$f(x) = \sqrt{1+x}$ の $n=4$ のマクローリン展開を求め、それを用いて $\sqrt{1.1}$ の近似値とその誤差の範囲(誤差の絶対値の最大値)を求める問題です。ただし、近似値は小数で求める必要があります。

解析学マクローリン展開テイラー展開近似誤差
2025/7/31

1. 問題の内容

f(x)=1+xf(x) = \sqrt{1+x}n=4n=4 のマクローリン展開を求め、それを用いて 1.1\sqrt{1.1} の近似値とその誤差の範囲(誤差の絶対値の最大値)を求める問題です。ただし、近似値は小数で求める必要があります。

2. 解き方の手順

まず、f(x)=1+xf(x) = \sqrt{1+x} のマクローリン展開を求めます。マクローリン展開は x=0x=0 におけるテイラー展開であるため、以下の式で表されます。
f(x)=k=0nf(k)(0)k!xk+Rnf(x) = \sum_{k=0}^{n} \frac{f^{(k)}(0)}{k!} x^k + R_n
ここで、RnR_n は剰余項です。この問題では n=4n=4 のマクローリン展開を求めるので、 f(x)f(x) の0階から4階までの導関数を計算し、x=0x=0 における値を求めます。
* f(x)=(1+x)1/2f(x) = (1+x)^{1/2}
* f(x)=12(1+x)1/2f'(x) = \frac{1}{2}(1+x)^{-1/2}
* f(x)=14(1+x)3/2f''(x) = -\frac{1}{4}(1+x)^{-3/2}
* f(x)=38(1+x)5/2f'''(x) = \frac{3}{8}(1+x)^{-5/2}
* f(4)(x)=1516(1+x)7/2f^{(4)}(x) = -\frac{15}{16}(1+x)^{-7/2}
次に、x=0x=0 でのこれらの導関数の値を計算します。
* f(0)=1f(0) = 1
* f(0)=12f'(0) = \frac{1}{2}
* f(0)=14f''(0) = -\frac{1}{4}
* f(0)=38f'''(0) = \frac{3}{8}
* f(4)(0)=1516f^{(4)}(0) = -\frac{15}{16}
これらの値をマクローリン展開の式に代入します。
f(x)=1+12x142!x2+383!x315164!x4+R4f(x) = 1 + \frac{1}{2}x - \frac{1}{4\cdot2!}x^2 + \frac{3}{8\cdot3!}x^3 - \frac{15}{16\cdot4!}x^4 + R_4
これを整理すると、
f(x)=1+12x18x2+116x3+R4f(x) = 1 + \frac{1}{2}x - \frac{1}{8}x^2 + \frac{1}{16}x^3 + R_4
ここで、問題文にx3x^3までの多項式と書いてあるので、x4x^4の項を無視します。
1+x1+12x18x2+116x3\sqrt{1+x} \approx 1 + \frac{1}{2}x - \frac{1}{8}x^2 + \frac{1}{16}x^3
次に、1.1\sqrt{1.1} の近似値を求めます。x=0.1x=0.1 を代入します。
1.11+12(0.1)18(0.1)2+116(0.1)3=1+0.050.00125+0.0000625=1.04881251.0488\sqrt{1.1} \approx 1 + \frac{1}{2}(0.1) - \frac{1}{8}(0.1)^2 + \frac{1}{16}(0.1)^3 = 1 + 0.05 - 0.00125 + 0.0000625 = 1.0488125 \approx 1.0488
最後に、誤差の範囲を求めます。剰余項 R4R_4 はラグランジュの剰余項で評価できます。
R4=f(5)(c)5!x5R_4 = \frac{f^{(5)}(c)}{5!}x^5
ただし、0<c<x0 < c < x です。
f(5)(x)=10532(1+x)9/2f^{(5)}(x) = \frac{105}{32}(1+x)^{-9/2}
R4=105325!(1+c)9/2x5=10532120(1+c)9/2(0.1)5=7256(1+c)9/2(0.1)5R_4 = \frac{105}{32 \cdot 5!}(1+c)^{-9/2}x^5 = \frac{105}{32 \cdot 120}(1+c)^{-9/2}(0.1)^5 = \frac{7}{256}(1+c)^{-9/2}(0.1)^5
R47256(0.1)5=7256×0.00001=0.0000002734375|R_4| \leq \frac{7}{256} (0.1)^5 = \frac{7}{256} \times 0.00001 = 0.0000002734375
したがって、誤差の絶対値の最大値は約 0.00000027 です。

3. 最終的な答え

1+x1+12x18x2+116x3\sqrt{1+x} \approx 1 + \frac{1}{2}x - \frac{1}{8}x^2 + \frac{1}{16}x^3
1.11.0488\sqrt{1.1} \approx 1.0488
誤差の範囲(誤差の絶対値の最大値)は約 0.000000270.00000027

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