(1) $\alpha > 0$ とする。広義積分 $\int_{1}^{\infty} \frac{1}{x^{\alpha}} dx$ が収束するための必要十分条件が $\alpha > 1$ であることを示す。 (2) 広義積分 $\int_{1}^{\infty} \frac{x}{\sqrt{x^3 + x^2 + 1}} dx$ の収束・発散を判定する。

1. 問題の内容

(1) $\alpha > 0$ とする。広義積分 $\int_{1}^{\infty} \frac{1}{x^{\alpha}} dx$ が収束するための必要十分条件が $\alpha > 1$ であることを示す。

(2) 広義積分 $\int_{1}^{\infty} \frac{x}{\sqrt{x^3 + x^2 + 1}} dx$ の収束・発散を判定する。

2. 解き方の手順

(1) 広義積分 $\int_{1}^{\infty} \frac{1}{x^{\alpha}} dx$ を計算する。

$\int_{1}^{\infty} \frac{1}{x^{\alpha}} dx = \lim_{t \to \infty} \int_{1}^{t} x^{-\alpha} dx$

$\alpha \neq 1$ のとき、

$\int_{1}^{t} x^{-\alpha} dx = \left[ \frac{x^{-\alpha + 1}}{-\alpha + 1} \right]_{1}^{t} = \frac{t^{1-\alpha}}{1-\alpha} - \frac{1}{1-\alpha}$

$\alpha = 1$ のとき、

$\int_{1}^{t} \frac{1}{x} dx = \left[ \ln(x) \right]_{1}^{t} = \ln(t) - \ln(1) = \ln(t)$

$\lim_{t \to \infty} \frac{t^{1-\alpha}}{1-\alpha} - \frac{1}{1-\alpha}$ が収束するのは $1 - \alpha < 0$ つまり $\alpha > 1$ のときで、このとき値は $- \frac{1}{1-\alpha} = \frac{1}{\alpha - 1}$。

$\alpha \leq 1$ のとき発散する。特に $\alpha=1$のときは $\lim_{t \to \infty} \ln(t) = \infty$ となり発散する。

したがって、広義積分 $\int_{1}^{\infty} \frac{1}{x^{\alpha}} dx$ が収束するための必要十分条件は $\alpha > 1$ である。

(2) 広義積分 $\int_{1}^{\infty} \frac{x}{\sqrt{x^3 + x^2 + 1}} dx$ の収束・発散を判定する。

$x$ が大きいとき、$x^3$ が $x^2$ や $1$ より支配的になるので、被積分関数は $\frac{x}{\sqrt{x^3}} = \frac{x}{x^{3/2}} = \frac{1}{x^{1/2}}$ に近い。

そこで、$\int_{1}^{\infty} \frac{1}{x^{1/2}} dx$ と比較する。

$\int_{1}^{\infty} \frac{1}{x^{1/2}} dx$ は、(1)の結果から $\alpha = \frac{1}{2} < 1$ なので発散する。

$\lim_{x \to \infty} \frac{\frac{x}{\sqrt{x^3 + x^2 + 1}}}{\frac{1}{x^{1/2}}} = \lim_{x \to \infty} \frac{x^{3/2}}{\sqrt{x^3 + x^2 + 1}} = \lim_{x \to \infty} \sqrt{\frac{x^3}{x^3 + x^2 + 1}} = \lim_{x \to \infty} \sqrt{\frac{1}{1 + \frac{1}{x} + \frac{1}{x^3}}} = 1$

したがって、比較定理より、$\int_{1}^{\infty} \frac{x}{\sqrt{x^3 + x^2 + 1}} dx$ は発散する。

3. 最終的な答え

(1) 広義積分 $\int_{1}^{\infty} \frac{1}{x^{\alpha}} dx$ が収束するための必要十分条件は $\alpha > 1$ である。

(2) 広義積分 $\int_{1}^{\infty} \frac{x}{\sqrt{x^3 + x^2 + 1}} dx$ は発散する。