問題は2つあります。 (1) 行列 $A$ の行列式を、$A$ の成分と余因子を用いて展開する式を書く。 (2) $4$ 次正方行列 $A, B$ に対して、$BA$ が正則ならば、$A, B$ はどちらも正則であることを示す。
2025/8/3
1. 問題の内容
問題は2つあります。
(1) 行列 の行列式を、 の成分と余因子を用いて展開する式を書く。
(2) 次正方行列 に対して、 が正則ならば、 はどちらも正則であることを示す。
2. 解き方の手順
(1) 行列 の行列式は、ある行または列を選び、その行(または列)の各成分と、その成分に対応する余因子の積の和として計算できます。
を 行列とし、 を の 行 列の成分とします。 を の余因子とします。
行列式 は、第 行に関して展開すると次のようになります。
また、行列式 は、第 列に関して展開すると次のようになります。
(2) が正則であると仮定します。つまり、 は逆行列を持ちます。
したがって、 が成り立ちます。行列式の性質より、 です。
したがって、 が成り立ちます。
であるためには、 かつ でなければなりません。
であることは、 が正則であることと同値です。
同様に、 であることは、 が正則であることと同値です。
したがって、 が正則ならば、 と はどちらも正則です。
3. 最終的な答え
(1) 行列 の行列式を展開する式は次の通りです。
(第 行に関して展開)
(第 列に関して展開)
(2) 次正方行列 に対して、 が正則ならば、 はどちらも正則である。 (証明完了)