与えられた問題は、自然数 $m, n$ に関する以下の4つの問いに答えるものです。 (1) 関数 $f(x) = \frac{\log x}{x}$ が $x \geq e$ において単調減少であることを示す。 (2) $n > m \geq 3$ のとき、$m^n > n^m$ が成り立つことを示す。 (3) $2^n \leq n^2$ を満たす $n$ をすべて求める。 (4) $m^n = n^m$ を満たす自然数の組 $(m, n)$ をすべて求める。

代数学対数単調減少不等式数学的帰納法方程式関数
2025/7/29

1. 問題の内容

与えられた問題は、自然数 m,nm, n に関する以下の4つの問いに答えるものです。
(1) 関数 f(x)=logxxf(x) = \frac{\log x}{x}xex \geq e において単調減少であることを示す。
(2) n>m3n > m \geq 3 のとき、mn>nmm^n > n^m が成り立つことを示す。
(3) 2nn22^n \leq n^2 を満たす nn をすべて求める。
(4) mn=nmm^n = n^m を満たす自然数の組 (m,n)(m, n) をすべて求める。

2. 解き方の手順

(1) 関数 f(x)=logxxf(x) = \frac{\log x}{x} の単調減少性を示す。
f(x)f(x) を微分します。
f(x)=1xxlogx1x2=1logxx2f'(x) = \frac{\frac{1}{x} \cdot x - \log x \cdot 1}{x^2} = \frac{1 - \log x}{x^2}
f(x)<0f'(x) < 0 となるのは、1logx<01 - \log x < 0 のとき、つまり logx>1\log x > 1 のときです。底が ee である自然対数を考えているので、x>ex > e のとき f(x)<0f'(x) < 0 となります。したがって、xex \geq e において f(x)f(x) は単調減少です。
(2) n>m3n > m \geq 3 のとき、mn>nmm^n > n^m が成り立つことを示す。
mn>nmm^n > n^m の両辺を mmnnm^m n^n で割ると、mnmmnn>nmmmnn\frac{m^n}{m^m n^n} > \frac{n^m}{m^m n^n} より、(mn)mn>1(\frac{m}{n})^{m-n} > 1 と同値です。n>mn > m より mn<0m - n < 0 なので、n>m>en>m>eであれば、 (mn)mn>1(\frac{m}{n})^{m-n} > 1となるので、mn>nmm^n>n^mが成立します。
別の方法として、f(x)=logxxf(x) = \frac{\log x}{x} を使うことができます。(1)より、f(x)f(x)xex \geq e において単調減少なので、n>m3n>m \geq 3 より f(m)>f(n)f(m) > f(n) です。つまり logmm>lognn\frac{\log m}{m} > \frac{\log n}{n} であり、nlogm>mlognn \log m > m \log n となります。対数の性質より、log(mn)>log(nm)\log (m^n) > \log (n^m) なので、mn>nmm^n > n^m が成り立ちます。
(3) 2nn22^n \leq n^2 を満たす nn をすべて求める。
n=1n = 1 のとき、21=2>12=12^1 = 2 > 1^2 = 1 なので不成立。
n=2n = 2 のとき、22=4=222^2 = 4 = 2^2 なので成立。
n=3n = 3 のとき、23=8<32=92^3 = 8 < 3^2 = 9 なので成立。
n=4n = 4 のとき、24=16=42=162^4 = 16 = 4^2 = 16 なので成立。
n=5n = 5 のとき、25=32>52=252^5 = 32 > 5^2 = 25 なので不成立。
n5n \geq 52n>n22^n > n^2 が成り立つことを数学的帰納法で示す。
(i) n=5n=5のとき成立することは示した。
(ii) n=k(5)n=k( \ge 5)2k>k22^k > k^2が成立すると仮定する。
n=k+1n=k+1のとき2k+1>(k+1)22^{k+1} > (k+1)^2を示したい。
2k+1=22k>2k22^{k+1} = 2 \cdot 2^k > 2k^2 (帰納法の仮定より)
2k2(k+1)2=2k2(k2+2k+1)=k22k1=(k1)222k^2 - (k+1)^2 = 2k^2 - (k^2 + 2k + 1) = k^2 - 2k - 1 = (k-1)^2 - 2
k5k \geq 5 なので (k1)22>0(k-1)^2 - 2 > 0。したがって 2k2>(k+1)22k^2 > (k+1)^2
よって、2k+1>2k2>(k+1)22^{k+1} > 2k^2 > (k+1)^2 となり、n=k+1n=k+1 のときも成立する。
したがって、n5n \geq 52n>n22^n > n^2 が成り立つ。
2nn22^n \leq n^2 を満たす nn は、n=2,3,4n = 2, 3, 4
(4) mn=nmm^n = n^m を満たす自然数の組 (m,n)(m, n) をすべて求める。
m=nm = n のとき、mn=nmm^n = n^m は常に成立する。したがって、(m,n)=(k,k)(m, n) = (k, k) (kk は自然数) は解。
mnm \neq n の場合を考える。m<nm < n と仮定する。
mn=nmm^n = n^m の両辺を mnmn 乗根をとると、m1m=n1nm^{\frac{1}{m}} = n^{\frac{1}{n}}
f(x)=x1xf(x) = x^{\frac{1}{x}} とおくと、f(x)=elogxxf(x) = e^{\frac{\log x}{x}}
g(x)=logxxg(x) = \frac{\log x}{x} とおくと、f(x)=eg(x)f(x) = e^{g(x)}f(x)f(x) が増減する区間はg(x)g(x)が増減する区間と同じなので、g(x)g(x)を調べる。
g(x)=1logxx2g'(x) = \frac{1 - \log x}{x^2}
g(x)>0g'(x) > 0 のとき 1logx>01 - \log x > 0 より logx<1\log x < 1。したがって x<ex < e
g(x)<0g'(x) < 0 のとき 1logx<01 - \log x < 0 より logx>1\log x > 1。したがって x>ex > e
x=1x = 1 のとき f(1)=1f(1) = 1. x=2x=2のとき、f(2)=21/2=2f(2)=2^{1/2}=\sqrt{2}.x=3x=3のとき、f(3)=31/31.44f(3)=3^{1/3} \approx 1.44.
m<nm < n とすると m=2m=2の時、2n=n22^n=n^2となる自然数nnを求めると、n=4n=4
m=3m=3の時、3n=n33^n=n^3を満たす自然数解はない
したがって、m<nm < n のとき、(m,n)=(2,4),(4,2)(m, n) = (2, 4), (4, 2) が解となる。

3. 最終的な答え

(1) xex \geq e において、f(x)=logxxf(x) = \frac{\log x}{x} は単調減少。
(2) n>m3n > m \geq 3 のとき、mn>nmm^n > n^m が成り立つ。
(3) 2nn22^n \leq n^2 を満たす nn は、n=2,3,4n = 2, 3, 4
(4) mn=nmm^n = n^m を満たす自然数の組 (m,n)(m, n) は、(m,n)=(k,k)(m, n) = (k, k) (kk は自然数) と (2,4),(4,2)(2, 4), (4, 2)

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