(1) $n$ 個の実数 $a_1, a_2, \dots, a_n$ に対して、不等式 $(\sum_{k=1}^n a_k)^2 \le n \sum_{k=1}^n a_k^2$ が成立することを示し、等号が成立するための $a_1, a_2, \dots, a_n$ についての必要十分条件を求める。 (2) 偏りをもつサイコロを2回投げるとき、同じ目が続けて出る確率は $\frac{1}{6}$ よりも大きいことを示す。ただし、サイコロが偏りをもつとは、1から6の目が同様に確からしく出ないことをいう。

応用数学不等式コーシー・シュワルツの不等式確率サイコロ必要十分条件
2025/7/31

1. 問題の内容

(1) nn 個の実数 a1,a2,,ana_1, a_2, \dots, a_n に対して、不等式 (k=1nak)2nk=1nak2(\sum_{k=1}^n a_k)^2 \le n \sum_{k=1}^n a_k^2 が成立することを示し、等号が成立するための a1,a2,,ana_1, a_2, \dots, a_n についての必要十分条件を求める。
(2) 偏りをもつサイコロを2回投げるとき、同じ目が続けて出る確率は 16\frac{1}{6} よりも大きいことを示す。ただし、サイコロが偏りをもつとは、1から6の目が同様に確からしく出ないことをいう。

2. 解き方の手順

(1)
コーシー・シュワルツの不等式を用いる。
xk=1x_k = 1, yk=aky_k = a_k とすると、
(k=1nxkyk)2(k=1nxk2)(k=1nyk2)(\sum_{k=1}^n x_k y_k)^2 \le (\sum_{k=1}^n x_k^2)(\sum_{k=1}^n y_k^2) が成り立つ。
このとき、
(k=1n1ak)2(k=1n12)(k=1nak2)(\sum_{k=1}^n 1 \cdot a_k)^2 \le (\sum_{k=1}^n 1^2)(\sum_{k=1}^n a_k^2)
(k=1nak)2nk=1nak2(\sum_{k=1}^n a_k)^2 \le n \sum_{k=1}^n a_k^2
したがって、不等式は成立する。
等号が成立するための必要十分条件は、xkx_kyky_k が比例すること、つまり、ある実数 cc が存在して ak=c1=ca_k = c \cdot 1 = c がすべての kk について成り立つことである。
したがって、a1=a2==ana_1 = a_2 = \dots = a_n が必要十分条件である。
(2)
サイコロの各目の出る確率を p1,p2,,p6p_1, p_2, \dots, p_6 とする。
i=16pi=1\sum_{i=1}^6 p_i = 1 であり、pi>0p_i > 0 である。
同じ目が続けて出る確率は、
P=p12+p22++p62P = p_1^2 + p_2^2 + \dots + p_6^2
問題文より、サイコロが偏りを持つため、pip_i はすべて等しくはない。
コーシー・シュワルツの不等式において、n=6n=6, xi=1x_i=1, yi=piy_i=p_i とすると、
(i=16xiyi)2(i=16xi2)(i=16yi2)(\sum_{i=1}^6 x_i y_i)^2 \le (\sum_{i=1}^6 x_i^2)(\sum_{i=1}^6 y_i^2)
(i=16pi)2(i=1612)(i=16pi2)(\sum_{i=1}^6 p_i)^2 \le (\sum_{i=1}^6 1^2)(\sum_{i=1}^6 p_i^2)
126(i=16pi2)1^2 \le 6 (\sum_{i=1}^6 p_i^2)
i=16pi216\sum_{i=1}^6 p_i^2 \ge \frac{1}{6}
ただし、等号成立は p1=p2==p6=16p_1 = p_2 = \dots = p_6 = \frac{1}{6} のとき。
問題文より偏りがあるため、等号は成立しない。
したがって、P=p12+p22++p62>16P = p_1^2 + p_2^2 + \dots + p_6^2 > \frac{1}{6}

3. 最終的な答え

(1)
不等式 (k=1nak)2nk=1nak2(\sum_{k=1}^n a_k)^2 \le n \sum_{k=1}^n a_k^2 は成立する。
等号成立の必要十分条件は、a1=a2==ana_1 = a_2 = \dots = a_n である。
(2)
偏りをもつサイコロを2回投げるとき、同じ目が続けて出る確率は 16\frac{1}{6} よりも大きい。

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