関数 $f(x,y)$ が以下のように定義されている。 $f(x,y) = \begin{cases} xy \sin(\frac{1}{\sqrt{x^2+y^2}}) & (x,y) \neq (0,0) \\ 0 & (x,y) = (0,0) \end{cases}$ この関数について、以下の問いに答える。 (1) $f_x(0,0)$ と $f_y(0,0)$ を求めよ。 (2) $f(x,y)$ は $(0,0)$ で全微分可能であることを示せ。 (3) $f_x(x,y)$ ($(x,y) \neq (0,0)$)を求め、$f_x(x,y)$ は $(0,0)$ で不連続であることを示せ。

解析学偏微分全微分連続性合成関数の微分
2025/7/27
## 問題6

1. 問題の内容

関数 f(x,y)f(x,y) が以下のように定義されている。
$f(x,y) = \begin{cases}
xy \sin(\frac{1}{\sqrt{x^2+y^2}}) & (x,y) \neq (0,0) \\
0 & (x,y) = (0,0)
\end{cases}$
この関数について、以下の問いに答える。
(1) fx(0,0)f_x(0,0)fy(0,0)f_y(0,0) を求めよ。
(2) f(x,y)f(x,y)(0,0)(0,0) で全微分可能であることを示せ。
(3) fx(x,y)f_x(x,y)(x,y)(0,0)(x,y) \neq (0,0))を求め、fx(x,y)f_x(x,y)(0,0)(0,0) で不連続であることを示せ。

2. 解き方の手順

(1) fx(0,0)f_x(0,0)fy(0,0)f_y(0,0) を求める。偏微分の定義に従い、以下の式を用いる。
fx(0,0)=limh0f(h,0)f(0,0)hf_x(0,0) = \lim_{h \to 0} \frac{f(h,0) - f(0,0)}{h}
fy(0,0)=limk0f(0,k)f(0,0)kf_y(0,0) = \lim_{k \to 0} \frac{f(0,k) - f(0,0)}{k}
f(0,0)=0f(0,0) = 0 であることに注意する。
(2) f(x,y)f(x,y)(0,0)(0,0) で全微分可能であることを示す。全微分可能であるとは、以下の式を満たす A,BA, B が存在し、かつ以下の極限が 0 になることである。
f(x,y)=f(0,0)+Ax+By+ϵ(x,y)x2+y2f(x,y) = f(0,0) + A x + B y + \epsilon(x,y) \sqrt{x^2+y^2}
lim(x,y)(0,0)ϵ(x,y)=0\lim_{(x,y) \to (0,0)} \epsilon(x,y) = 0
ここで A=fx(0,0),B=fy(0,0)A=f_x(0,0), B = f_y(0,0) を用い、上記の ϵ(x,y)\epsilon(x,y) を求め、lim(x,y)(0,0)ϵ(x,y)=0\lim_{(x,y) \to (0,0)} \epsilon(x,y) = 0 となることを示す。
(3) (x,y)(0,0)(x,y) \neq (0,0) における fx(x,y)f_x(x,y) を求める。積の微分、合成関数の微分などを適切に用いる。求めた fx(x,y)f_x(x,y)(0,0)(0,0) で不連続であることは、例えば (x,0)(x,0) 方向に (0,0)(0,0) に近づけた場合と (x,x)(x,x) 方向に (0,0)(0,0) に近づけた場合で極限値が異なることを示すことで証明できる。

3. 最終的な答え

(1)
fx(0,0)=limh0f(h,0)f(0,0)h=limh000h=0f_x(0,0) = \lim_{h \to 0} \frac{f(h,0) - f(0,0)}{h} = \lim_{h \to 0} \frac{0 - 0}{h} = 0
fy(0,0)=limk0f(0,k)f(0,0)k=limk000k=0f_y(0,0) = \lim_{k \to 0} \frac{f(0,k) - f(0,0)}{k} = \lim_{k \to 0} \frac{0 - 0}{k} = 0
したがって、fx(0,0)=0f_x(0,0) = 0, fy(0,0)=0f_y(0,0) = 0
(2)
f(x,y)=0+0x+0y+ϵ(x,y)x2+y2f(x,y) = 0 + 0 \cdot x + 0 \cdot y + \epsilon(x,y) \sqrt{x^2+y^2} と書けることを示す。
ϵ(x,y)=f(x,y)x2+y2=xysin(1x2+y2)x2+y2=xyx2+y2sin(1x2+y2)\epsilon(x,y) = \frac{f(x,y)}{\sqrt{x^2+y^2}} = \frac{xy \sin(\frac{1}{\sqrt{x^2+y^2}})}{\sqrt{x^2+y^2}} = \frac{xy}{\sqrt{x^2+y^2}} \sin(\frac{1}{\sqrt{x^2+y^2}})
ここで、xyx2+y2x2+y22x2+y2=x2+y22|\frac{xy}{\sqrt{x^2+y^2}}| \leq \frac{x^2+y^2}{2\sqrt{x^2+y^2}} = \frac{\sqrt{x^2+y^2}}{2} であり、lim(x,y)(0,0)x2+y22=0\lim_{(x,y) \to (0,0)} \frac{\sqrt{x^2+y^2}}{2} = 0 である。また、sin\sin の部分は有界であるため、lim(x,y)(0,0)ϵ(x,y)=0\lim_{(x,y) \to (0,0)} \epsilon(x,y) = 0 となり、全微分可能である。
(3)
fx(x,y)=ysin(1x2+y2)+xycos(1x2+y2)(12)(x2+y2)322xf_x(x,y) = y \sin(\frac{1}{\sqrt{x^2+y^2}}) + xy \cos(\frac{1}{\sqrt{x^2+y^2}}) (-\frac{1}{2}) (x^2+y^2)^{-\frac{3}{2}} 2x
=ysin(1x2+y2)x2y(x2+y2)32cos(1x2+y2)= y \sin(\frac{1}{\sqrt{x^2+y^2}}) - \frac{x^2y}{(x^2+y^2)^{\frac{3}{2}}} \cos(\frac{1}{\sqrt{x^2+y^2}})
x=0x=0(0,0)(0,0) に近づけると limy0fx(0,y)=limy0ysin(1y)=0\lim_{y \to 0} f_x(0,y) = \lim_{y \to 0} y \sin(\frac{1}{|y|}) = 0
x=yx=y(0,0)(0,0) に近づけると limx0fx(x,x)=limx0xsin(12x)x3(2x2)32cos(12x)\lim_{x \to 0} f_x(x,x) = \lim_{x \to 0} x \sin(\frac{1}{\sqrt{2}|x|}) - \frac{x^3}{(2x^2)^{\frac{3}{2}}} \cos(\frac{1}{\sqrt{2}|x|})
=limx0xsin(12x)x322x3cos(12x)=limx0xsin(12x)122xxcos(12x)= \lim_{x \to 0} x \sin(\frac{1}{\sqrt{2}|x|}) - \frac{x^3}{2\sqrt{2}|x|^3} \cos(\frac{1}{\sqrt{2}|x|}) = \lim_{x \to 0} x \sin(\frac{1}{\sqrt{2}|x|}) - \frac{1}{2\sqrt{2}} \frac{x}{|x|} \cos(\frac{1}{\sqrt{2}|x|})
この極限は存在しない(cos\cos の部分が振動する)。
したがって、fx(x,y)f_x(x,y)(0,0)(0,0) で不連続である。

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