関数 $h(t)$ が与えられており、$h(t)$ を用いて定義された関数 $f(x)$ について、以下の問いに答える問題です。 (1) 不定積分 $\int (x-t)\sin t dt$ を計算する。 (2) $x$ の範囲に応じて $f(x)$ を求める。 (3) $\int_0^{2\pi} f'(x) dx$ を計算する。 (4) $\tan \theta = \pi$ を満たす $\theta$ を用いて、$f'(x) = 0$ となる $x$ ($\pi < x < 2\pi$) を表す。 (5) $\int_0^{2\pi} f''(x) dx$ の値を (4) の $\theta$ を用いて表す。

1. 問題の内容

関数 $h(t)$ が与えられており、$h(t)$ を用いて定義された関数 $f(x)$ について、以下の問いに答える問題です。

(1) 不定積分 $\int (x-t)\sin t dt$ を計算する。

(2) $x$ の範囲に応じて $f(x)$ を求める。

(3) $\int_0^{2\pi} f'(x) dx$ を計算する。

(4) $\tan \theta = \pi$ を満たす $\theta$ を用いて、$f'(x) = 0$ となる $x$ ($\pi < x < 2\pi$) を表す。

(5) $\int_0^{2\pi} f''(x) dx$ の値を (4) の $\theta$ を用いて表す。

2. 解き方の手順

(1) 不定積分 $\int (x-t)\sin t dt$ を計算します。$x$ は定数として扱い、部分積分を行います。

$\int (x-t)\sin t dt = x \int \sin t dt - \int t \sin t dt$

まず、$\int \sin t dt = -\cos t + C_1$

次に、$\int t \sin t dt$ を計算します。

$\int t \sin t dt = t (-\cos t) - \int 1 (-\cos t) dt = -t \cos t + \int \cos t dt = -t \cos t + \sin t + C_2$

したがって、

$\int (x-t)\sin t dt = -x\cos t - (-t\cos t + \sin t) + C = (t-x)\cos t - \sin t + C$

(2) $f(x)$ をそれぞれの範囲で求めます。

(ア) $x < 0$ のとき、$f(x) = \int_0^{\pi} 0 \cdot \sin t dt = 0$

(イ) $0 \le x \le \pi$ のとき、$f(x) = \int_0^x t \sin t dt = [-t \cos t + \sin t]_0^x = -x \cos x + \sin x$

(ウ) $\pi < x < 2\pi$ のとき、$f(x) = \int_{x-\pi}^{\pi} (x-t) \sin t dt = [(t-x)\cos t - \sin t]_{x-\pi}^\pi = (\pi - x)\cos \pi - \sin \pi - ((x - \pi - x)\cos(x-\pi) - \sin(x - \pi)) = (\pi - x)(-1) - ((\pi - x)(-\cos x) - (-\sin x)) = x - \pi + (\pi - x)(-\cos x) + \sin x = x - \pi - \pi \cos x + x \cos x + \sin x$

(エ) $2\pi \le x$ のとき、$f(x) = \int_{x-\pi}^{\pi} h(x-t)\sin t dt = \int_{x-\pi}^\pi 0 \sin t dt = 0$

(3) $\int_0^{2\pi} f'(x) dx = [f(x)]_0^{2\pi} = f(2\pi) - f(0)$

$f(0) = -0 \cos 0 + \sin 0 = 0$

$f(2\pi) = 0$ （（エ）より）

したがって、$\int_0^{2\pi} f'(x) dx = 0 - 0 = 0$

(4) $\pi < x < 2\pi$ で、$f'(x) = 0$ となる $x$ を求める。$f(x) = x - \pi - \pi \cos x + x \cos x + \sin x$

$f'(x) = 1 + \pi \sin x + \cos x - x \sin x + \cos x = 1 + 2 \cos x + \pi \sin x - x \sin x = 0$

$\tan \theta = \pi$ を与えられているので、$\sin \theta = \frac{\pi}{\sqrt{1 + \pi^2}}$, $\cos \theta = \frac{1}{\sqrt{1 + \pi^2}}$

$f'(x) = 1 + 2 \cos x + \pi \sin x - x \sin x = 0$ が与えられている。

$f'(x) = 1 + (2 - x) \sin x + \pi \sin x = 0$

$f'(x) = 1 + (2 - x + \pi) \sin x = 0$

与えられた条件より、$x = \pi + \theta$ のとき、$f'(x) = 0$ となる。

(5) $\int_0^{2\pi} f''(x) dx = [f'(x)]_0^{2\pi} = f'(2\pi) - f'(0)$

$0 \le x \le \pi$ において、$f(x) = -x\cos x + \sin x$ より、$f'(x) = -\cos x + x\sin x + \cos x = x \sin x$

したがって、$f'(0) = 0 \cdot \sin 0 = 0$

$x > \pi$ において、$f(x) = x - \pi - \pi \cos x + x \cos x + \sin x$ より、$f'(x) = 1 + \pi \sin x + \cos x - x \sin x + \cos x = 1 + 2 \cos x + \pi \sin x - x \sin x$.

$f'(2\pi) = 1 + 2 \cos (2\pi) + \pi \sin (2\pi) - 2\pi \sin (2\pi) = 1 + 2 + 0 - 0 = 3$

したがって、$\int_0^{2\pi} f''(x) dx = 3 - 0 = 3$

3. 最終的な答え

(1) $\int (x-t)\sin t dt = (t-x)\cos t - \sin t + C$

(2) $x < 0$ のとき $f(x) = 0$

$0 \le x \le \pi$ のとき $f(x) = -x\cos x + \sin x$

$\pi < x < 2\pi$ のとき $f(x) = x - \pi - \pi \cos x + x \cos x + \sin x$

$2\pi \le x$ のとき $f(x) = 0$

(3) $\int_0^{2\pi} f'(x) dx = 0$

(4) $x = \pi + \theta$

(5) $\int_0^{2\pi} f''(x) dx = 3$