薬物Aはヒドロニウムイオンと水酸化物イオンの触媒反応を受けて加水分解される。 見かけの反応速度定数 $k = k_{H^{+}}[H_3O^{+}] + k_{OH^{-}}[OH^{-}]$ が与えられており、$k_{H^{+}} = 1.0 \times 10^4 L mol^{-1} min^{-1}$、$k_{OH^{-}} = 1.0 \times 10^2 L mol^{-1} min^{-1}$、$K_w = 1.0 \times 10^{-14} (mol/L)^2$、$\ln 2 = 0.69$ である。 (1) 薬物A水溶液の加水分解反応が擬1次反応として解析できる理由を答える。 (2) 薬物A水溶液の見かけの反応速度定数 $k$ (min$^{-1}$) の常用対数と pH との関係を適切に表しているグラフを (ア)~(カ) の中から選ぶ。 (3) 薬物Aが最も安定な pH を求める。 (4) 最も安定な pH での半減期を求める。

応用数学反応速度論微分対数pH半減期
2025/7/31

1. 問題の内容

薬物Aはヒドロニウムイオンと水酸化物イオンの触媒反応を受けて加水分解される。
見かけの反応速度定数 k=kH+[H3O+]+kOH[OH]k = k_{H^{+}}[H_3O^{+}] + k_{OH^{-}}[OH^{-}] が与えられており、kH+=1.0×104Lmol1min1k_{H^{+}} = 1.0 \times 10^4 L mol^{-1} min^{-1}kOH=1.0×102Lmol1min1k_{OH^{-}} = 1.0 \times 10^2 L mol^{-1} min^{-1}Kw=1.0×1014(mol/L)2K_w = 1.0 \times 10^{-14} (mol/L)^2ln2=0.69\ln 2 = 0.69 である。
(1) 薬物A水溶液の加水分解反応が擬1次反応として解析できる理由を答える。
(2) 薬物A水溶液の見かけの反応速度定数 kk (min1^{-1}) の常用対数と pH との関係を適切に表しているグラフを (ア)~(カ) の中から選ぶ。
(3) 薬物Aが最も安定な pH を求める。
(4) 最も安定な pH での半減期を求める。

2. 解き方の手順

(1) 擬1次反応として解析できる理由
水の濃度は反応中ほぼ一定であるため、反応速度式において水の濃度を定数とみなせる。これにより、見かけ上1次反応として扱える。
(2) グラフの選択
pH と kk の関係式を求める。
k=kH+[H3O+]+kOH[OH]k = k_{H^{+}}[H_3O^{+}] + k_{OH^{-}}[OH^{-}]
[H3O+]=10pH[H_3O^{+}] = 10^{-pH}
[OH]=Kw[H3O+]=101410pH=10pH14[OH^{-}] = \frac{K_w}{[H_3O^{+}]} = \frac{10^{-14}}{10^{-pH}} = 10^{pH-14}
k=1.0×104×10pH+1.0×102×10pH14k = 1.0 \times 10^4 \times 10^{-pH} + 1.0 \times 10^2 \times 10^{pH-14}
k=104pH+10pH12k = 10^{4-pH} + 10^{pH-12}
両辺の常用対数をとる。
log10k=log10(104pH+10pH12)\log_{10}k = \log_{10}(10^{4-pH} + 10^{pH-12})
pH が小さいとき、104pH10^{4-pH} が支配的であり、pH が大きいとき、10pH1210^{pH-12} が支配的である。
pH が小さいとき、log10k4pH\log_{10} k \approx 4 - pH となり、pH が大きくなるにつれて減少する。
pH が大きいとき、log10kpH12\log_{10} k \approx pH - 12 となり、pH が大きくなるにつれて増加する。
pH が中間のとき、kk は最小値を持つ。
pH=6pH = 6 付近で最小値をとるグラフは (イ) である。
(3) 最も安定な pH
kk が最小となる pH を求める。
dkdpH=ddpH(104pH+10pH12)=0\frac{dk}{dpH} = \frac{d}{dpH}(10^{4-pH} + 10^{pH-12}) = 0
104pHln10×(1)+10pH12ln10×(1)=010^{4-pH} \ln 10 \times (-1) + 10^{pH-12} \ln 10 \times (1) = 0
104pH=10pH1210^{4-pH} = 10^{pH-12}
4pH=pH124 - pH = pH - 12
2pH=162pH = 16
pH=8pH = 8
(4) 半減期
1次反応の半減期 t1/2=ln2kt_{1/2} = \frac{\ln 2}{k}
pH=8pH = 8 のとき、
k=1048+10812=104+104=2×104min1k = 10^{4-8} + 10^{8-12} = 10^{-4} + 10^{-4} = 2 \times 10^{-4} min^{-1}
t1/2=0.692×104=3450mint_{1/2} = \frac{0.69}{2 \times 10^{-4}} = 3450 min
t1/2=345060×24days2.4dayst_{1/2} = \frac{3450}{60 \times 24} days \approx 2.4 days

3. 最終的な答え

(1) 水の濃度が一定とみなせるため。
(2) (イ)
(3) pH = 8
(4) 2.4日

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