問題は以下の3つの設問から構成されています。 (1) ニッケル(Ni)の面心立方格子に関する設問で、単位格子に含まれる原子の数、充填率、密度を求めます。 (2) 塩化ナトリウム(NaCl)分子に関する設問で、完全にイオン結合とした場合の双極子モーメントと、実際のイオン性を求めます。 (3) 電子の運動に関する設問で、運動エネルギー、運動量、物質波の波長を求めます。

応用数学物理化学結晶構造双極子モーメント電子運動エネルギー運動量物質波
2025/8/2

1. 問題の内容

問題は以下の3つの設問から構成されています。
(1) ニッケル(Ni)の面心立方格子に関する設問で、単位格子に含まれる原子の数、充填率、密度を求めます。
(2) 塩化ナトリウム(NaCl)分子に関する設問で、完全にイオン結合とした場合の双極子モーメントと、実際のイオン性を求めます。
(3) 電子の運動に関する設問で、運動エネルギー、運動量、物質波の波長を求めます。

2. 解き方の手順

(1) Niの面心立方格子
(a) 単位格子に含まれる原子の数:面心立方格子では、各頂点に1/8個、各面に1/2個の原子が存在します。したがって、単位格子に含まれる原子の数は、N=8×(1/8)+6×(1/2)=1+3=4N = 8 \times (1/8) + 6 \times (1/2) = 1 + 3 = 4個です。
(b) 充填率:面心立方格子の充填率は、F=π2/60.74=74%F = \pi \sqrt{2}/6 \approx 0.74 = 74 \% です。
(c) 密度:密度 ρ\rho は、ρ=N×MV×NA\rho = \frac{N \times M}{V \times N_A} で計算できます。ここで、NNは単位格子に含まれる原子の数、MMは原子量、VVは単位格子の体積、NAN_Aはアボガドロ定数です。
N=4N = 4M=59M = 59 g/mol、V=a3=(3.6×108cm)3=4.6656×1023cm3V = a^3 = (3.6 \times 10^{-8} \text{cm})^3 = 4.6656 \times 10^{-23} \text{cm}^3NA=6.022×1023mol1N_A = 6.022 \times 10^{23} \text{mol}^{-1} を代入します。
ρ=4×594.6656×1023×6.022×1023=23628.0968.40\rho = \frac{4 \times 59}{4.6656 \times 10^{-23} \times 6.022 \times 10^{23}} = \frac{236}{28.096} \approx 8.40 g/cm3^3
(2) NaCl分子
(a) Na+ClNa^+Cl^- としたときの双極子モーメント μ\mu^*:
電荷 e=1.602×1019Ce = 1.602 \times 10^{-19} \text{C}、原子間距離 r=2.4×1010mr = 2.4 \times 10^{-10} \text{m} なので、μ=e×r\mu^* = e \times r で計算できます。
μ=1.602×1019×2.4×1010=3.8448×1029C m\mu^* = 1.602 \times 10^{-19} \times 2.4 \times 10^{-10} = 3.8448 \times 10^{-29} \text{C m}
単位をデバイ(D)に変換します。1D=3.336×1030C m1 \text{D} = 3.336 \times 10^{-30} \text{C m}なので、
μ=3.8448×10293.336×103011.53D\mu^* = \frac{3.8448 \times 10^{-29}}{3.336 \times 10^{-30}} \approx 11.53 \text{D}
(b) NaClの結合のイオン性 α\alpha:
イオン性 α=μμ×100\alpha = \frac{\mu}{\mu^*} \times 100 で計算します。ここで、μ=9.0D\mu = 9.0 \text{D}μ=11.53D\mu^* = 11.53 \text{D} です。
α=9.011.53×10078.06%\alpha = \frac{9.0}{11.53} \times 100 \approx 78.06 \%
(3) 電子
(a) 運動エネルギー KK:
K=12mv2K = \frac{1}{2}mv^2 で計算します。ここで、m=9.109×1031kgm = 9.109 \times 10^{-31} \text{kg}v=5.4×104m/sv = 5.4 \times 10^4 \text{m/s} です。
K=12×9.109×1031×(5.4×104)2=12×9.109×1031×2.916×109=1.329×1021JK = \frac{1}{2} \times 9.109 \times 10^{-31} \times (5.4 \times 10^4)^2 = \frac{1}{2} \times 9.109 \times 10^{-31} \times 2.916 \times 10^9 = 1.329 \times 10^{-21} \text{J}
(b) 運動量 pp:
p=mvp = mv で計算します。
p=9.109×1031×5.4×104=4.919×1026kg m/sp = 9.109 \times 10^{-31} \times 5.4 \times 10^4 = 4.919 \times 10^{-26} \text{kg m/s}
(c) 物質波の波長 λ\lambda:
λ=hp\lambda = \frac{h}{p} で計算します。ここで、h=6.626×1034J sh = 6.626 \times 10^{-34} \text{J s} です。
λ=6.626×10344.919×1026=1.347×108m\lambda = \frac{6.626 \times 10^{-34}}{4.919 \times 10^{-26}} = 1.347 \times 10^{-8} \text{m}

3. 最終的な答え

(1) Niの面心立方格子
(a) 4 個
(b) 74 %
(c) 8.40 g/cm3^3
(2) NaCl分子
(a) 11.53 D
(b) 78.06 %
(3) 電子
(a) 1.329 x 10^{-21} J
(b) 4.919 x 10^{-26} kg m/s
(c) 1.347 x 10^{-8} m

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