高さ $h$ [m] のビルの上から、角度 $\theta$ の方向に初速度 $v_0$ [m/s] で質量 $m$ [kg] の小球を投げた。点Oを原点として、図のように $x$ 座標、$y$ 座標をとり、投げた時刻を $t = 0$ 秒、重力加速度を $g$ [m/s$^2$] とする。 (1) $x$ 方向の速度を $v_x(t)$、$y$ 方向の速度を $v_y(t)$ として、$x$ 方向、$y$ 方向の運動方程式を書け。 (2) 運動方程式を解いて、時刻 $t$ のときの小球の速度 $v_x(t)$、$v_y(t)$ を求めよ。 (3) (2) の結果より、時刻 $t$ のときの小球の位置 $x(t)$、$y(t)$ を求めよ。 (4) 小球が最高点に達する時間と地上から最高点までの高さを求めよ。 (5) 最高点での小球の速さを求めよ。 (6) 小球が地上に落下する時間を求めよ。 (7) 質量 $2m$ [kg] の小球を同じ初速度 $v_0$ [m/s] で同じ方向に投げると、地上に達するまでの時間はどのようになるか。

応用数学力学運動方程式放物運動物理
2025/8/1

1. 問題の内容

高さ hh [m] のビルの上から、角度 θ\theta の方向に初速度 v0v_0 [m/s] で質量 mm [kg] の小球を投げた。点Oを原点として、図のように xx 座標、yy 座標をとり、投げた時刻を t=0t = 0 秒、重力加速度を gg [m/s2^2] とする。
(1) xx 方向の速度を vx(t)v_x(t)yy 方向の速度を vy(t)v_y(t) として、xx 方向、yy 方向の運動方程式を書け。
(2) 運動方程式を解いて、時刻 tt のときの小球の速度 vx(t)v_x(t)vy(t)v_y(t) を求めよ。
(3) (2) の結果より、時刻 tt のときの小球の位置 x(t)x(t)y(t)y(t) を求めよ。
(4) 小球が最高点に達する時間と地上から最高点までの高さを求めよ。
(5) 最高点での小球の速さを求めよ。
(6) 小球が地上に落下する時間を求めよ。
(7) 質量 2m2m [kg] の小球を同じ初速度 v0v_0 [m/s] で同じ方向に投げると、地上に達するまでの時間はどのようになるか。

2. 解き方の手順

(1) 運動方程式
xx 方向には力が働かないので、運動方程式は
mdvxdt=0m \frac{dv_x}{dt} = 0
yy 方向には重力が働くので、運動方程式は
mdvydt=mgm \frac{dv_y}{dt} = -mg
(2) 速度
xx 方向の速度は時間によらず一定である。初期条件 vx(0)=v0cosθv_x(0) = v_0 \cos \theta より
vx(t)=v0cosθv_x(t) = v_0 \cos \theta
yy 方向の速度は、運動方程式を積分して
vy(t)=gt+Cv_y(t) = -gt + C
初期条件 vy(0)=v0sinθv_y(0) = v_0 \sin \theta より C=v0sinθC = v_0 \sin \theta なので
vy(t)=gt+v0sinθv_y(t) = -gt + v_0 \sin \theta
(3) 位置
xx 方向の位置は、速度を積分して
x(t)=vx(t)dt=v0cosθdt=(v0cosθ)t+C1x(t) = \int v_x(t) dt = \int v_0 \cos \theta dt = (v_0 \cos \theta) t + C_1
初期条件 x(0)=0x(0) = 0 より C1=0C_1 = 0 なので
x(t)=(v0cosθ)tx(t) = (v_0 \cos \theta) t
yy 方向の位置は、速度を積分して
y(t)=vy(t)dt=(gt+v0sinθ)dt=12gt2+(v0sinθ)t+C2y(t) = \int v_y(t) dt = \int (-gt + v_0 \sin \theta) dt = -\frac{1}{2} g t^2 + (v_0 \sin \theta) t + C_2
初期条件 y(0)=hy(0) = h より C2=hC_2 = h なので
y(t)=12gt2+(v0sinθ)t+hy(t) = -\frac{1}{2} g t^2 + (v_0 \sin \theta) t + h
(4) 最高点に達する時間と高さ
最高点では vy(t)=0v_y(t) = 0 なので
gt+v0sinθ=0-gt + v_0 \sin \theta = 0
t=v0sinθgt = \frac{v_0 \sin \theta}{g}
最高点の高さは
y(v0sinθg)=12g(v0sinθg)2+v0sinθ(v0sinθg)+h=12v02sin2θg+v02sin2θg+h=v02sin2θ2g+hy(\frac{v_0 \sin \theta}{g}) = -\frac{1}{2} g (\frac{v_0 \sin \theta}{g})^2 + v_0 \sin \theta (\frac{v_0 \sin \theta}{g}) + h = -\frac{1}{2} \frac{v_0^2 \sin^2 \theta}{g} + \frac{v_0^2 \sin^2 \theta}{g} + h = \frac{v_0^2 \sin^2 \theta}{2g} + h
(5) 最高点での速さ
最高点では vy(t)=0v_y(t) = 0 であり、vx(t)=v0cosθv_x(t) = v_0 \cos \theta であるから、速さは
v=vx(t)=v0cosθv = v_x(t) = v_0 \cos \theta
(6) 地上に落下する時間
地上に落下する時間は y(t)=0y(t) = 0 となる tt を求める。
12gt2+(v0sinθ)t+h=0-\frac{1}{2} g t^2 + (v_0 \sin \theta) t + h = 0
gt22(v0sinθ)t2h=0gt^2 - 2(v_0 \sin \theta) t - 2h = 0
t=2v0sinθ±4v02sin2θ+8gh2g=v0sinθ±v02sin2θ+2ghgt = \frac{2v_0 \sin \theta \pm \sqrt{4v_0^2 \sin^2 \theta + 8gh}}{2g} = \frac{v_0 \sin \theta \pm \sqrt{v_0^2 \sin^2 \theta + 2gh}}{g}
t>0t > 0 なので
t=v0sinθ+v02sin2θ+2ghgt = \frac{v_0 \sin \theta + \sqrt{v_0^2 \sin^2 \theta + 2gh}}{g}
(7) 質量が 2m2m の場合
質量が 2m2m になっても、運動方程式は
2mdvxdt=02m \frac{dv_x}{dt} = 0
2mdvydt=2mg2m \frac{dv_y}{dt} = -2mg
となり、質量 mm のときと同様に計算できる。したがって、地上に落下するまでの時間は変わらない。

3. 最終的な答え

(1) mdvxdt=0m \frac{dv_x}{dt} = 0, mdvydt=mgm \frac{dv_y}{dt} = -mg
(2) vx(t)=v0cosθv_x(t) = v_0 \cos \theta, vy(t)=gt+v0sinθv_y(t) = -gt + v_0 \sin \theta
(3) x(t)=(v0cosθ)tx(t) = (v_0 \cos \theta) t, y(t)=12gt2+(v0sinθ)t+hy(t) = -\frac{1}{2} g t^2 + (v_0 \sin \theta) t + h
(4) 最高点に達する時間: v0sinθg\frac{v_0 \sin \theta}{g}, 地上から最高点までの高さ: v02sin2θ2g+h\frac{v_0^2 \sin^2 \theta}{2g} + h
(5) 最高点での速さ: v0cosθv_0 \cos \theta
(6) 地上に落下する時間: v0sinθ+v02sin2θ+2ghg\frac{v_0 \sin \theta + \sqrt{v_0^2 \sin^2 \theta + 2gh}}{g}
(7) 地上に達するまでの時間は変わらない。

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