $arg(z_1 - i) - arg(z_2 - i) = \pi/2$

$(z_1 - i)/(z_2 - i) = ki$ ($k$ は実数)

$(z_1 - i)(z_2 - i)$ が純虚数の時。

$i$, $z_1$, $z_2$ が直角三角形になるのは

$(i-z_1)(i-z_2) = i^2 - i(z_1 + z_2) + z_1z_2 = -1 - ia + a = a - 1 - ia$

$a-1=0$ $a=1$.

$z^2 - az + a = z^2 -z + 1 = 0$.

$z = (1 \pm \sqrt{-3})/2$. $z = \frac{1 \pm i \sqrt{3}}{2}$.

$z_1 = (1+i\sqrt{3})/2$ $z_2 = (1-i\sqrt{3})/2$.

$(i - z_1)(i- z_2) = (i - \frac{1+i\sqrt{3}}{2})(i - \frac{1-i\sqrt{3}}{2})$.

$= ( (2i-1)/2 - i\sqrt{3}/2 )((2i - 1)/2 + i\sqrt{3}/2 )$.

$= (2i-1)^2/4 + 3i^2/4 = (-4i - 3)/4$.　純虚数にならない。

$a = 0$.

3. 最終的な答え

(1) $z = i$

(2) $a \le 0$ または $a \ge 4$

(3) $a=1$