$p, q, r$ を実数とする。3次方程式 $x^3+2px^2+qx+r=0$ において、ある解が他の2解の和であるとする。 (1) $x=-p$ が解の一つであることを示し、$r$ を $p$ と $q$ で表せ。 (2) 上の3次方程式の3つの解を $-p, \alpha, \beta$ とする。複素数平面上で、原点 $0, \alpha, -p, \beta$ が四角形の異なる4つの頂点になっており、この四角形の面積が $\frac{1}{2}$ であるとする。このとき、この四角形の周の長さを最小にするような $p, q$ の値を求めよ。

1. 問題の内容

$p, q, r$ を実数とする。3次方程式 $x^3+2px^2+qx+r=0$ において、ある解が他の2解の和であるとする。

(1) $x=-p$ が解の一つであることを示し、$r$ を $p$ と $q$ で表せ。

(2) 上の3次方程式の3つの解を $-p, \alpha, \beta$ とする。複素数平面上で、原点 $0, \alpha, -p, \beta$ が四角形の異なる4つの頂点になっており、この四角形の面積が $\frac{1}{2}$ であるとする。このとき、この四角形の周の長さを最小にするような $p, q$ の値を求めよ。

2. 解き方の手順

(1) $x=-p$ が解であることを示す。

$x=-p$ を $x^3+2px^2+qx+r=0$ に代入すると、

$(-p)^3+2p(-p)^2+q(-p)+r=0$

$-p^3+2p^3-pq+r=0$

$p^3-pq+r=0$

よって、$r = pq - p^3$.

次に、ある解が他の2解の和であるという条件から、解を $\alpha, \beta, \alpha+\beta$ とおく。

解と係数の関係より、

$\alpha+\beta+(\alpha+\beta) = -2p$

$2(\alpha+\beta)=-2p$

$\alpha+\beta = -p$

したがって、解は $-p, \alpha, \beta$ となる。これは問題文の条件と一致する。

また、解と係数の関係より、

$-p+\alpha+\beta = -2p$

$\alpha+\beta = -p$

$-p\alpha -p\beta + \alpha\beta = q$

$-p(\alpha+\beta)+\alpha\beta = q$

$-p(-p)+\alpha\beta = q$

$p^2+\alpha\beta=q$

$\alpha\beta=q-p^2$

$-p\alpha\beta = -r$

$r = p\alpha\beta$

$r=p(q-p^2) = pq - p^3$

したがって、$r=pq-p^3$

(2) 複素数平面上で、点 $0, \alpha, -p, \beta$ が四角形の頂点である。この四角形は、原点 $0$ と点 $-p$ を結ぶ線分を共有する2つの三角形 $0\alpha(-p)$ と $0\beta(-p)$ の組み合わせと見なせる。

四角形の面積は、これらの三角形の面積の和であるから、

$\frac{1}{2}|\text{Im}(\alpha \overline{(-p)})| + \frac{1}{2}|\text{Im}(\beta \overline{(-p)})| = \frac{1}{2}$

$\frac{1}{2}|p\text{Im}(\alpha)| + \frac{1}{2}|p\text{Im}(\beta)| = \frac{1}{2}$

$|p(\text{Im}(\alpha) - \text{Im}(\beta))| = 1$

$|p(\text{Im}(\alpha - \beta))|=1$

$|p||\text{Im}(\alpha-\beta)| = 1$

四角形の周長 $L$ は、

$L=|\alpha|+|\beta|+|\alpha+p|+|\beta+p|$.

ここで、$\alpha, \beta$ は $-p$ 以外の解なので、$\alpha \neq -p, \beta \neq -p$

問題の条件より、周長を最小にするような $p,q$ を求める。四角形が長方形になる場合を考える。このとき、 $\alpha$ と $\beta$ は純虚数となる。すなわち、$\alpha=pi, \beta=-pi$ ($i$ は虚数単位).

$\alpha + \beta = 0 = -p$なので、$p=0$である.

しかし$p=0$のとき、$|p(\text{Im}(\alpha - \beta))| = 0 \neq 1$ となり矛盾する。

四角形が $-p$ を挟んで垂直になる場合を考える。つまり、$\alpha = ai, \beta=bi$ （$a,b$ は実数）とする。

$\alpha + \beta = (a+b)i = -p$. これはありえないので、$\alpha, \beta$ が純虚数というのは誤りである。

$\alpha=a, \beta=b$ （$a,b$ は実数）とする。 $\alpha + \beta = a+b = -p$ である。よって$|p(\text{Im}(\alpha - \beta))| = |p(\text{Im}(a-b))| = |p(0)|=0 \neq 1$. したがって $\alpha, \beta$ が実数解ということはない。

条件 $|p(\text{Im}(\alpha - \beta))| = 1$ から、$\text{Im}(\alpha - \beta) \neq 0$ なので、$\alpha, \beta$ は実数ではない.

しかし、$\alpha = x+yi$ のとき $\beta = -p - x - yi$と置くことができる。

$-p = \alpha + \beta = (x+yi) + (u+vi)$なので、$u= -p-x, v=-y$となる。

四角形の面積の条件式は、 $|p(y-(-y))|=1$. $2|py| = 1$. $|y| = \frac{1}{2|p|}$.

周の長さは $L = \sqrt{x^2+y^2} + \sqrt{(-p-x)^2+y^2} + \sqrt{(x+p)^2+y^2} + \sqrt{x^2+y^2} = 2\sqrt{x^2+y^2} + 2\sqrt{(x+p)^2+y^2}$ となる.

$L=2\sqrt{x^2+\frac{1}{4p^2}}+2\sqrt{(x+p)^2+\frac{1}{4p^2}}$

$L$ を最小にするには、$x=-\frac{p}{2}$ とする。

$L=2\sqrt{\frac{p^2}{4}+\frac{1}{4p^2}}+2\sqrt{\frac{p^2}{4}+\frac{1}{4p^2}}=4\sqrt{\frac{p^2}{4}+\frac{1}{4p^2}}=\sqrt{4p^2+\frac{4}{p^2}}$

$L = \sqrt{4p^2 + \frac{4}{p^2}} \geq \sqrt{2\sqrt{4p^2\cdot\frac{4}{p^2}}} = \sqrt{2\sqrt{16}}=\sqrt{8}=2\sqrt{2}$

$4p^2 = \frac{4}{p^2}$

$p^4 = 1$

$p^2 = 1$

$p = \pm 1$

$y = \pm \frac{1}{2}$

$\alpha = -\frac{1}{2} + \frac{1}{2}i$

$\beta = -\frac{1}{2} - \frac{1}{2}i$

$\alpha \beta = \frac{1}{4} + \frac{1}{4} = \frac{1}{2} = q-p^2=q-1$

$q=\frac{3}{2}$

または

$\alpha = \frac{1}{2} + \frac{1}{2}i$

$\beta = \frac{1}{2} - \frac{1}{2}i$

$\alpha \beta = \frac{1}{4} + \frac{1}{4} = \frac{1}{2} = q-p^2=q-1$

$q=\frac{3}{2}$

3. 最終的な答え

(1) $r=pq-p^3$

(2) $p=\pm 1, q=\frac{3}{2}$