画像に写っている3つの命題について述べます。 (1) 行列 $A$ が正則ならば、$A^{-1}$ も正則であり、$(A^{-1})^{-1} = A$ が成り立つ。 (2) 行列 $A$ が正則ならば、転置行列 $^tA$ も正則であり、$(^tA)^{-1} = ^t(A^{-1})$ が成り立つ(よってこの行列を $^tA^{-1}$ と書いてよい)。 (3) 行列 $A$ と $B$ が正則ならば、積 $AB$ も正則であり、$(AB)^{-1} = B^{-1}A^{-1}$ が成り立つ。

代数学線形代数行列正則逆行列転置行列
2025/7/28

1. 問題の内容

画像に写っている3つの命題について述べます。
(1) 行列 AA が正則ならば、A1A^{-1} も正則であり、(A1)1=A(A^{-1})^{-1} = A が成り立つ。
(2) 行列 AA が正則ならば、転置行列 tA^tA も正則であり、(tA)1=t(A1)(^tA)^{-1} = ^t(A^{-1}) が成り立つ(よってこの行列を tA1^tA^{-1} と書いてよい)。
(3) 行列 AABB が正則ならば、積 ABAB も正則であり、(AB)1=B1A1(AB)^{-1} = B^{-1}A^{-1} が成り立つ。

2. 解き方の手順

これらの命題は、線形代数における基本的な定理です。それぞれ以下のように証明できます。
(1) AA が正則であるとは、ある行列 A1A^{-1} が存在して、AA1=A1A=IAA^{-1} = A^{-1}A = III は単位行列)が成り立つことです。
このとき、A1A^{-1} が正則であるかどうかを考えます。
(A1)1=A(A^{-1})^{-1} = A が成り立つならば、A1A^{-1} は正則であり、AAA1A^{-1} の逆行列となります。
A1A=AA1=IA^{-1}A = AA^{-1} = I が成り立つので、A1A^{-1} は正則であり、その逆行列は AA であることがわかります。
(2) AA が正則であるとき、AA1=A1A=IAA^{-1} = A^{-1}A = I が成り立ちます。
この式全体を転置すると、(AA1)t=(A1A)t=It=I(AA^{-1})^t = (A^{-1}A)^t = I^t = I となります。
転置の性質より、(AA1)t=(A1)tAt(AA^{-1})^t = (A^{-1})^t A^t および (A1A)t=At(A1)t(A^{-1}A)^t = A^t(A^{-1})^t となります。
したがって、At(A1)t=(A1)tAt=IA^t (A^{-1})^t = (A^{-1})^t A^t = I となり、AtA^t は正則で、その逆行列は (A1)t(A^{-1})^t であることがわかります。つまり、(At)1=(A1)t(A^t)^{-1} = (A^{-1})^t が成り立ちます。
(3) AABB が正則であるとき、AA1=A1A=IAA^{-1} = A^{-1}A = I および BB1=B1B=IBB^{-1} = B^{-1}B = I が成り立ちます。
(AB)(B1A1)=A(BB1)A1=AIA1=AA1=I(AB)(B^{-1}A^{-1}) = A(BB^{-1})A^{-1} = AIA^{-1} = AA^{-1} = I
(B1A1)(AB)=B1(A1A)B=B1IB=B1B=I(B^{-1}A^{-1})(AB) = B^{-1}(A^{-1}A)B = B^{-1}IB = B^{-1}B = I
したがって、ABAB は正則であり、その逆行列は B1A1B^{-1}A^{-1} であることがわかります。つまり、(AB)1=B1A1(AB)^{-1} = B^{-1}A^{-1} が成り立ちます。

3. 最終的な答え

(1) AA が正則ならば、A1A^{-1} も正則であり、(A1)1=A(A^{-1})^{-1} = A が成り立つ。
(2) AA が正則ならば、転置行列 tA^tA も正則であり、(tA)1=t(A1)(^tA)^{-1} = ^t(A^{-1}) が成り立つ。
(3) AABB が正則ならば、積 ABAB も正則であり、(AB)1=B1A1(AB)^{-1} = B^{-1}A^{-1} が成り立つ。

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