$n$次正方行列$A$に対して、以下の問いに答えます。 (1) スカラー$\lambda$が$A$の固有値であることの定義と、その必要十分条件を答えます。 (2) 固有値$\lambda$に対して、ベクトル$\mathbf{p}$がその固有ベクトルであることの定義と、その必要十分条件を答えます。 (3) 固有ベクトルを並べた行列の正則性について成り立つことを述べます。 (4) (3)で考えた行列$P$について、$P^{-1}AP$がどのような行列になるかを答えます。
2025/7/31
1. 問題の内容
次正方行列に対して、以下の問いに答えます。
(1) スカラーがの固有値であることの定義と、その必要十分条件を答えます。
(2) 固有値に対して、ベクトルがその固有ベクトルであることの定義と、その必要十分条件を答えます。
(3) 固有ベクトルを並べた行列の正則性について成り立つことを述べます。
(4) (3)で考えた行列について、がどのような行列になるかを答えます。
2. 解き方の手順
(1) スカラーがの固有値であるとは、ある零ベクトルでないベクトルが存在して、を満たすことです。
必要十分条件は、となることです。ここで、は次単位行列です。
はと変形でき、が零ベクトルでない解を持つためには、が正則でない、すなわちとなる必要があります。
(2) 固有値に対する固有ベクトルとは、を満たす零ベクトルでないベクトルのことです。
必要十分条件は、かつが成立することです。
(3) 個の線形独立な固有ベクトルが存在するとき、それらを並べた行列は正則です。固有ベクトルが線形独立でない場合、は正則ではありません。
(4) をの線形独立な固有ベクトルを並べた行列とします。このとき、は対角行列になり、対角成分は対応する固有値になります。
すなわち、 であり、 のとき、
となります。
3. 最終的な答え
(1)
定義: ある零ベクトルでないベクトルが存在して、を満たす。
必要十分条件:
(2)
定義: を満たす零ベクトルでないベクトル
必要十分条件: かつ
(3)
個の線形独立な固有ベクトルが存在するとき、それらを並べた行列は正則である。
(4)
対角行列であり、対角成分は対応する固有値となる。