(1) 関数 $F:\mathbb{R}^2 \to \mathbb{R}$ の最大値と極大点の定義を述べる。 (2) 関数 $G(x,y) = 2x^3 + 6xy^2 + x^2 - y^2$ の停留点をすべて求める。 (3) (2)で求めた停留点が、極大点、極小点、あるいはどちらでもないかを判定する。 (4) 関数 $G$ が最大値を持つかどうかを証明とともに述べる。

解析学多変数関数最大値極大値停留点ヘッセ行列
2025/7/30

1. 問題の内容

(1) 関数 F:R2RF:\mathbb{R}^2 \to \mathbb{R} の最大値と極大点の定義を述べる。
(2) 関数 G(x,y)=2x3+6xy2+x2y2G(x,y) = 2x^3 + 6xy^2 + x^2 - y^2 の停留点をすべて求める。
(3) (2)で求めた停留点が、極大点、極小点、あるいはどちらでもないかを判定する。
(4) 関数 GG が最大値を持つかどうかを証明とともに述べる。

2. 解き方の手順

(1)
最大値の定義:
関数 F:R2RF:\mathbb{R}^2 \to \mathbb{R} が点 (x0,y0)(x_0, y_0) で最大値を持つとは、任意の (x,y)R2(x,y) \in \mathbb{R}^2 に対して F(x,y)F(x0,y0)F(x,y) \leq F(x_0, y_0) が成り立つことである。
極大値の定義:
関数 F:R2RF:\mathbb{R}^2 \to \mathbb{R} が点 (x0,y0)(x_0, y_0) で極大値を持つとは、ある δ>0\delta > 0 が存在して、(xx0)2+(yy0)2<δ\sqrt{(x-x_0)^2 + (y-y_0)^2} < \delta を満たす任意の (x,y)R2(x,y) \in \mathbb{R}^2 に対して F(x,y)F(x0,y0)F(x,y) \leq F(x_0, y_0) が成り立つことである。
(2)
停留点を求めるには、まず偏微分を計算する。
\frac{\partial G}{\partial x} = 6x^2 + 6y^2 + 2x
\frac{\partial G}{\partial y} = 12xy - 2y
停留点は、これらの偏微分が同時に0になる点である。
6x^2 + 6y^2 + 2x = 0 \quad \cdots (1)
12xy - 2y = 0 \quad \cdots (2)
(2)より、2y(6x1)=02y(6x-1) = 0 となるので、y=0y=0 または x=16x = \frac{1}{6} である。
y=0y = 0 のとき、(1)より 6x2+2x=06x^2 + 2x = 0 となり、2x(3x+1)=02x(3x+1)=0。よって、x=0x = 0 または x=13x = -\frac{1}{3}
したがって、(0,0)(0,0)(13,0)(-\frac{1}{3}, 0) が停留点である。
x=16x = \frac{1}{6} のとき、(1)より 6(16)2+6y2+2(16)=06(\frac{1}{6})^2 + 6y^2 + 2(\frac{1}{6}) = 0 となり、16+6y2+13=0\frac{1}{6} + 6y^2 + \frac{1}{3} = 0
6y2=126y^2 = -\frac{1}{2}。これは実数解を持たない。
よって、停留点は (0,0)(0,0)(13,0)(-\frac{1}{3}, 0) である。
(3)
ヘッセ行列を計算する。
\frac{\partial^2 G}{\partial x^2} = 12x + 2
\frac{\partial^2 G}{\partial y^2} = 12x - 2
\frac{\partial^2 G}{\partial x \partial y} = 12y
ヘッセ行列は
H(x,y) = \begin{pmatrix} 12x+2 & 12y \\ 12y & 12x-2 \end{pmatrix}
(0,0)(0,0) におけるヘッセ行列は
H(0,0) = \begin{pmatrix} 2 & 0 \\ 0 & -2 \end{pmatrix}
行列式は 2(2)0=4<02(-2) - 0 = -4 < 0 であるから、(0,0)(0,0) は鞍点である。
(13,0)(-\frac{1}{3}, 0) におけるヘッセ行列は
H(-\frac{1}{3}, 0) = \begin{pmatrix} 12(-\frac{1}{3})+2 & 0 \\ 0 & 12(-\frac{1}{3})-2 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} -2 & 0 \\ 0 & -6 \end{pmatrix}
行列式は (2)(6)0=12>0(-2)(-6) - 0 = 12 > 0 であり、2Gx2=2<0\frac{\partial^2 G}{\partial x^2} = -2 < 0 であるから、(13,0)(-\frac{1}{3}, 0) は極大点である。
(4)
G(x,y)=2x3+6xy2+x2y2G(x,y) = 2x^3 + 6xy^2 + x^2 - y^2 を考える。
G(x,0)=2x3+x2G(x,0) = 2x^3 + x^2 を考える。xx \to \infty のとき G(x,0)G(x,0) \to \infty であるため、Gは最大値を持たない。

3. 最終的な答え

(1) 最大値の定義:関数 F:R2RF:\mathbb{R}^2 \to \mathbb{R} が点 (x0,y0)(x_0, y_0) で最大値を持つとは、任意の (x,y)R2(x,y) \in \mathbb{R}^2 に対して F(x,y)F(x0,y0)F(x,y) \leq F(x_0, y_0) が成り立つことである。
極大値の定義:関数 F:R2RF:\mathbb{R}^2 \to \mathbb{R} が点 (x0,y0)(x_0, y_0) で極大値を持つとは、ある δ>0\delta > 0 が存在して、(xx0)2+(yy0)2<δ\sqrt{(x-x_0)^2 + (y-y_0)^2} < \delta を満たす任意の (x,y)R2(x,y) \in \mathbb{R}^2 に対して F(x,y)F(x0,y0)F(x,y) \leq F(x_0, y_0) が成り立つことである。
(2) 停留点:(0,0),(13,0)(0,0), (-\frac{1}{3}, 0)
(3) (0,0)(0,0): 鞍点、 (13,0)(-\frac{1}{3}, 0): 極大点
(4) GG は最大値を持たない。

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