双曲線正接関数 $tanh(x)$ について、対称性、増減、凹凸、$\lim_{x \to \infty} tanh(x)$、$\lim_{x \to -\infty} tanh(x)$ などを調べ、グラフの概形を描く。

1. 問題の内容

双曲線正接関数 $tanh(x)$ について、対称性、増減、凹凸、$\lim_{x \to \infty} tanh(x)$、$\lim_{x \to -\infty} tanh(x)$ などを調べ、グラフの概形を描く。

2. 解き方の手順

まず、$tanh(x)$ の定義を確認する。

$tanh(x) = \frac{sinh(x)}{cosh(x)} = \frac{e^x - e^{-x}}{e^x + e^{-x}} = \frac{e^{2x} - 1}{e^{2x} + 1}$

(1) 対称性:

$tanh(-x) = \frac{e^{-x} - e^{x}}{e^{-x} + e^{x}} = \frac{-(e^{x} - e^{-x})}{e^{x} + e^{-x}} = -tanh(x)$

したがって、$tanh(x)$ は奇関数であり、原点に関して対称である。

(2) 増減:

$tanh(x)$ の導関数を求める。

$tanh'(x) = \frac{d}{dx} \frac{e^{x} - e^{-x}}{e^{x} + e^{-x}} = \frac{(e^{x} + e^{-x})^2 - (e^{x} - e^{-x})^2}{(e^{x} + e^{-x})^2} = \frac{4}{(e^{x} + e^{-x})^2} = \frac{1}{cosh^2(x)} = sech^2(x)$

$tanh'(x) > 0$ であるため、$tanh(x)$ は常に増加関数である。

(3) 凹凸:

$tanh''(x) = \frac{d}{dx} \frac{1}{cosh^2(x)} = -2cosh^{-3}(x)sinh(x) = -2 \frac{sinh(x)}{cosh^3(x)}$

$x > 0$ のとき、$sinh(x) > 0$ なので $tanh''(x) < 0$。よって、上に凸。

$x < 0$ のとき、$sinh(x) < 0$ なので $tanh''(x) > 0$。よって、下に凸。

$x = 0$ のとき、$tanh''(x) = 0$。これは変曲点である。

(4) 極限:

$\lim_{x \to \infty} tanh(x) = \lim_{x \to \infty} \frac{e^{2x} - 1}{e^{2x} + 1} = \lim_{x \to \infty} \frac{1 - e^{-2x}}{1 + e^{-2x}} = 1$

$\lim_{x \to -\infty} tanh(x) = \lim_{x \to -\infty} \frac{e^{2x} - 1}{e^{2x} + 1} = \frac{0 - 1}{0 + 1} = -1$

グラフの概形：

- 原点に関して対称

- 常に増加

- $x > 0$ で上に凸、$x < 0$ で下に凸

- $\lim_{x \to \infty} tanh(x) = 1$

- $\lim_{x \to -\infty} tanh(x) = -1$

- $tanh(0) = 0$

3. 最終的な答え

$tanh(x)$ は、原点対称な奇関数であり、常に増加関数である。$x>0$で上に凸、$x<0$で下に凸であり、$\lim_{x \to \infty} tanh(x) = 1$、$\lim_{x \to -\infty} tanh(x) = -1$ を満たす。グラフは、$y=1$ と $y=-1$ を漸近線にもつS字型の曲線となる。