問題は二つあります。 (1) 3次正方行列 $A = (a_{ij})$ の余因子 $H_{34}$ の定義を述べよ。また、行列式$|A|$の第1行に関する展開を表す式を、$A$の成分および余因子を用いて書け。 (2) 4次正方行列 $A, B$ に対し、${}^tBA$ が正則ならば、$A, B$ はいずれも正則であることを示せ。

1. 問題の内容

問題は二つあります。

(1) 3次正方行列 $A = (a_{ij})$ の余因子 $H_{34}$ の定義を述べよ。また、行列式$|A|$の第1行に関する展開を表す式を、$A$の成分および余因子を用いて書け。

(2) 4次正方行列 $A, B$ に対し、${}^tBA$ が正則ならば、$A, B$ はいずれも正則であることを示せ。

2. 解き方の手順

(1)

- 余因子 $H_{ij}$ の定義: 正方行列 $A$ の第 $i$ 行と第 $j$ 列を取り除いてできる小行列の行列式に $(-1)^{i+j}$ をかけたものを、$A$ の $(i, j)$ 成分に関する余因子 $H_{ij}$ と定義する。

したがって、$H_{34}$ は存在しない。なぜなら $A$ が3次正方行列であるとき、第4列は存在しないからである。

- 行列式 $|A|$ の第1行に関する展開:

$|A| = a_{11}H_{11} + a_{12}H_{12} + a_{13}H_{13}$

(2)

${}^tBA$ が正則であることから、${}^tBA$ の行列式は0ではない。つまり、

$det({}^tBA) \ne 0$

行列式の性質として $det(XY) = det(X)det(Y)$ および $det({}^tX) = det(X)$ がある。

したがって、

$det({}^tBA) = det({}^tB)det(A) = det(B)det(A) \ne 0$

$det(B)det(A) \ne 0$ であるためには $det(B) \ne 0$ かつ $det(A) \ne 0$ でなければならない。

$det(B) \ne 0$ より $B$ は正則。

$det(A) \ne 0$ より $A$ は正則。

したがって、$A, B$ はいずれも正則である。

3. 最終的な答え

(1) $H_{34}$ は存在しない。

$|A| = a_{11}H_{11} + a_{12}H_{12} + a_{13}H_{13}$

(2)

${}^tBA$ が正則ならば、$A, B$ はいずれも正則である。