与えられた行列 $A$ に対して、$Ax=b$ (ただし、$b$は全ての成分が1のベクトル)が解を持つための条件と、その解$x$を求めよ。ここで、$A$は$n$次の正方行列であり、$A=tI+J$ ($I$は単位行列、$J$は全ての成分が1の行列)の形をしている。

代数学線形代数行列連立一次方程式固有値行列式
2025/7/28

1. 問題の内容

与えられた行列 AA に対して、Ax=bAx=b (ただし、bbは全ての成分が1のベクトル)が解を持つための条件と、その解xxを求めよ。ここで、AAnn次の正方行列であり、A=tI+JA=tI+J (IIは単位行列、JJは全ての成分が1の行列)の形をしている。

2. 解き方の手順

まず、A=tI+JA=tI+Jという行列の性質を利用して問題を解く。
Ax=bAx=bを変形する。A=tI+JA=tI+Jを代入すると、
(tI+J)x=b(tI+J)x=b
tx+Jx=btx+Jx=b
ここで、x=(x1x2xn)x = \begin{pmatrix} x_1 \\ x_2 \\ \vdots \\ x_n \end{pmatrix}とすると、Jx=(i=1nxii=1nxii=1nxi)=(i=1nxi)(111)=(i=1nxi)bJx = \begin{pmatrix} \sum_{i=1}^{n} x_i \\ \sum_{i=1}^{n} x_i \\ \vdots \\ \sum_{i=1}^{n} x_i \end{pmatrix} = (\sum_{i=1}^{n} x_i) \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \\ \vdots \\ 1 \end{pmatrix} = (\sum_{i=1}^{n} x_i)bと書ける。
よって、tx+(i=1nxi)b=btx+(\sum_{i=1}^{n} x_i)b=bとなる。i=1nxi=c\sum_{i=1}^{n} x_i=cとおくと、tx+cb=btx+cb=bとなる。したがって、tx=(1c)btx = (1-c)bとなる。
t0t \neq 0のとき、x=1ctbx = \frac{1-c}{t}bとなり、xi=1ctx_i = \frac{1-c}{t} (i=1,2,,ni=1,2,\dots,n)となる。
c=i=1nxi=i=1n1ct=n1ctc = \sum_{i=1}^{n} x_i = \sum_{i=1}^{n} \frac{1-c}{t} = n\frac{1-c}{t}
c=nnctc = \frac{n-nc}{t}
ct=nncct = n-nc
c(t+n)=nc(t+n) = n
c=nt+nc = \frac{n}{t+n}
よって、xi=1ct=1nt+nt=t+nnt+nt=tt(t+n)=1t+nx_i = \frac{1-c}{t} = \frac{1-\frac{n}{t+n}}{t} = \frac{\frac{t+n-n}{t+n}}{t} = \frac{t}{t(t+n)} = \frac{1}{t+n} (i=1,2,,ni=1,2,\dots,n)
x=(1t+n1t+n1t+n)x = \begin{pmatrix} \frac{1}{t+n} \\ \frac{1}{t+n} \\ \vdots \\ \frac{1}{t+n} \end{pmatrix}
この解が存在するためには、t0t \neq 0t+n0t+n \neq 0が必要である。
t=0t=0のとき、Jx=bJx=bとなる。この時、全ての成分が11のベクトルxxの成分の和が11とならなくてはならないので、n=1n=1である必要がある。このとき、xxは任意である。
まとめると、t0t \neq 0かつtnt \neq -nのとき、x=(1t+n1t+n1t+n)x = \begin{pmatrix} \frac{1}{t+n} \\ \frac{1}{t+n} \\ \vdots \\ \frac{1}{t+n} \end{pmatrix}が解となる。
t=0t=0のとき、n=1n=1であればx=1x=1が解となる。
t=nt=-nのとき、解は存在しない。

3. 最終的な答え

- t0t \neq 0かつtnt \neq -nのとき、解はx=(1t+n1t+n1t+n)x = \begin{pmatrix} \frac{1}{t+n} \\ \frac{1}{t+n} \\ \vdots \\ \frac{1}{t+n} \end{pmatrix}
- t=0t = 0 かつ n=1n=1のとき、x=1x = 1
- t=nt = -nのとき、解なし

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