各行列について、以下の手順で逆行列を求めます。
* **行列式を計算する。** 行列式が0でなければ、逆行列が存在します。
* **余因子行列を計算する。**
* **余因子行列の転置行列 (随伴行列) を計算する。**
* **随伴行列を行列式で割る。** これが逆行列です。
ただし、4次の行列については掃き出し法を用いる方が計算が楽な場合があります。
行列によっては、ある行の定数倍を他の行に足したり引いたりして、行を簡約化してから行列式を計算すると楽になる場合があります。
(1)
行列 A=221−1−100−1−1 について考えます。 行列式は
∣A∣=2−10−1−1−(−1)21−1−1+021−10=2(1−0)+(−2−(−1))=2−1=1 余因子行列は
1−111−221−10 転置行列は
111−1−2−1120 行列式が1なので、逆行列は余因子行列の転置行列に等しいです。
(2)
行列 A=−331−6532−2−1 について考えます。 行列式は
∣A∣=−353−2−1−(−6)31−2−1+23153=−3(−5+6)+6(−3+2)+2(9−5)=−3−6+8=−1 余因子行列は
10211−12433 転置行列は
1140132−123 行列式が-1なので、逆行列は余因子行列の転置行列に-1を掛けたものです。
(3)
行列 A=11−1111−115 について考えます。 行列式は
∣A∣=11115−11−115+(−1)1−111=(5−1)−(5−(−1))−(1−(−1))=4−6−2=−4 余因子行列は
4−62−6422−20 転置行列は
4−62−64−2220 行列式が-4なので、逆行列は余因子行列の転置行列を-4で割ったものです。
(4)
行列 A=1000110011101111 について考えます。 これは上三角行列なので、行列式は対角成分の積で計算できます。∣A∣=1∗1∗1∗1=1 また、逆行列も上三角行列になります。
A−1=1000−11000−11000−11 (5)
行列 A=20100−101111−10−203 について考えます。 行列式は
∣A∣=2−10111−1−203+1010−101−2−23=2∗1∗−11−23+1∗(−1)∗10−23=2∗(−3+2)−1∗(3)=−2−3=−5 掃き出し法で逆行列を計算すると
10−100−3/502/50−3/522/50−2/503/5 (6)
行列 A=a001a011a について考えます。 これは上三角行列なので、行列式は対角成分の積で計算できます。∣A∣=a∗a∗a=a3 余因子行列は
a2−a1−a20a2−a00a2 転置行列は
a200−aa201−a2−aa2 逆行列は余因子行列の転置行列をa3で割ったものです。 (7)
行列 A=121131−a+12a1 について考えます。 行列式は
∣A∣=1(3−2a)−1(2−2a)+(−a+1)(2−3)=3−2a−2+2a+a−1=a 余因子行列は
3−2a−a5a−3−2a−2a+1−4a+1−101 転置行列は
3−2a−2a−2−1−aa+105a−3−4a+11 逆行列は余因子行列の転置行列をaで割ったものです。