K市の18歳男子12人の身長を調べたところ、平均身長 $\bar{x} = 174.9$ cm、不偏分散 $\hat{\sigma}^2 = 43.2$ cm$^2$ であった。日本全国の18歳男子の平均身長は $\mu = 171.2$ cm である。K市の18歳男子の平均身長が日本全国の18歳男子の平均身長と比べて高いと言えるかを、有意水準5%で両側検定する。帰無仮説、対立仮説、限界値を求め、検定結果を示す。

確率論・統計学仮説検定t検定統計的推測
2025/8/3
## 問6 (1)

1. 問題の内容

K市の18歳男子12人の身長を調べたところ、平均身長 xˉ=174.9\bar{x} = 174.9 cm、不偏分散 σ^2=43.2\hat{\sigma}^2 = 43.2 cm2^2 であった。日本全国の18歳男子の平均身長は μ=171.2\mu = 171.2 cm である。K市の18歳男子の平均身長が日本全国の18歳男子の平均身長と比べて高いと言えるかを、有意水準5%で両側検定する。帰無仮説、対立仮説、限界値を求め、検定結果を示す。

2. 解き方の手順

(1) 帰無仮説 H0H_0 と対立仮説 H1H_1 を設定する。
* H0H_0: μ=171.2\mu = 171.2 (K市の18歳男子の平均身長は日本全国の18歳男子の平均身長と同じ)
* H1H_1: μ171.2\mu \ne 171.2 (K市の18歳男子の平均身長は日本全国の18歳男子の平均身長と異なる)
(2) 検定統計量 tt を計算する。標本サイズが小さいので、tt検定を行う。母分散が未知なので、不偏分散から推定する。
t=xˉμσ^2nt = \frac{\bar{x} - \mu}{\sqrt{\frac{\hat{\sigma}^2}{n}}}
t=174.9171.243.212=3.73.6=3.71.8971.95t = \frac{174.9 - 171.2}{\sqrt{\frac{43.2}{12}}} = \frac{3.7}{\sqrt{3.6}} = \frac{3.7}{1.897} \approx 1.95
(3) 自由度 ν=n1=121=11\nu = n - 1 = 12 - 1 = 11tt 分布における有意水準5%の両側検定の限界値を求める。tt分布表から、α/2=0.025\alpha/2 = 0.025ν=11\nu = 11 の時の tt 値は t0.025,11=2.201t_{0.025, 11} = 2.201 である。
(4) 検定統計量 tt と限界値を比較する。
t=1.95=1.95<2.201=t0.025,11|t| = |1.95| = 1.95 < 2.201 = t_{0.025, 11}
(5) 結果を判断する。
検定統計量 tt の絶対値が限界値より小さいため、帰無仮説 H0H_0 を棄却できない。

3. 最終的な答え

* 帰無仮説: H0H_0: μ=171.2\mu = 171.2
* 対立仮説: H1H_1: μ171.2\mu \ne 171.2
* 検定統計量: t1.95t \approx 1.95
* 限界値: t0.025,11=2.201t_{0.025, 11} = 2.201
* 結論: 有意水準5%で、K市の18歳男子の平均身長は日本全国の18歳男子の平均身長と異なるとは言えない。
## 問6 (2)

1. 問題の内容

問6(1) と同じ設定で、有意水準を10%として両側検定を行う。検定結果と限界値を示す。

2. 解き方の手順

(1) 検定統計量 tt は問6(1)で計算済みなので、そのまま利用する。t1.95t \approx 1.95
(2) 自由度 ν=11\nu = 11tt 分布における有意水準10%の両側検定の限界値を求める。tt分布表から、α/2=0.05\alpha/2 = 0.05ν=11\nu = 11 の時の tt 値は t0.05,11=1.796t_{0.05, 11} = 1.796 である。
(3) 検定統計量 tt と限界値を比較する。
t=1.95=1.95>1.796=t0.05,11|t| = |1.95| = 1.95 > 1.796 = t_{0.05, 11}
(4) 結果を判断する。
検定統計量 tt の絶対値が限界値より大きいため、帰無仮説 H0H_0 を棄却する。

3. 最終的な答え

* 限界値: t0.05,11=1.796t_{0.05, 11} = 1.796
* 結論: 有意水準10%で、K市の18歳男子の平均身長は日本全国の18歳男子の平均身長と異なると言える。
## 問7

1. 問題の内容

ガの幼虫を7匹ずつ2つのグループに分け、一方を15℃、他方を20℃で飼育した。それぞれのグループの生育日数の平均と不偏分散が与えられている。この平均の差に対して有意水準5%で検定を行い、室温の差がガの生育日数に影響を与えたかどうか判断する。帰無仮説、対立仮説、限界値、検定結果を示す。

2. 解き方の手順

(1) 帰無仮説 H0H_0 と対立仮説 H1H_1 を設定する。
* H0H_0: μ1=μ2\mu_1 = \mu_2 (室温の差はガの生育日数に影響を与えない)
* H1H_1: μ1μ2\mu_1 \ne \mu_2 (室温の差はガの生育日数に影響を与える)
(2) 検定統計量 tt を計算する。
t=xˉ1xˉ2(σ^12+σ^22)/nt = \frac{\bar{x}_1 - \bar{x}_2}{\sqrt{(\hat{\sigma}_1^2 + \hat{\sigma}_2^2)/n}}
t=3425(4.667+4.667)/7=99.334/7=91.33391.1557.79t = \frac{34 - 25}{\sqrt{(4.667 + 4.667)/7}} = \frac{9}{\sqrt{9.334/7}} = \frac{9}{\sqrt{1.333}} \approx \frac{9}{1.155} \approx 7.79
(3) 自由度を計算する。2群の標本サイズが等しいので、ν=n1+n22=7+72=12\nu = n_1 + n_2 - 2 = 7 + 7 - 2 = 12
(4) 自由度 ν=12\nu = 12tt 分布における有意水準5%の両側検定の限界値を求める。tt分布表から、α/2=0.025\alpha/2 = 0.025ν=12\nu = 12 の時の tt 値は t0.025,12=2.179t_{0.025, 12} = 2.179 である。
(5) 検定統計量 tt と限界値を比較する。
t=7.79=7.79>2.179=t0.025,12|t| = |7.79| = 7.79 > 2.179 = t_{0.025, 12}
(6) 結果を判断する。
検定統計量 tt の絶対値が限界値より大きいため、帰無仮説 H0H_0 を棄却する。

3. 最終的な答え

* 帰無仮説: H0H_0: μ1=μ2\mu_1 = \mu_2
* 対立仮説: H1H_1: μ1μ2\mu_1 \ne \mu_2
* 検定統計量: t7.79t \approx 7.79
* 限界値: t0.025,12=2.179t_{0.025, 12} = 2.179
* 結論: 有意水準5%で、室温の差はガの生育日数に影響を与えると判断できる。

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